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熱中症対策で香川県宇多津町がクーリングシェルター指定

  • 2024年04月26日

気象庁が発表した3か月予報では、5月から7月にかけて全国的に気温が平年より高くなる見込みです。

香川県内では去年(R5)、5月から9月までに熱中症で救急搬送された人があわせて767人いました。

まもなく大型連休ですが、体が暑さに慣れていない時期に気温が上がる可能性があります。熱中症への早めの対策が求められています。

新たに運用が始まった「熱中症特別警戒アラート」とは?

ことしも4月24日から10月23日まで「熱中症警戒アラート」の運用が始まりました。

熱中症警戒アラート

「熱中症警戒アラート」は、熱中症による健康への被害が予測された場合に気象庁と環境省が発表します。香川県内では去年、合わせて30回出されました。

そして、ことしからさらにもう1段階上のアラートが加わりました。

熱中症特別警戒アラート

「熱中症特別警戒アラート」です。
すべての観測地点で「暑さ指数」が35以上と予測された都道府県を対象に、広域で過去に例のない暑さとなり健康に重大な被害が出るおそれがある場合、前日に発表されます。

これまでに、該当した事例は全国で確認されていませんが、気象庁と環境省は、自分だけでなく周りの人の命も守るよう呼びかけます。

発表された場合は対応に違いも

「熱中症特別警戒アラート」「熱中症警戒アラート」。出された場合に対応の違いがあります。

学校の校長や経営者、イベントの主催者などの管理者は、熱中症対策が徹底できない場合、運動やイベントの中止、リモートワークへの変更などの判断が求められることになります。
そして、自治体は「暑さから避難するための冷房が効いた施設」、いわゆる「クーリングシェルター」を事前に指定しておくことが求められます。

クーリングシェルターとは

「熱中症特別警戒アラート」が発表されると、自治体は「クーリングシェルター」を一般に開放することが義務づけられています。暑さを避けるために誰でも利用することができます。
政府は、「クーリングシェルター」として

冷房が効いた
▽公民館や図書館などの公共施設
▽スーパーやショッピングセンターといった民間の商業施設

こうした場所を自治体が指定し、その場所を公表するよう求めています。

“クーリングシェルター”香川県宇多津町がトップで指定

県内でも、「クーリングシェルター」を指定しようとする動きがあります。

香川県宇多津町 あみのうら交流センター

宇多津町の「あみのうら交流センター」です。

「熱中症特別警戒アラート」の運用開始に合わせて、4月24日に町から「クーリングシェルター」に指定されました。

施設内には、冷房設備があり、いすが用意されていて、屋外で体調不良を感じた人などが暑さをしのぐことができます。

(左)マット(右)いす

また、マットも備えられ、床に敷いてすぐに横になることもできます。

宇多津町は、役場や保健センター、コミュニティセンターなど、合わせて8か所の公共施設を県内のトップを切って、「クーリングシェルター」に指定しました。

宇多津町 谷川俊博 町長

谷川町長は、町民に「クーリングシェルター」の情報を発信するため、いち早く施設の指定に踏み切ったとしています。

熱中症特別警戒アラートが出たときは涼しい場所にいるのが1番ですが、どうしても外出しなくてはならず気分が悪くなったときは、こういうところで休憩してほしいと思います。
公共施設はほぼ職員もいるため、本当に調子が悪いときは声をかけてもらえたら。

現時点では、施設の開館時間に発表された場合のみ開放することにしています。
今後、施設が休館している休日や祝日にも利用できるようにしてほしいなどの要望があれば、包括連携協定を結んでいる民間の施設などにも協力をお願いして、数を増やしていきたい。

香川県内の自治体では指定進まず

香川県内のクーリングシェルター指定状況(4月23日時点)

「クーリングシェルター」の指定について、県内17のすべての市と町に準備状況を取材したところ、半数以上の市と町は、「今後検討する」とか、「近隣自治体の動向を注視する」と回答しました。
(2024年4月23日時点)

県全体で指定が進まない主な要因としては、
▼施設の調整やガイドラインの作成に時間が必要であることや、
▼担当部署が複数にまたがっていること、
▼周りの状況を見てから判断したいなどの理由があげられました。

また、県教育委員会によりますと、「熱中症特別警戒アラート」が発表された場合の教育現場の対応を定めたガイドラインなどは、作成していないということです。

温暖化の影響などもあり、近年の夏の暑さは“災害級”などとも表現されます。厳しい暑さの中、毎年、多くの方が熱中症で搬送され、命を落とす方も大勢います。

この恐ろしい熱中症から命を守るため、高温多湿の環境や脱水に注意し、早めに気づくことが大切です。

改めて熱中症の対策を確認しておきましょう。

  • 山本陶子

    高松放送局 記者

    山本陶子

    岡山県のケーブルテレビ勤務を経て、2023年入局。行政担当。西日本豪雨を経験して以来、防災士の資格を取り防災減災などをテーマに取材を続ける。

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