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  • 2024年4月5日

小林製薬 紅麹 健康被害 ファンコニ―症候群も 自主回収は? 厚労省や消費者庁の対応

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【4月5日更新】
小林製薬の「紅麹」の成分が含まれた健康食品をめぐっては、摂取後、腎臓の病気を発症するなどして、全国で健康被害の訴えが相次いでいます。日本腎臓学会の調査では、これまでに報告された患者のほぼ全てで腎臓の機能障害の一種「ファンコニー症候群」という病気がみられたことから、患者を診察した専門の医師は「最近まで摂取していた人は症状が残っている可能性もあるので検査を受けて欲しい」と呼びかけています。今後の調査のポイントや自主回収の動きなどについてまとめました。

〇電話相談窓口(厚生労働省 消費者庁)
8日まで 03-3595-2760
9日以降 0120-388-687
午前9時~午後9時 ※土日祝も受け付け

回収命令の対象 3つの製品(大阪市)

大阪市は「小林製薬」が販売する▼「紅麹コレステヘルプ」▼「ナイシヘルプ+コレステロール」▼「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」の3つの製品を回収命令の対象としました。製造年月日やロット番号などに関わらず、いずれもこれまでに販売されたすべてのものが対象となっています。

「小林製薬」は3月22日から3つの製品の自主回収を始めていますが、大阪市は全国で幅広く販売され、流通量も多いことなどから、回収には少なくとも数か月程度かかると見込んでいて、回収完了の期限を設けることは難しいとしています。

大阪市
「製品をお持ちの場合は、摂取せずに速やかに回収窓口にご連絡をお願いします。何かしら健康被害があれば医療機関を受診して、摂取した期間などの情報をお伝えいただきたい。これらの食品を購入し、手元にある場合は、絶対食べないようにしてください」

日本腎臓学会が 会員の医師にアンケート調査

日本腎臓学会は小林製薬の3種類の製品を摂取したあとに腎臓の機能に障害が出た患者がいないか、会員の医師を対象にアンケート調査を行っていて、中間報告を公表しました。

それによりますと、これまでに腎臓の機能に障害が出た患者は全国から47人報告され、このうち46人が「紅麹コレステヘルプ」、1人が「ナイシヘルプ+(プラス)コレステロール」を摂取していたということです。

年齢はおよそ9割が40歳から69歳で、7割近くが女性だということです。受診時期は最も早い人で2023年11月で、2024年1月以降に全体の8割が集中していました。

また、半数以上の患者が▼けん怠感や▼食欲の低下、▼尿の異常、▼腎臓の機能の障害といった症状を訴えていたほか、2割近くの患者が▼腹部の症状や▼体重の減少を訴えたということです。

▼およそ4分の3の患者は製品の摂取をやめることで症状が改善しましたが、▼4分の1の患者がステロイドによる治療を受けたほか、▼人工透析を受けた患者も2人いました。
これまでに死亡した患者は報告されていないということです。

日本腎臓学会 猪阪善隆副理事長
「摂取との因果関係は検証が必要だが、多くの人で、摂取をやめると腎機能が改善したので、該当の製品を摂取している人はすぐに中止し、検査を受けることが重要だ」

47人中46人に「ファンコニー症候群」の症状

日本腎臓学会の調査で4月1日の段階で報告された患者47人中46人で「ファンコニー症候群」の症状がみられたということです。複数の原因が知られていて、遺伝的な要因のほか、鎮痛剤や抗生物質などの薬が原因でも起きることがあるということです。

〇「ファンコニー症候群」
日本腎臓学会などによりますと、腎臓の尿細管という部分の機能が低下する病気です。腎臓は血液中の老廃物をろ化して尿として排出しますが、尿細管の機能に異常が起きると尿のもととなる液体に含まれるブドウ糖やアミノ酸といった体の機能の維持に必要な成分が再吸収されなくなり、筋力低下やけん怠感、脱水などを引き起こします。

放置すると、腎臓全体の機能が悪化し、慢性腎不全に至ることもありますが、薬が原因で起きた場合、薬の服用をやめると症状が改善することが多いということです。
調査では、摂取を始めてから1か月から2か月程度で症状が出たケースもあるということで、学会は該当の製品の摂取をやめるよう呼びかけています。

日本大学医学部 阿部雅紀主任教授
「これまで診察した3人のうち2人は受診時にファンコニー症候群を起こしていて、もう1人もこの病気が進行して腎機能が悪化したとみられている。自覚症状がない場合もあり、最近まで摂取していた人は症状が続いている可能性もあるので、血液や尿の検査を受けて欲しい」

入院のべ196人 小林製薬の報告(4日時点)

