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無料で充実!学童保育
石黒綾佳(キャスター)
2023年03月06日 (月)
皆さん「学童保育」って利用したことはありますか?「放課後児童クラブ」とも呼ばれ、共働き世帯など、日中、家に保護者がいない小学生を預かる場所ですよね。学童保育には、主に、自治体などが管轄し比較的利用料金が安い「公設」と、企業などが運営し一定の料金を取りながら習い事などのサービスを提供する「民間」があります。
そんな中、舟橋村に、民間がユニークな仕組みで運営し、さまざまな教育プログラムを無料で提供する、新しい学童保育施設が誕生しました。私も保育園児を育てる母親として、いつかお世話になるかもしれない「学童保育」。いったいどんな学童なんだろうと関心を持って取材しました。
オリジナルのプログラムが無料で!
去年7月にオープンした舟橋村の学童保育施設「forkとやま」。
民間の学童保育で、古民家を改装した建物に、毎日学校が終わると、1~2年生およそ10人が集まってきます。
一般的な学童保育と同じように、おやつを食べたり、宿題をしたり、遊んだり・・・
でも、それだけではありません!なんと、この学童保育ならではのオリジナルのプログラムも無料で受けることができます。
私がお邪魔した日のプログラムは「CG教室」。富山市の建築デザイナーが講師を務め、CGの技術を使って理想の遊び場を考えていきます。
このほかにも「大工が教える木工教室」や「ピアノ講師による音楽教室」など日替わりのプログラムが設けられ、その道のプロフェッショナルから無料で指導を受けることができます。子どもの多様な学びを無料で後押しする、こうした民間学童は全国でも初めてです。
利用している親子は?
子「楽しい」
母「なかなか体験できない機会を保育料タダという中で作ってもらって、すごく魅力的」
運営の仕組みは?
これだけ充実しているのになぜ無料なのか。
実は、「学童保育を応援してくれる企業や個人からの出資」、つまり、スポンサーを募ることで成り立っています。スポンサーからの協賛金があるため、利用料金ゼロを実現できているんです!
でも、スポンサーにメリットはあるんでしょうか?運営団体の中心になっているのは、インターネットなどで企業PRを手掛けている会社。そこで、運営団体からは協賛企業のPRを請け負うなどのサービスを提供し、それぞれにメリットがある仕組みになっているんです。
この仕組みを考えたのは、運営団体の代表で、PR会社の社長でもある岡山史興さん(38)です。岡山さんは、子育て環境の良さにひかれて、舟橋村に移住してきました。その一方、長年、住んでいる地域や家庭環境によって、受けられる教育に差があることに疑問を感じてきました。
岡山さん「子どもの人口が少ないがゆえに、行政も手をかけられなかったり、民間の教育関連企業の市場として見てくれなかったりという地域って、どんどん格差が開いていく。子育てを親だけのものにしないで、社会全体でという気持ちを作るうえで、学童保育に参画してもらうこと自体に意味があると思う。」
スポンサーの声は
現在、この学童保育には県内外の企業8社が出資しています。岡山さんは、それぞれの企業のニーズに合わせて、イベントの発案やインターネット上への企業紹介ページの作成など、PRをオーダーメードで手掛けています。
今回、そのうちの1社との打ち合わせに同行させてもらいました。打ち合わせの相手は、舟橋村で解体業を営む中本充政さんです。地元の子どもたちの教育環境をより良いものにできるうえ、今までほとんど行ってこなかった自社のPRにもつながると、50万円を出資しています。
この日、岡山さんが提案したのは、「解体現場で出た廃材を活用して、学童保育の施設でイベントを開くこと」です。地域の人たちに集まってもらい、楽しみながら中本さんの会社の認知度を高められると、この春にもイベントを行う予定です。
中本さん「企業として出資するメリットは大きい。アピールの仕方というか、見せ方が上手というか、僕としては心強い。」
日本一小さな村で始まった画期的な取り組みは、県内外から大きく注目されています。岡山さんは、ほかの地域でも、この取り組みを真似することができると話しています。
岡山さん「僕らが、成功事例として、地域で教育できることを示していきたい。こんな生き方ありなんだって大人や、これを突き詰めたいと思えるようなコンテンツと出会い、自分の選択肢を自分で選ぶ子どもたちが育っていってくれればいいな。」
どんな地域に住んでいても、どんな家庭で育っても、多様な学びに触れられる。質の高い教育をみんなで支える取り組みが広がっていくことを、私も一人の母親として応援しています。
この取り組みを全国放送のラジオでも紹介しました!その様子は「読むらじる。」からご覧ください!
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/nhkjournal/Pz7IDxnAkM.html