仕事の満足度が低い日本人
~ISSP国際比較調査「職業意識」から~
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NHK放送文化研究所が参加している国際比較調査グループ‘ISSP’(International Social Survey Programme)が、2005年~2007年にかけて行った「職業意識」調査の結果を報告します。ヨーロッパやアジアのほか、アフリカやオセアニアを含めた世界32の国と地域のデータを用いて、人々の就労状況や仕事に対する考えかたにどのような違いが見られるのかを分析しました。
18~64歳の中で、職業を持っている人の割合は、日本は78%でした。ノルウェーやデンマーク、カナダのように80%を超える国もある一方で、南アフリカでは30%と際立って低く、国によって大きな差が見られました。1週間の労働時間は、日本は43時間で、日本は、他の国と比べて、仕事をしている人の割合が高く、労働時間も長いという特徴が見られました。
職業を持っている人に仕事の満足度を尋ねたところ、日本は78%でしたが、32の国と地域の中では低いほうでした。「失業の心配がない」「収入が多い」「おもしろい」など8つの項目から見た自分の仕事の評価では、スイスやアメリカ、アイルランドなどでは全体的に評価が高くなっていますが、日本や韓国は、評価が最も低いグループになりました。
仕事の満足度に何が影響するのかを分析したところ、仕事を通じて、スキルアップや仕事のおもしろさを感じたり、職場の人間関係が良好であると考えたりする人が多い国では、仕事の満足度は高いという傾向が見られました。その一方で、日本など、日常的に仕事のストレスを感じる人が多い国では、仕事の満足度は低くなっていました。