小林製薬の「紅麹」の成分が含まれた健康食品をめぐっては、摂取したあと、腎臓の病気を発症するなどして、これまでに5人が死亡し、全国で健康被害の訴えが相次いでいます。

厚生労働省は健康被害の状況について、小林製薬から報告された4月4日の時点の人数を明らかにしました。それによりますと、体調に異変を感じるなどして▼のべ1120人が医療機関を受診し、▼のべ196人が入院したということです。

電話相談窓口 土日祝日も受け付け

厚生労働省と消費者庁は紅麹を使用した製品に由来する健康被害について、国民や事業者からの問い合わせに応えるための電話相談窓口を合同で3月29日に設置しました。コールセンターには4日までの7日間で、あわせて2979件の相談が寄せられたということです。

コールセンターの電話番号は、▼4月8日までは03-3595-2760で、▼4月9日以降は、0120-388-687です。
午前9時から午後9時まで、土日や祝日も相談を受け付けます。

電話相談窓口(厚生労働省 消費者庁)
8日まで 03-3595-2760
9日以降 0120-388-687
午前9時~午後9時 ※土日祝も受け付け※

機能性表示食品 “事業者の責任で適正販売”

問題となっている健康食品には「悪玉コレステロールを下げる」と書かれ、製品は機能性表示食品となっています。「機能性表示食品」は、食品の機能性をパッケージなどに表示することができる「保健機能食品」のひとつです。

〇「機能性表示食品」
販売前に、事業者が食品の安全性や機能性の科学的な根拠などを、国が定めるルールにのっとり消費者庁に届け出て公表。効果や安全性を国が審査する「トクホ」=「特定保健用食品」とは異なり、国の審査も行われないため、事業者の責任で適正に販売。

機能性表示食品は、特定保健用食品と比べて手続きにかかるコストが少なく、届け出の件数は制度が始まった2015年度には307件でしたが、2022年度は1429件と4倍以上に増え、市場規模も拡大しています。

消費者庁によりますと小林製薬の紅麹を使った機能性表示食品として届けられている9つの製品については、いずれも3月27日までに、届け出が撤回されたということです。

詳しい原因は

この紅麹の成分を含む健康食品について、何が問題なのか詳しい原因はわかっていません。

「紅麹」は米などの穀類に麹菌の一種である「紅麹菌」を繁殖させてつくられたもので、古くから食品の着色料などとして使われてきました。

一方、ヨーロッパでは紅麹菌由来の健康食品による健康被害が報告されていて、EUは、一部の「紅麹菌」が生むカビ毒の「シトリニン」について、サプリメントに含まれる基準値を設定し、10年前、内閣府の食品安全委員会も注意喚起を行っています。

小林製薬は、今回、「シトリニン」についてはサプリメントの原料となった紅麹からは検出されていないとしています。

【追記29日午後6時】
厚生労働省は会社側の調査で健康被害の訴えがあった製品のロットで、青カビから発生することがある「プベルル酸」という物質が確認されたことを明らかにしました。原因物質かどうかはわからないということで厚生労働省は国立医薬品食品衛生研究所で過去3年分のサンプルを分析し、特定を進めることにしています。

「プベルル酸」は、抗マラリアの作用が報告されているということですが、どのくらい飲むと人体に影響があるのかや、腎臓に対する影響は現時点では明らかになっていないということです。また、今回確認された「プベルル酸」が青カビからできたものかなど製品中に含まれた経路もわかっていないということです。

“どんな成分が含まれていたのかしっかり調査を”

この問題について腎臓内科が専門の帝京短期大学の篠田俊雄教授に聞きました。

どんな成分が、腎臓病を引き起こしたのかはまだ分かっていないため、原因については今の時点でははっきりしたことは言えない。過去には肥満治療のための漢方薬を服用した人が、相次いで腎不全になったことが問題になり、調べると植物に含まれる成分が原因だと分かったケースもあるなど、よく分からない成分が腎不全を引き起こすことは起こりえることだ。また、有毒な成分ではなくてもある物質にアレルギー反応が起きて、腎障害を引き起こした可能性も考えられる。まずはどんな成分が含まれていたのかしっかりと調べる必要がある。

食の安全に詳しい専門家は

「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題について、食の安全の問題に詳しい東京大学の唐木英明名誉教授は、次のように話しています。

〇原因物質の究明を
紅麹は、シトリニンという腎機能障害を引き起こす毒素を作る場合があることが知られているが、会社の調査では、その毒素は入っていなかったと報告されている。毒性の強い何らかの物質が何らかの原因で混入した可能性を考えるしかなく、まずは、その原因物質の究明を急ぐ必要がある。

