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自然豊かな氷見市に移住したい!住まいはどうする?

執筆者のアイコン画像杉山加奈
2023年01月14日 (土)

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コロナ禍でリモートワークが広がったことなどから全国的に地方へ移住を希望する人が増えています。
“寒ぶり”でも有名な、富山湾に面し自然豊かな富山県氷見市では、移住希望者が増える一方住まいが足りず十分に受け入れが進んでいませんでした。
そこで氷見市では“空き家”を移住者の住まいとして有効活用しようと対策を進めています。

子ども2人の4人家族 都内から氷見市へ

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東京から氷見市に移住した浅井健太さん。
自然豊かな場所で子育てをしようと、2人目の子どもが生まれるのにあわせて家族で引っ越しました。東京の会社に勤めながら、リモートワークをしています。いわゆる「転職なき移住」です。

引っ越したのは、8DKの戸建ての空き家です。
以前住んでいた都内の2DKのマンションより家賃が数万円安くなりました。

asaitouka.pngのサムネイル画像海の見えるところに住みたいと話していて、一度旅行で富山を訪れたときに見た富山の風景や街並みがいいなと思い決めました。
氷見市の魅力は、自然が近い、海が近いというところや、ご近所さんから声かけてもらえるというコミュニケーションがあるところもよかったと思っています。

 

しかし、家探しには苦労もありました。

市が運営する「空き家バンク」という仲介サイトを利用しましたが、希望していた「賃貸の戸建て」は人気があり、良い物件はすぐに埋まってしまうため、内見をした翌日に契約を申し込みました。

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いきなり物件を買うよりは一度住んでみてあっているのかどうか判断してから、もし買うのであれば買いたい。
もうちょっと賃貸物件の数が出てくれると、より生活に合う物件も見つかりやすいと思います。

 

移住希望者に住まいを紹介できないことも

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市から委託を受けている団体の「氷見市IJU応援センター」によると、移住希望者は増える一方、住まいを紹介できないこともあるといいます。

akiyafujita00000000.jpg氷見市IJU応援センター藤田智彦さん

移住者は賃貸の物件を求めるけれども、空き家のオーナーは売買を望む人が圧倒的に多く、ここのミスマッチっていうのが大きな課題になっている。実際に空き家物件の9割が売買物件で、賃貸という一握りの限られた候補の中から自分の移住の最初の一歩になるような家を見つけられずに、なかなか移住が進まなかったり、途中で断念されたり、他の地域でお家を見つけられてそちらに移られたりというようなことも起きている。

国の調査では、氷見市の民家18430軒のうち1割以上の1890軒が空き家になっています。(H30年住宅土地統計調査)

しかし、現在空き家バンクに登録されている物件は、およそ30軒(2022年11月時点)。

ほとんどの空き家が活用されていません

その理由について、藤田さんは「人に家を貸すことに抵抗を感じる人が多い」と指摘します。

親から受け継いだ家や自分たちが住むために家族で建てた家を貸す・売るということは、基本的には最初から想定しているものではないので、それを人に貸すということ、売るということがなんとなく嫌だなという漠然とした不安がまず考えるということ自体を止めている。

akiyariyuu00000000.jpg 空き家をそのままにしている理由について氷見市が持ち主に調査したところ、
このほかにも
居住者が施設に入り空き家になっているが売買や賃貸をすぐにはできない
▼活用方法について親族の間の合意が取れていない
▼仏壇が残っている
▼家財の片付けが進まない
   などの回答があったということです。

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(倒壊した空き家)


しかし、空き家を長年放置すると風化が進んで倒壊するおそれがあります。
さらに、衛生面の問題や犯罪に使われるリスクもあるのです。

空き家活用 取り組みは?

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氷見市の信用金庫では、親の死亡など相続の際に空き家になるケースが多いため、相続の手続きに来た人に空き家の活用方法を紹介するパンフレットを渡しています。また、空き家の持ち主に今後の活用方針などをたずねるアンケートを行っています。


氷見市は「空き家バンク」に登録した人に2万円の報奨金を支給。移住者に空き家を貸すためリフォームすると、300万円を上限に費用の半額を補助しています。(2022年時点)

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「空き家はマイナスの資産じゃなくて、欲している方がちゃんといる。市の補助制度などを活用しつつ利活用に向けて考えていただければと思っています」

市がリフォーム代の半額を補助 利用した人は


こうした市の呼びかけに応えて、空き家バンクに登録した人がいます。

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富山市に住む、榊原留美子さん。※榊の「示」は「ネ」。


父親が亡くなり母親は入院しているため、氷見市にある両親の家が空き家になりました。

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榊原留美子さん

両親老齢だったんですけれどもなんか死ぬ気がしなくって。ずっと空き家になるっていうことを考えたことなかったですね。逃げていたのかもしれませんね。家は売れないだろうと思っていたんですよね。空き家のままずっと置いといて、その間管理をして税金も払いっていうのも、いつまで続くのかとか大変不安に思いました。

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市が空き家の活用に力を入れていることを知り、補助金を利用して空き家をリフォーム。
障子の張り替えやキッチンとトイレの改修などで250万円あまりかかりましたが、その半額の補助を受けることができました。

はじめは知らない人に家を貸すことに不安もありましたが、固定資産税などの費用を賃貸収入でまかなえることも決め手になったといいます。

榊原さんは、空き家を移住者に貸すことで、氷見市が賑やかになってほしいと話しています。

父母がずっと氷見市にお世話になったので、その両親がいなくなった空き家を氷見市が求めているということがわかったので、ちょっとでも恩返しができるかな。私にとってはお荷物なものでも氷見市と氷見に入ってこようという、住んでみたいと思われる方にとって役に立つのであればこんな嬉しいことはないですね。

 

空き家を人に貸すメリットは?

そうは言っても、空き家を貸すことに抵抗がある方もいらっしゃると思います。

空き家を人に貸すとどのようなメリットがあるのでしょうか?

氷見市IJU応援センターの藤田さんのアドバイスです。

空き家を人に託すことによって、普段から生活をして空気の循環が行われ、ちょっとした不具合に気づけます。家がどれだけ長生きできるか、健康な状態を保てるか変わってきます。ただ、ご家庭ごとの事情があると思いますので、自分の家はどうなのか家族親戚と話し合う時間を持っていただくということが大切です。

空き家の片づけどうする?

片づけに困っている人も多いと思いますが、後回しにするとますます体力もなくなり難しくなってしまいます。

いまは解体ごみと一般ごみを一緒に処分できないので、取り壊すにしても、売買や賃貸に活用するにしても、片づけは必要になってきます。

早くきれいな状態にするほど家の価値も高くなるので、NPOや親戚、友人に相談して人手を確保して早めに始めることもおすすめです。中にはSNSでボランティアを募って片づけをする人もいるそうです。

 

空き家の活用が進むと、浅井さん家族のような子育て世代が移住しやすくなり、町もにぎやかになります。

氷見市の取り組みは空き家の活用とまちの活性化を同時に進める、まさに一石二鳥の効果が期待されます。

氷見市のほかにも空き家のリフォーム費用を補助している自治体がありますので、ぜひこの機会に空き家の今後について考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

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