放送に関する世論調査

テレビ番組に対する意識・評価の現況

~2010年6月「番組総合調査」の結果から~

視聴者の意識的な側面から,番組の「質的なもの」に対する評価を客観的にとらえる試みの一つとして,編成局で実施をしている「番組総合調査」の2010年度最新の結果を紹介し,この調査の利点や課題を検証しながら,視聴者の番組に対する意識・評価の現況を報告します。

この調査は,テレビの個別番組に対する視聴者の満足度などをはかるため,関東地区の夜間に放送されているNHK総合と地上波民放5局の主な定時番組を対象に,番組の認知,満足度などをたずねるものです。
今回,最も認知率が高かった番組は「NHKニュース7」で85.9%でした。このほか「水戸黄門」(85.8%),「関口宏の東京フレンドパーク Ⅱ」(84.6%)など,ゴールデンタイムに長年放送しているニュースやバラエティー番組の認知率が高くなっており,この傾向は例年同様です。また,番組の満足率が最も高かったのは「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」(80.2%)で,「龍馬伝」(75.1%),日本テレビのドラマ「Mother」(74.3%)などが続きました。上位10番組のうち7番組をNHK総合の番組が占め,NHK総合の番組の満足率が高いのは,毎年共通した傾向となっています。一方で、例年満足率が高く出やすいドラマではなく,民放の情報バラエティーともいえるジャンルの番組が上位に入った点は,これまでの傾向とは異なる特徴であり,視聴者の番組に対する“満足”の質が変化しつつある可能性があります。
「番組総合調査」では,番組の視聴理由として8つの選択肢を用意して,視聴経験者にいくつでも選んでもらっていますが,今回の報告では,視聴理由の出方から番組のタイプ分けをしてみました。NHK総合のニュース以外の番組について分析したところ,5つのタイプに分けることができ,さらに<くつろげる・リラックス>や<気軽>といった項目が高いパタン,<知識・情報>が高いパタン,<見ごたえ>や<わくわく・ドキドキ>が高めのパタンにまとめることができました。今後の課題として,これらの項目だけでは明らかにできない番組評価の側面があるのではないか,といった視点で新しい評価指標の探索を続けています。

編成局(編成センター) 中野佐知子