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アメリカザリガニとアカミミガメ 川などに捨てると違反 飼育は?

  • 2023年6月1日

外来種のアメリカザリガニとアカミミガメが、6月1日から「条件付特定外来生物」に指定され、販売などが禁止されました。

違反した場合は最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。

アメリカザリガニと「ミドリガメ」とも呼ばれるアカミミガメ

アメリカザリガニと「ミドリガメ」とも呼ばれるアカミミガメは、当初、えさ用やペット用として輸入されていましたが、繁殖力が強いため全国各地に分布して固有の生態系に悪影響を与えています。

そのため、生態系を保護する「改正外来生物法」に基づき、アメリカザリガニとアカミミガメを「条件付特定外来生物」に指定する政令が6月1日から施行されました。

指定によって、輸入や販売、販売目的での飼育、それに購入ができなくなるほか、多数の人に配ることや飼っていたものを川に捨てるなど野外への放出が禁止され、違反した場合は最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。

一方で、新たな購入はできませんが、現在ペットとして飼育しているものは引き続き飼うことができるほか、川や池で捕獲したり少数の人に無償で譲り渡したりすることは可能です。

環境省によりますと、特にアカミミガメは寿命が40年程度と長いため、飼い続けることが難しいなどの相談が寄せられているということです。

釣ってもらって駆除する取り組み

東京・足立区の区立公園では、アメリカザリガニの増加で生態系に影響が出たことから、ある取り組みが続けられています。

東京・足立区の桑袋ビオトープ公園では、園内のため池で外来種のアメリカザリガニが増えたことで、在来種の水生植物「アサザ」が食べられたり、はさみで切られたりして、一時、池からなくなってしまう影響が出ました。

「アサザ」が生い茂る場所は、魚やヤゴなどの住みかになっていたため、水辺の生態系への影響が懸念される状況になりました。

このため公園では、訪れる人にザリガニ釣りをしてもらって、すべて回収し、駆除を進める取り組みを7年前から続けています。公園から持ち帰ることは禁止です。

公園の担当者によりますと、昨年度は1万3000匹が釣れてすべて駆除したということですが、アメリカザリガニは繁殖力が強いためなかなか数が減らないのが現状だということです。

アメリカザリガニが「条件付特定外来生物」に指定されたことを受けて、公園では、身近で人気の生き物に課題もあることをもっと知ってもらいたいと訪れる人たちにパンフレットを配ることにしています。

足立区桑袋ビオトープ公園の自然解説員 濱崎祥さん
「アメリカザリガニの影響で水草が育たず水質も悪くなり池の水は濁ったままです。条件付特定外来生物に指定された背景も知っていただいて、もし飼うならば池などに放したりせず、大切に飼育し続けてほしい」

規制でどう変わる

規制によって何が変わるの?こんな場合はどうしたらいいの?環境省の担当者に詳しく聞きました。

Q.そもそもなぜ、アメリカザリガニとアカミミガメは規制されるのでしょうか。

A.アメリカザリガニは昭和初期に食用のウシガエルの餌として、またアカミミガメは、1950年代にペット用として海外から輸入されていました。ところが、繁殖力が非常に強い上、魚や水中の昆虫の餌となる水草を食べたりかみ切ったりして、固有の生態系を脅かす存在となってしまったのです。

Q.では規制によって、なにが変わるのでしょうか。

A.2023年6月1日からアメリカザリガニとアカミミガメは「条件付特定外来生物」に指定されます。販売や購入、多くの人に配る頒布、販売や頒布を目的とした飼育、そして、川や池に捨てるといった野外への放出が禁止されます。一方で、引き続きペットとして飼育することや、川や池で捕獲すること、それに、飼っているものを少数の人に無償で譲り渡すことは問題ありません。ただ、一度捕獲するなどして家に持ち帰ったら、再び川や池に戻すことはできません。特にアカミミガメの寿命は40年程度とされています。最後まで責任を持って飼えるのかを考えてから、持ち帰ることが必要です。

Q.川や池でザリガニ釣りをすることはできますか。

A.捕獲はできるので、ザリガニ釣りはこれまで通りできます。釣ったその場で逃がす「キャッチアンドリリース」もできます。ただし、釣った場所とは別の場所にリリースすることは、その場所の生態系を壊すことにもつながりかねないのでしてはいけません。

Q.いま飼っているアメリカザリガニやアカミミガメを飼育できなくなったらどうしたらいいですか。

A.川や池に捨てることは「野外への放出」にあたり禁止されています。最後まで責任を持って飼うことが必要ですが、どうしても飼えない場合は、代わりに飼ってくれる人を探し、無償で譲り渡してください。

Q.代わりに飼ってくれる人を探しても見つからない場合はどうしたらいいですか。

A.代わりに飼ってくれる人がどうしても見つからない場合は、残念ですが殺処分もやむをえません。殺処分する場合は、適切に処分できる業者に依頼するなどして、薬殺や冷凍など、できる限り苦痛を与えない適切な方法で行ってください。そうしなくていいように、飼い始める前によく考えて飼うことが大切です。

環境省では相談ダイヤルを設けて飼育などの相談に応じています。
番号:0570-013-110

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