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クビアカツヤカミキリでサクラ伐採も 幼虫が内部食い荒らす 対策や駆除は? 足利市など栃木県内で被害3700本

  • 2024年4月9日

外来種のカミキリムシ「クビアカツヤカミキリ」による被害が目立つようになっています。サクラなどの樹木に卵を産みつけ、かえった幼虫が木の内部を食い荒らして枯らしてしまいます。生息域は年々広がっているとみられ関東や関西などでも被害が確認されています。どんな被害が見られるのか、そして対策について取材しました。

サクラなど枯らす「クビアカツヤカミキリ」

「特定外来生物」に指定されているクビアカツヤカミキリは、中国やベトナムなどが原産の大型のカミキリムシです。国内では2012年に愛知県で初めて確認されました。

サクラやウメ、モモなどの「バラ科」の樹木に卵を産みつけ、かえった幼虫が木の内部を食い荒らして枯らしてしまいます。繁殖力が強く、駆除が難しいのも被害の拡大を止めにくい要因だといいます。

栃木県 サクラだけで6年間に3700本以上に被害

クビアカツヤカミキリの生息域は年々広がっているとみられ関東や関西などでも被害が確認されていて、環境省によりますと、埼玉県で2013年、東京都で2015年、神奈川県で2021年にいずれも被害が確認されているということです。

こうした中、栃木県内では、足利市や佐野市、栃木市などの南部を中心に被害が拡大していて、県によりますと2022年度までの6年間にサクラの木だけで3700本以上の被害が確認されています。

桜並木が被害 倒木のおそれで伐採

足利市内には、地元の人に愛されていた景観が失われつつあるところもあります。足利市本城地区にある30本以上ある桜並木は、毎年見ごろを迎えるこの時期には近くの高校の生徒や周辺の住民などでにぎわい地元で愛されてきました。

しかし、5年ほど前から、サクラがクビアカツヤカミキリによって枯れ始め倒れる危険性が出てきたことから歩行者などの安全を確保するために2024年2月におよそ半分を伐採したということです。

“安全には変えられない” 伐採を了承

この地区で自治会長をつとめる田野雅己さんは、高校生たちの門出を祝うように咲いていたサクラ並木を見るのを毎年の楽しみにしていましたが安全にはかえられないとして市からの伐採の提案を自治会として了承したということです。

田野雅己さん
「毎年、サクラが若い人たちを迎え、卒業させる応援歌のように花開いてくれる存在だったので一度に伐採となり、急に寂しい景色になってしまいましたが、安全対策上はしょうがないかなと思います。また綺麗なサクラが満開になるような通りに復活してほしい」

足利市の対策 春の段階から幼虫駆除

クビアカツヤカミキリの成虫が多く発生し卵を産み付けるのは夏場ですが、足利市内では、1年を通じて対策を進めていて3月はカミキリムシの幼虫を駆除する作業を実施しました。

市の職員が市内の公園にあるサクラの木を点検してまわり、カミキリムシの幼虫が成虫となって出てくる時のために空ける細長い穴を探します。穴1つ1つにネットを詰めて出てこられないようにしたほか木に薬剤の散布も行いました。

足利市環境政策課 松島一司さん
「自分たちの持つ知識と資材を使って、試行錯誤しながら防除しています。サクラが当たり前に見られなくなることもありうるので、カミキリムシの被害に耐えながらもサクラが一生懸命生きていることを知ってもらって、興味を持つことから始めてほしい」

成虫は生きたまま持ち運ぶと違法

足利市では、夏の時期には市民にも協力してもらい、子ども向けのイベントとしてカミキリムシの成虫を探し駆除にも一役買う機会とするなど、工夫を凝らしながら対策を進めていきたいとしています。

環境省は、見つけたときは近くにある環境省の地方環境事務所や自治体の窓口に連絡してほしいとしていて、もし成虫の場合は生きたまま持ち運ぶと違法になるとして殺処分するよう呼びかけています。

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