放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国,ネット等での言論統制強化

中国では,民主化運動が武力で弾圧された天安門事件から24年を迎える6月4日を前に,作家や知識人などが開設した「ウェイボー」と呼ばれるミニブログを次々と閉鎖させるなど,習近平政権による言論統制強化が目立ってきた。新華社によると,南京大学教授で著名なブロガーである 何炳生かへいせい 氏のアカウントが「故意に噂を広めた」として使用を停止されたほか,他の知識人のアカウントも削除された。また香港メディアの報道では,中国政府は北京や上海の大学に対して「報道の自由」「司法の独立」など7項目について教えないよう通知したという。中国では例年,天安門事件が起きた6月4日の前後に言論統制が強化されるが,今回の措置が一時的なものかどうかは分かっていない。

韓国,KBSが検索大手にニュース提供開始

KBSは6月1日から,国内最大のポータルサイト「ネイバー」で『ニュース9』など看板ニュースの原稿と映像の供給を開始した。KBS以外の地上放送局であるMBCやSBSはネイバーに対してすでにニュースを提供しているが,KBSはこれまで,IT,健康,スポーツ分野のコンテンツについての提供にとどまっていた。KBSがネイバーにニュースを提供することについてはKBS内部に懸念の声もあったが,携帯端末を通じた視聴者が増加するなか,ニュース発信の多角化を図っていくとの観点から決定が下されたと見られている。

韓国,IPTV加入者700万人を突破

韓国デジタルメディア産業協会は5月6日,国内のIPTV3社(KT,SKブロードバンド,LG U+)のサービスへの総加入者数がサービス開始から4年余りで700万人を超えたことを明らかにした。韓国のIPTV 加入者数はフランス,中国,アメリカに次いで世界第4位で,主なOECD加盟国の四半期当たりのIPTV 加入者増加率では,韓国が最も高い。IPTV加入者はこれでケーブルテレビ加入者の半分に達したが,これについて同協会長は「IPTVが今後,有料放送市場の発展を牽引する役割を果たすことになる」とコメントした。

韓国,KBS初の女性副社長が誕生

KBSは5月8日,副社長にリュ・ヒョンスン(柳賢順)政策企画本部長(57)を任命した。KBS初の女性副社長になる。リュ副社長は1980年,報道記者としてKBSに入局した後,科学部長,対外政策チーム長,チェジュ(済州)放送総局長などを務めた。

インド,放送事業者がCM時間規制を段階的に受け入れ

インドのPTI通信は5月29日,テレビのCM放送時間を1時間当たり最長12分とするTRAI(インド電気通信規制庁)の規制告知を放送事業者側が段階的に受け入れ,10月1日から完全実施されると伝えた。同規制は2013年3月に告知されたが,広告収入の減少を恐れる放送事業者側が強く反発,TRAIと放送事業者団体の交渉が続けられていた。合意によるとCM放送時間の縮小は段階的に実施され,1時間当たり30分を超えるCM放送を行っているチャンネルは5月30日から30分以内に縮小される。7月1日からの2か月間は,ニュースを扱わない総合娯楽チャンネルの場合で16分以内,ニュースを扱うチャンネルの場合で20分以内にCM放送時間が制限される。そして10月1日からは,全てのチャンネルでCMが1時間当たり最長12分に制限される。

バングラデシュ,衛星TV局を放送停止処分

5月5日,首都ダッカでイスラム強硬派が神を冒瀆する者に死刑を科す法律の制定などを求めて大規模デモを組織し治安部隊との衝突で28人が死亡した。これを受けてBTRC(電気通信規制委員会)と警察の合同チームは翌朝,衛星テレビ局Diganta TVとIslamic TVの局舎を捜索,暴力と憎しみを煽る番組を放送したとして,放送停止処分を伝えると共に放送機材を押収した。処分を受けた両局は,現政権と長年敵対関係にあるバングラデシュ民族主義党(党首はカレダ・ジア前首相)とその友党「イスラム協会(Jamaat-e-Islami)」系の放送局として知られている。バングラデシュで商業テレビ局が放送停止の処分を受けたのは,2002年,2007年,2010年に次ぎ4度目となる。