社会や政治に関する世論調査

幸せになりたいが、ためらう結婚

~「現代日本人のライフスタイル2004」調査から~

「現代日本人のライフスタイル2004」の調査結果から、少子化進展の背後にどのような意識が関わっているかが読みとれた。

子どもを持つことで得られることと負担とではどちらが大きいか聞いたところ、およそ9割の人が「得られるものは大きい」と答えている。また、幸福が得られる第一条件を聞いたところ、最も多く選ばれたものは「心をなごませる家族」で、46%を占めた。この2つの結果から、結婚して家族を持つことに対する評価は決して低くないことがわかる。

その一方で、結婚に対して《するのが当然》か《しなくてもよい》か、どちらの考えに近いか聞いたところ、《しなくてもよい》は10年間で50%から55%に増加している。特に若年層(16~29歳)では、男性は58%から72%に増加した。若年層では男女ともに7割以上が結婚は《しなくてもよい》と考えており、現在若い人の中では結婚は《しなくてもよい》という考えが一般的となっている。

多くの人が結婚をして家族を持つことをプラスと見ているにも関わらず、結婚は《しなくてもよい》と考えているのはなぜだろうか。結婚にどのようなマイナス面があるか、3つまで選んでもらったところ、特に多くあげられた回答は「自由に使える時間がなくなる」48%、「自分の思い通りの気ままな生活ができなくなる」42%だった。

また就労意識では、「収入減少の可能性」「会社の倒産の可能性」「リストラされる可能性」に関して、「ときどき感じる」「不安を感じる」の割合が、全ての質問で男性が女性を上回り、男性のほうが自分自身の雇用状況に対して不安感を抱いていることがわかった。

多くの人は結婚や子どもを持つことが幸せにつながると考えている。その一方で、結婚によって自由が奪われることや、男性においては家族を扶養するのに不可欠な雇用への不安が結婚をためらわせる要因となっていることがうかがわれる。

世論調査 主任研究員 加藤 元宣/研究員 諸藤 絵美