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朝ドラ「虎に翼」 寅子の同級生!? 中田正子

鳥取が誇る! 日本初の女性弁護士の一人
  • 2024年04月17日

連続テレビ小説「虎に翼」。
伊藤沙莉さん演じるのは、日本初の女性弁護士になった三人のうちの一人。
のちに裁判官となった三淵嘉子(みぶち・よしこ)。
このモデルになった三淵嘉子と同じタイミングで弁護士になった人が、あと2人います。
そのうち1人が、かつて鳥取県弁護士会長を務めた中田正子(なかた・まさこ)です。
その中田正子の功績を伝える活動を続けている、あおや郷土館学芸員の奥村寧子さんにいろ★ドリでインタビュー。その内容を記事にまとめました。(鳥取放送局 アナウンサー 保田一成)

日本初の女性弁護士の一人 中田正子

東京生まれの中田正子は、昭和20年に夫の実家で今の若桜町に疎開します。
その後、県庁近くで法律事務所を開き、弁護士として鳥取県内で活躍しました。
鳥取県弁護士会会長、日弁連の理事などのも担当しました。
そんな中田正子について、下の3つを中心に紐解いていきます。

中田正子と三淵嘉子の関係

司法試験に合格した直後の3人と片山哲(後の首相)と対談

中田正子と三淵嘉子は明治大学女子部からの同級生でした。同級生とはいえ、中田正子の方が4歳年上。女子経済専門学校、日本大学の専科生を経ていたこともあり、三淵嘉子よりも4つ年上での明治大学入学となりました。

司法修習生時代 お堀端にて撮影

年上年下関係なく、仲の良さをうかがえるエピソードも。
正式な弁護士となる前の司法修習中の昼休憩では、一緒に丸の内のレストランに集まって情報交換をしたり、お茶を飲んだり、お堀端を一緒に散歩する仲だったようです。 

唯一の合格者のはずが・・・

昭和11年に弁護士法が改正され、女性にも弁護士の道が開けました。
その翌年の12年に中田正子が女性で唯一の合格者となります。

※「田中」は中田正子の旧姓

筆記試験の合格は、新聞各社で大々的に報道されるなど、世の中で相当な驚きを持って受け止められます。
しかし、この後の口述試験で、残念ながら不合格に。これには後日談も。中田正子が女性弁護士になった後の話ですが、同僚弁護士の中で、親が当時の口述試験を担当した試験官がいたようです。その人が飲みの席で酔っ払って「あの人は生意気だったから落としたんだ」という内容のことを言っていたそうです。真偽は定かではありませんが、今の時代ではあってはならないこと。しかし、当時は「女性だから」「生意気だから」ということで合否を判断するような人もいたのかもしれません。

翌年も受験、文句なしの合格!

ただ、次の年もあきらめずに受験しました。すると今度は、中田正子のみならず、三淵嘉子、久米愛ら3人が合格。世の中では相当な驚き、反響がありました。
様々な団体が祝賀会を開いたり、女性の為の法律相談所が開かれたりして、合格した3人がその担当をしました。中でも中田正子は、女性向け雑誌に法律相談のコーナーが出来て週に100通以上の相談の手紙が来たとか、法律事務所に来訪者がひっきりなしに来た、などのエピソードも残っているようです。

明治大学女子部主催高文試験合格祝賀会
明治大学の女子学生中心に集まる。

貴重!NHKに残る肉声映像

新聞や雑誌のインタビューは多く記録に残っている中田正子。当時、テレビ出演は、弁護士活動を専念するためにほとんど断っていたそうです。そうしたなか、生前の中田正子の貴重な映像がNHKに残っていました。

現在のNHK鳥取放送局のスタジオで収録。
(いろ★ドリと同じスタジオ)

番組内で中田正子は、男女平等についてこのように述べていました。

「戦後、新しい憲法ができてから全く男女平等になったんです。法律上はね。法律上は平等なんですけど、まだまだ実生活の中では、非常に何となく(女性は)地位が低いですね。ことに家庭もそうですけど。職場ですね。職場。例えば給与の点。昇格の点。定年っていう、まったく差がありますよね。今」

日本初の女性弁護士として活躍した中田正子。鳥取では長らく、母として子育てしながらの弁護士業務でした。そのため女性からの相談は特に多かったそうです。同じ番組の中で女性弁護士としての強みを語っています。

左はインタビュアーの柿沼アナウンサー

「しいて言えば、私自身は妻であり母でありますから。そういう経験を持っているので、妻の立場、母親の立場なんかは、経験を踏まえて自信を持って主張できる点はありますね」
「妻の苦労なんて長年妻をやってないとわからないですよね。男性にはね」

連続テレビ小説「虎に翼」で、具体的に中田正子をモデルとした役は示されていません。ドラマの中で、”もしかしてよねさん?涼子さま?梅子さん!?”という感覚で観ている視聴者の方もいらっしゃるかもしれません。様々な視点で、ドラマをお楽しみください。

いまも鳥取で慕われる“正子さん”

東京・丸の内で弁護士業務を始め、昭和20年に夫の実家があった若桜町に疎開してから始まった鳥取での生活。その後、女性として初の鳥取県弁護士会会長、日弁連理事を務めます。
2002年に亡くなりますが、その後もなお、鳥取で慕われているエピソードがあります 
2016年に3月に鳥取県弁護士会のマスコットキャラクターができました。

その名も「まさこ先生」。中田正子をモデルに作ったそうです。
昭和23年に鳥取県弁護士会に登録して以来、50年以上、県内で唯一の女性弁護士として活躍してきました。子供がいる東京に戻ることを勧められても「鳥取には私を必要とする人がいる」ということで、亡くなるまで終生、鳥取の地で過ごしました。
かつては1人だった県内の女性弁護士も、2024年4月1日現在では14人にまで増えたそうです。中田正子の精神は今も息づいています。

動画はこちらから👇

  • 保田一成(やすだ・かずなり)

    鳥取放送局 アナウンサー

    保田一成(やすだ・かずなり)

    佐賀局から鳥取局。
    広島出身。虎より鯉派(カープファン)です。鯉に翼をください。

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