調査手法の研究

デジタル時代のメディア利用を機動的に捉える

~Eダイアリー開発の中間報告~

NHK放送文化研究所では,デジタル化によるメディア利用や調査環境の変化に対応し,多様なメディア利用を量的に把握する新方式として,インターネット画面による時刻目盛日記式調査(Eダイアリー)の開発を進めている。当初は,有効率の低い若年層サンプルからの回収を補完する,現行のマークシート方式とのミックスモードとして開発をスタートした。2009年1月に調査相手への受容性の確認のための小規模の予備調査を行った後,2009年11月にミックスモード検討のための視聴率実験調査を行った。しかし,実験調査では現行のマークシート方式とのデータの同質性が確認できず,ミックスモードは断念した。その後,インターネットユーザーなど,特定層の多様なメディア利用を機動的に測定する調査手法としての開発に方向性を切り替え,実用化試行調査として「マルチスクリーン利用実態調査」を2012年5月に実施した。その結果,デジタルメディアに親和性の高い層でのマルチスクリーンによるテレビ視聴やタイムシフトの浸透などの実態を捉え,特定層調査としての実用性を確認することができた。開発は途上であるが,今後は,若年層でのテレビ視聴とインターネットの同時利用などの特定層調査を積み重ね,精度と汎用性を高めてゆきたい。

世論調査部 小島 博