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日本ご当地ラーメン総選挙“酒田のラーメン”優勝

舞台裏に迫る!
  • 2023年12月08日

 

“酒田のラーメン” 栄冠を手にする

ことし10月に初めて開催された「日本ご当地ラーメン総選挙」初代王者に輝いたのは山形県酒田市の“酒田のラーメン”だった。全国の強豪を抑えてなぜ“酒田のラーメン”が日本一の栄冠を手にしたのか?そこには地域の「団結」があった。

 

山形県酒田市、人口およそ9万6000。日本海に面したこの町のラーメンは、港町らしい魚介だしのスープ極薄のワンタン自家製の麺をのせるのが特徴だ。
活動の中心となっているのは、市内のラーメン店有志でつくる「酒田のラーメンを考える会」
平成2年に発足してから、それぞれの店の味は大事にしつつも、ラーメンの味の向上を目指し、
ともに取り組んできた。

 

日本ご当地ラーメン総選挙に出すラーメンの内容もみんなで話し合った。地元産の食材にこだわり、小麦・チャーシューには地元産のものを使用。5つの店で分担して調理した。ラーメン店店主の石垣洋平さんは次のように話す。

 

ラーメン店店主 石垣洋平さん

ラーメン店どうしが仲がいい。酒田のラーメンを考える会を盛り上げて、酒田市の人たちにも認めてもらって、今回も互いに日本一を目指して頑張ろうと取り組んできた。

強力な“バックアップ” 地元企業と行政

さらに、強力なバックアップもあった。地元の印刷会社では、総選挙で配る「酒田のラーメン」を紹介するパンフレットを制作。魅力を知ってもらい、ファンを増やすのが狙いだ。

 

印刷会社 小田かほるさん

受け取ってもらえるパンフレットに仕上がったと思う。パンフレットをみて、総選挙が終わっても、山形県・酒田市にラーメンを食べに来てもらって、地域の文化・特徴を知ってもらいたい。

酒田市も情報発信に力を注ぐ。市のふるさと納税は関東方面の寄付者がおよそ7割を占めている。総選挙出場を目立つトップページに掲載して、酒田市ゆかりの人にも来場を呼びかけた。

 

酒田市地域創生部 佐々木好信部長

東京に住んでいる多くの人たちに総選挙があるという情報を伝えて、酒田のラーメンが出店している情報も伝えて、足を運んでもらいたい、日本一を目指して一生懸命頑張っていきたい。

地域の団結で勝ち取った“優勝”

こうして迎えた5日間にわたる総選挙。
初日は、「酒田舞娘」も駆けつけ、パンフレットを配ってPR。

 

それぞれの店から店主や従業員も駆けつけ、作業を分担しながら、心をこめて1杯のラーメンをつくる。私が現地に取材に行った最終日は雨だったが、最後まで一丸となって声をかけ続け、多くの人がブースにならんだ。

日本ご当地ラーメン総選挙の様子

★結果★
優勝  「酒田のラーメン」(山形県)   1万440ポイント
準優勝 「札幌ラーメン」(北海道)     6517ポイント
3位  「甲州地どりラーメン」(山梨県)  5951ポイント
その他 「博多ラーメン」(福岡県) 「喜多方ラーメン」(福島県)など出場


今回の総選挙の得票は、来場者による投票SNSの拡散数などをもとに集計された。「酒田のラーメン」はラーメンの味だけではなく、SNSの拡散数でも強さをみせた。公式SNSに掲載された「酒田のラーメン」は、30万回以上見られた。全国各地のラーメン100種類余りの中から、地方予選を勝ち抜いた10種類のラーメンが総選挙に出場し、なみいる強豪を抑えてつかんだ勝利だ。

 

【取材後記】

酒田支局で働きはじめて3年目になるが、優勝したメンバーの笑顔と涙が印象的だった。一致団結して絶対に優勝を勝ち取るという気合いと、あふれんばかりのラーメン愛を感じた。

「酒田のラーメン」のメンバーはその後、酒田市役所を表敬訪問。矢口明子市長に優勝を報告し「日本一を長く続けていけるように、おいしいラーメンを今後もつくって、まちの発展に貢献していきたい」と抱負を述べた。団体によると、優勝後はそれぞれの店で客が増えているということだ。

県内では、ことし山形市がラーメンの消費額2年ぶりに日本一に返り咲いたが、今回の総選挙の優勝は、山形県のラーメン文化をさらに広める機会になったと感じている。今後も山形県のラーメンの魅力を伝えていきたい。

 

【10月11日(水) やままる 放送】

  • 和田 杏菜

    NHK山形放送局酒田支局 記者

    和田 杏菜

    2016年入局
    甲府局を経て山形局
    おととし11月から酒田
    今回の企画のために1週間
    毎日ラーメンを食べました

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