社会や政治に関する世論調査

結婚と家族の理想と現実

~「ライフスタイル調査」30代の分析~

厚生労働省が発表した人口動態統計よれば、ついに2005年、日本の人口が自然減に転じる見通しであることがわかった。2004年の合計特殊出生率は前年に続いて過去最低の1.29、本格的な「少子高齢社会」が始まっている。

文研が2004年12月に行った「現代日本人のライフスタイル2004」では、「少子高齢社会」の背景にあるライフスタイルの現状について調査した。本稿では、進学・就職に続くライフコースの選択において、まさに人生の分岐点にたっている30代に焦点を当て、結婚観や家族観を分析した。

30代の結婚観は「必ずしもする必要はない」が77%で、ほかの年齢層と比べて高いが、結婚の評価について尋ねると、85%の人がプラス面が大きいと答えている。結婚をすることを当然とは思わないが、結婚のプラス面を認め、実際に78%が既婚者である。また「幸福感を得るための条件」に「心をなごませる家族」をあげる割合が53%でどの年齢層よりも高く、結婚して家族を形成することが幸せにつながると考えている人が多い。精神的価値を結婚や子どもに見いだしている反面で、結婚は「自由がなくなり」、子どもは「行動を制約する」ものと、マイナスも強く感じている。結婚や子どもについて「特にマイナス面はない」と答えた割合は、結婚で男性12%、女性9%、子どもについては、男性22%、女性10%で、女性のほうがマイナス面を強く感じている。家事や子育てを家庭内でどのように分担しているか尋ねたところ、妻が中心になって行われている割合は家事92%、子育て80%であった。

「男は外、女は内」という性別役割意識が薄れているとはいえ、「男は外」は変わらずに、女性だけが、「内」か、「外と内」を選択しなければならないことが調査結果から浮かび上がった。

専任研究員 山田亜樹