厳しくも美しい冬山 危険から守る術
島田光(カメラマン)
2023年03月01日 (水)
富山市と南砺市にまたがる標高1650mの金剛堂山。冬山登山の経験豊富な山岳ガイド・上田幸雄さんに冬山登山の魅力と危険性を教わりながら、厳しくも美しい自然を撮影してきました。
銀世界が広がる冬山。美しい景色と出会える一方、雪崩や低体温症・凍傷など、厳しい環境下で夏山と違う危険が多く潜んでいます。
ホワイトアウトで視界が真っ白になり、方向感覚を失った状況でむやみに歩くと、道迷いや転落の危険が高まります。また何らかのトラブルで下山できなくなってしまい、ビバーグを強いられることになった場合、風雪を凌ぎ、天候回復を待つために役に立つのが、雪面に竪穴を掘って雪のブロックを積み上げて作る “イグルー”や積もった雪に横穴を掘って作る“雪洞”など雪で作る簡易シェルター!
今回は、金剛堂山山頂で実際にイグルーを作り、一泊してきました!
制作に必要なものは、スコップとノコギリ。
足を伸ばして寝られるサイズのイグルーを作ります。
画像のような断面のイグルーを目指して、雪のブロックを作りながら穴を掘ります。
(イグルーの入り口側から見た断面イメージ図)
イグルーづくりのポイント
★必要な積雪は1mほど。ふわふわの雪は払い除けるか、踏み固めて利用します。
★穴を下に行くにつれ横に広げると、居住スペースが広く確保できます。
★ブロックをきれいな直方体に整えると、積みやすいです。
★雪のブロックを積み上げたあと、入り口側の雪面を掘って入り口を作ります。
(斜面の低い方を入り口にすると、掘る量が少なくて楽にできます)
★積み上げたブロックの隙間を、埋めて、隙間風が入らないようにしましょう
★寝泊まりした後もイグルーを放置すると、ほかの登山者が雪の積もったイグルーに気づかず踏み抜いてしまう危険があります。下山前にはイグルーを崩すなど、後始末も忘れずに。
外の気温はマイナス15℃ほどと、非常に寒かったです。テントでは、強風の影響を受けやすく、雪が降れば重みで潰れてしまい、生地も薄いため、中の温度が外気温と同じくらいまで下がってしまいます。イグルーは、頑丈な雪の壁が風を防ぎ、断熱性の高い雪の中では寒さを和らげることができるため、いざという時のために役に立つスキルです。
泊まる際は、乾いた手袋・靴下やニット帽、上下ダウンなどの防寒具や、底冷えを防ぐ厚手のマット、暖かい寝袋などを準備しましょう。わたしも山頂では全身モコモコで取材を行いました!
3月になり、麓は暖かい日もありますが、山ではまだまだ厳しい気候です。
防寒具など、しっかりとした装備を準備し、雪崩などに注意して、冬山登山の経験者と一緒に登るようにしてください。