〇経緯の検証を
通常、微生物を扱う企業では、雑菌が外から入らないように厳重に防護しているが、今回の製品が作られた工場で長年、何事もなかったのに、なぜ突然、あるロットだけで有害物質が混入してしまったのか、想定しない事故なのか、人為的なミスなのか、その経緯の検証が必要だ。

〇受診する症状は
紅麹は古くから食品の着色料として使われていて、その色素自体には危険性はない。問題は今回のサプリメントなのでもし摂取した人で尿が出にくくなったり、体がむくんだりするような症状があれば、すぐに医療機関を受診しほしい。

問題を受け広がる自主回収

新潟県長岡市にある清酒の卸販売などを行う「原商」が自主回収をしているのは、「新潟紅麹甘酒720ml」です。対象は数十本から百本程度の見込みです。
新潟市内の製造・販売会社から仕入れ、インターネットの専用サイトで販売したり、スーパーなどに卸したりしていたということです。

酒類では長野県伊那市の酒造会社「仙醸」も「黒松仙醸どぶろくロゼ」の自主回収にあたっています。

みそも、長野県茅野市の「山高味噌」が通信販売や首都圏の百貨店などで販売した「ヤマタカ信州甘口紅麹みそ」およそ550個の自主回収を進めています。

このほか町田市の食品販売会社「富澤商店」は和菓子の色づけなどに使う「紅麹パウダー10グラム」について自主回収を行うとホームページで公表しました。販売期間や販売数量は調査中としています。

影響は都内の百貨店にも出ていました。「松屋銀座」はテナントとして入っている味噌専門店「味噌蔵徳兵衞」が販売した「秘伝熟成紅糀みそ」について店舗からの連絡を受け、販売を中止するとともに自主回収を始めました。

これらの小林製薬の紅麹を原料に使った製品による健康被害は今のところ確認されていないということです。

厚生労働省 自主回収対象の製品を公表

厚生労働省によりますと、今回の問題を受けて、小林製薬の紅麹原料を使った製品を、各社が自主回収する動きが相次いでいて、28日午前10時半の時点で、54件の自主回収の届け出があったということです。各社が届け出た情報によりますとこれらの製品では、今のところ健康被害は確認されていないということです。

厚生労働省は、これらの製品が手元にある場合は購入した店舗やメーカーに連絡するほか、ホームペ-ジのリストに掲載された保健所でも、体調不良などについての相談を受け付けているということです。

厚生労働省は、小林製薬が製造した紅麹原料を使った製品のうち、事業者が届け出た自主回収の対象となっている製品の情報をまとめてホームページで公表しています。

厚生労働省 ホームページ(NHK外のサイトに移動します) ​

消費者庁 事業者に健康被害など確認する質問状

消費者庁は、機能性表示食品の安全性を点検するため、届け出を行っているおよそ1700の事業者に対して健康被害がないかなどを確認する緊急の質問状を3月28日付けで送付したことを明らかにしました。

質問は、それぞれの製品について重篤な被害をもたらすような情報が、医療従事者から寄せられていないかどうか。寄せられている場合はどういう対応をしているのか、
また、情報があっても、消費者庁に報告をしていない場合は、それはなぜか。報告態勢は整っているかなどについて、自由記述で尋ねているということです。
回答の期限は4月12日をめどとしていて、結果は公表するということです。

農林水産省 食品関連の事業者団体に回収の協力求める

農林水産省は28日、回収命令の対象となったこの3つの製品について、国内に広く流通している可能性があり、健康被害の拡大を未然に防ぐ必要がとして、全国の154の食品関連の事業者の団体に回収の協力を求める通知を出しました。

通知では、製品の在庫がないかを確認してもらうことや製品を購入した人がいる場合は使用の中止を周知することを求めています。
その上で、それぞれの団体に対して回収が確実に行われるように会員企業などへの呼びかけを徹底するよう要請しています。

厚生労働省 メーカーなどに自主点検を求める

厚生労働省は28日、専門家による調査会を開き、回収命令の対象となった3つの製品と同じ紅麹原料を使って製造された製品について、厚生労働省がメーカーなど各社に自主点検を求めることになりました。

対象は、小林製薬が直接紅麹原料を卸している企業52社と、これらの会社などから小林製薬の紅麹原料を入手している企業173社です。
また自主点検を求めるのは、▼命令の対象となった3製品に含まれる量と同等以上の紅麹を1日あたり摂取することになる製品と▼過去3年間に、医師から健康被害が1件以上報告された製品です。

【追記 4月5日】
自主点検の結果、期限としていた3月29日までに、52社のいずれも該当する製品は無かったということです。さらに、これらの52社などから紅麹原料の提供を受けた173社については、4月5日が自主点検の報告期限でしたが、関係者への取材で期限までに該当する製品の報告がなかったことがわかりました。

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