鶴岡 医師確保に“最先端医療” 国立がん研究センターと連携
- 2023年12月06日
医師確保に“最先端医療” 遠隔アシスト手術とは?
鶴岡市立荘内病院×国立がん研究センター東病院
鶴岡市立荘内病院と国立がん研究センター東病院が連携した“遠隔アシスト手術”の導入から1年。
山形県をはじめ東北地方では“医師不足”が慢性的な課題になっている。厚生労働省によりますと、人口10万あたりの医師数に地域の医療ニーズなどを加味した「医師偏在指標」は、宮城県を除いた5県が全国40位以下になっている。
こうした中、注目されているのが“遠隔アシスト手術”の導入だ。全国に先駆けて導入されたこの取り組み、果たしてどのようなものなのか取材した。
人口およそ11万9000の鶴岡市。山や海など豊かな自然に囲まれているほか、歴史・文化を重んじる城下町だ。この町で急性期医療を担うのが鶴岡市立荘内病院。ほかの地方都市と同じく“医師不足”が大きな課題だが、地方でも最先端のがん治療を学べる“遠隔アシスト手術”を取り入れたのだ。
荘内病院で行われた大腸がんの手術の様子。モニターを通して荘内病院の医師とやりとりするのは、千葉県にある国立がん研究センター東病院の医師だ。専門の医師からリアルタイムで指示を受けながら手術を行う。大腸がんについて専門的な知識がある医師から指導を受けることで、地方にいても最先端の技術を学ぶことができるのだ。荘内病院では腹部に小さなカメラを差し込み病変を切除する“腹くう鏡手術”に用いている。若手医師の育成だけではなく患者の負担軽減にもつなげるのが狙いだ。
医師になって5年目の外科・服部修太医師(30)も、この取り組みに魅力を感じた1人だ。服部医師は、ことし4月から荘内病院で勤務していて、“遠隔アシスト手術”を6回以上経験している。
経験できる手術の内容に差が出てしまうことが地方と都会の差だが、その差を埋めてくれる。
遠隔でも距離を感じさせない、デメリットなく教えてもらえている。内視鏡の技術が認められている医師からの指導で、実際に手術の組み立てなど、ひとつひとつ教えてもらえている。
山形の地でこのように勉強をさせてもらえていることはすごくありがたい。
また、手術の様子はすべて映像で記録されていて、医師の予習や復習・研修にも使える。指導するベテランの医師と一緒に映像を見ながらどのようなアドバイスを受けたか、情報を共有することも。
最先端の“がん治療”の技術を学ぶことができるうえ、地方の病院ではより地域に寄り添った治療が行えることが医師にとってのやりがいにつながっていることから、▼今年度は研修医1人▼来年度の採用にも応募があるなど、医師の確保に向けて成果が出始めている。
また、荘内病院では、“遠隔アシスト手術”の幅広い診療科での導入を目指していて、大腸がんだけでなく「子宮筋腫」にも対象を広げている。
若手の医師に病院の魅力をアピールし、県内の病院を志望してもらうこと、そして、定着し地域の医療を支える医師の道を歩んでもらうこと。最先端の手術を学べることを売りにした新たな取り組みが、医師不足の解消への処方箋のひとつとなってくれることを願う。
(9月13日「やままる」で放送)