調査手法の研究

郵送調査の実施方法の検討(3)

~調査用紙の形式と調査材料~

2008年と2010年に実施した郵送法の実験調査を元に、郵送調査の実施方法の検討を行い、3回に分けて報告を行う。

3回目の本号では、調査用紙の形式と調査材料について検討した。調査員の介在しない郵送調査では、回答の記入の正確性や回収率の高さは、調査相手にゆだねられている。調査相手が調査機関や調査に対する信頼を持ち、確実に回答や投函をするためには、調査材料の役割は大きい。今号では,調査用紙の形式や調査材料について,実験調査の経験を元に,文献等を参考にして検討する。

NHKでは,事前の協力依頼状,調査用紙,1回目の督促はがき,2回目の督促(調査用紙同封),というように,郵便物を4回送付することによる接触を行う。それぞれの調査材料について検討した結果をまとめると、次のとおりである。

  • 質問の並べ方(1段形式,2段形式,表形式),選択肢の並べ方(縦,横)などの調査用紙の形式については,質問や選択肢の状況にあわせる
  • 協力依頼状は、調査主体の所在地,問い合わせ先,プライバシーポリシーなどを記載して調査主体の信頼性を高め、調査相手の選び方や調査結果の取り扱いなどを記載して,調査に対する信頼感を持てるようにする
  • 調査用紙送付時のあいさつ状は,調査の意義や目的を示して,調査の有用性を強調する。また,協力依頼状をあいさつ状の裏に印刷する
  • 1回目の督促状は、すでに調査用紙を投函してしまった人にも届くことを配慮して,行き違いを詫びるのではなく,感謝の意を伝える
  • 2回目の督促状(調査用紙を同封)は,何度も連絡して申し訳ないが重要なことであるためお願いしたいという印象のものにする

世論調査部(調査システム) 小野寺典子