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【まとめ】後藤田正純 県知事 初登庁 会見要旨 徳島はどうなる

  • 2023年05月18日

先月に投票が行われた徳島県知事選挙で初めての当選を果たした元衆議院議員の後藤田正純氏が18日、知事に就任し、初めて登庁しました。

先月の選挙で6期目を目指した現職の飯泉嘉門氏らをおさえて当選した後藤田氏は、18日午前9時半、県庁に初登庁しました。

後藤田知事ってどんな人?

後藤田正純氏は東京都出身の53歳。

官房長官や副総理を歴任した後藤田正晴氏を大叔父に持ち、大手商社勤務を経て30歳で迎えた平成12年の衆議院選挙で、当時の徳島3区から立候補して初当選しました。
平成17年には内閣府の政務官に就任しますが、いわゆるグレーゾーン金利をなくす貸金業制度の見直しをめぐり、金融庁の案は消費者保護をないがしろにするもので認められないとして辞職しました。
また平成25年からは内閣府副大臣を務めました。

一方、県内では平成21年から4年間、自民党県連の会長を務めましたが、前回・4年前の知事選挙で県連が推薦する現職の飯泉嘉門氏の対立候補を支援しました。
そして、県連もおととしの衆議院選挙で後藤田氏を公認候補にしないよう党本部に求めるなど、両者の間に溝ができていました。
その衆議院選挙は、県連の十分な支援を受けられないまま臨み、7回連続で当選していた選挙区で議席を確保できず比例代表での当選となりました。

その後、8期目の途中で議員を辞職し、無所属で立候補した今回の県知事選挙は、いわゆる保守分裂の激しい選挙戦となりましたが、5期20年に渡る飯泉県政の刷新などを訴えて幅広い支持を集め、飯泉氏のほか2番手の三木亨氏にもおよそ3万票の差をつけ、初めての当選を果たしました。

県民のため息 聞き漏らさない県政に

正面玄関で花束を受け取り職員に拍手で出迎えられたあと、知事室に入ると、集まった報道陣に対してこう述べました。

「県民の力を最大化するためには県庁の職員の力を最大化することがいちばんだと思っている。これからの10年、地方創生の戦国時代に向けて徳島県が勝ち抜けるよう県庁のみなさんと一緒になって新時代を切り開いていきたい。」

また、知事のいすに座った感想を聞かれると以下のように応じました。

「現場主義、県民主役の政治をやっていくうえでは、おそらく、この机はあまり活躍しないかもしれないが、それが私が目指す新時代だ」

このあと、後藤田氏は初めての庁議に臨み、集まったおよそ20人の幹部職員を前に「知事の顔色をうかがうのではなく、県民の顔色を見てため息を聞き漏らさない県政にしてまいりたい」と訓示しました。

前知事から新知事への引継ぎも

また後藤田新知事は、知事室で飯泉前知事から事務の引き継ぎを受け、各部局の重要事項などがまとめられた事務引継書に署名しました。

署名のあと、飯泉前知事は

「知事選で多くの皆さん方にお約束をされた様々な公約の実現に着々と進まれることや、衆議院議員としてのご経験を大いに生かしていただきたい。」と述べました。

一方、後藤田新知事は

「誰がやってもなかなか厳しい少子高齢化や地方と都市の格差などの大変な仕事がある中、県政をひっぱっていかれた。これについて御礼申し上げる」と述べました。

街ではさまざまな注文

新たに就任した後藤田新知事に対し、JR徳島駅前では「県立ホールを早く整備してほしい」とか「過疎化を食い止めてほしい」などと、さまざまな注文が寄せられました。

70代の女性(美馬市)

県立ホールの整備をもっと早く進めてほしい。また、もっと徳島を盛り上げ県外に魅力をPRしてほしい。

男子高校生(徳島市)

過疎化が進んでいるので、人口が増えるようにしてほしい。

男子高校生(徳島市)

遊ぶ場所を増やして地域を活性化する政策を期待したい。

 

57歳の男性会社員(徳島市)

この20年、何も変わらなかった。祭りなど新しいイベントを企画し、観光客を徳島に呼び込んでもらいたい。

20歳の女子大学生(徳島市)

デパートがなくなるなど、地域が衰退しているのを感じている。アリーナなどを整備し、街のにぎわいを取り戻してほしい。

 

初の会見に後藤田知事「徳島の存在感高める」

こうした県民の声にどう応えるのか。

後藤田新知事は就任後初めての記者会見に臨み、抱負を述べました。

「与えられた任期の中で県民とともに喜びあえる作品づくりができることに非常にワクワクしている。より全国に開けた徳島になるように持ち前の発信力で徳島の存在感を高めていきたい」

そのうえで取り組みたい政策として徳島と成田空港を結ぶ航空便の開設や、国と連携した新型コロナ対策や物価高対策などをあげました。

また、選挙で訴えていた県立ホールの整備計画の見直しについて問われると。

「議会も含めて県民の了解を超えてしまう場合は変えていかなければならない。『決まったからやる』『物価高騰分なんかもう知らない』というのは県民に説明できない」

と述べ、整備の費用や工期を精査したうえで方針を決める考えを示しました。

どうなる後藤田県政 今後の見通しは

藤原アナウンサー

初めての会見に臨んだ後藤田新知事ですが、トップの交代で県政にはどんな変化がありそうですか。

県政担当 安藤記者

初めて登庁した18日は朝から職員との庁議、議会でのあいさつ、記者会見と、たくさんの場面で自身の考えを伝えました。
そこでたびたび口にしたのが「現場主義」という言葉です。
実際に県内各地を訪れ、県民の意見をじかに聞く考えを示しました。

知事室にいることは少ないかもしれないと話していましたよね。

こうした姿勢の兆しは就任前から見られました。
4月に自身のSNSにのせたメッセージでは、「ブラック校則」の見直しなど教育改革に関する意見を募り、県民の声を関係部局にも伝えたいと発信しました。
今後もSNSや目安箱の設置などで広く県民の意見を聞くとしています。

後藤田知事は選挙で県政刷新を掲げていましたが、政策の面ではどう変わりますか。

最も大きなテーマが選挙の争点の1つとなった「県立ホール」の整備計画です。

飯泉前知事のもと、216億円をかけて2000席規模の大ホールとおよそ400席の小ホールを備えた施設を作る計画でした。
後藤田知事は選挙の中で、費用が高すぎるため計画を見直すと訴えていました。
会見でそのことを問われると、改めて費用と工期を算出し直し、県民の意見も聞いたうえで方針を決めたいと話しました。

JR牟岐線の新駅設置も争点の1つでしたよね。

県立ホールへのアクセス向上を狙ったJR牟岐線の新駅設置の計画ついては「中止」を訴えていました。会見では担当部局の意見を聞いて方針を決めると述べるにとどめました。

徳島市の中心市街地のにぎわい作りについて、県の政策が変わることになりそうですね。

このほか、選挙で訴えた看板政策の具体化も図る考えを示しました。

まずはインバウンド強化のためタイからの航空便を新たに就航させることを目指し、自治体と連携してアリーナ建設も進めると述べました。

知事に就任して公約をどう具体化させていくかが注目ですね。今後の予定を教えてください。

まず19日には今年度の県の定期人事異動が内示されます。
選挙のため延期されていましたが、政策の具体化を担う幹部がどんな顔ぶれになるか注目です。さらに6月には県議会の定例会が始まり、補正予算案が審議される見込みです。

これまで議会の過半数を占める自民党会派と後藤田さんの間には距離がありました。
18日の臨時会で後藤田知事は「県政に対し、過ぎた言動があったことはお詫びしたい」と述べ、自民党会派をはじめ議会と協調する姿勢を示しました。

まずは最初のヤマ場が6月の議会です。活発な政策議論を期待したいと思います。

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