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インボイス 請求書の登録番号表記は? 個人タクシーはあんどんの色で

  • 2023年10月2日

消費税の納税額の正確な把握を目的とした新しい税額控除の方式、「インボイス制度」が始まりました。消費税の控除や還付を受けるには品目ごとに税率や税額を記載したインボイスと呼ばれる請求書やレシートが必要となります。発行される請求書などではどんな表記になっているのでしょうか。事業者の対応について取材しました。

請求書 レシート 「T」から始まる登録番号

「インボイス」は事業者どうしの取り引きで発行される新しい形式の請求書やレシートで、10%と8%、それぞれの税率ごとの消費税額がいくらかなどを記載します。

制度が始まるのを前に、埼玉県越谷市のイタリアンレストランでは、30日午後11時の閉店後、制度に対応する新しい領収書の準備に追われていました。

新しい領収書には、国から付与された「T」から始まる登録番号が刻印された印鑑を押しています。
店で働くスタッフがわかりやすいよう、店内での飲食は10%、テイクアウトは8%と、適用される税率ごとに領収書の記入例も作成していました。

登録の個人タクシーは黄色の「あんどん」

また、制度の開始に合わせ、都内を走る個人タクシーのおよそ6割が加盟する「東京都個人タクシー協同組合」では、10月1日から制度に登録しているタクシーは「黄色」、登録していないタクシーは「白」と、車両の上に設置する「あんどん」の色を使い分けることなどを加盟事業者に依頼しています。

タクシーを業務で利用して経費処理しようとする場合に、支払った消費税分の控除を受けられるかどうか、利用しようとする人が見分けられるようにするためです。

小規模事業者 登録で新たに消費税納付の義務

事業者が仕入れなどで取引先に払った消費税額の控除や還付を受ける際、インボイスが発行されていることが条件となり、インボイスを発行する事業者は国への登録が必要です。
一方、年間の売り上げ1000万円以下の小規模事業者が登録をする場合、これまでは免除されていた国への消費税納付の義務を新たに負うことになります。

取引先の8割が売り上げ1000万円以下の事業者

東京・文京区にある絵本や紙芝居の出版社、「童心社」は「いないいないばあ」や「おしいれのぼうけん」など、世代を超えて愛される多くの作品を世に出してきました。
作家やデザイナー、イラストレーターなど、取引先の8割が、年間の売り上げ1000万円以下の事業者で、インボイス制度に登録した場合、これまで免除されていた消費税納付の義務を負うことになります。

この会社では、ことしのはじめ、取引先には、制度が始まっても登録を求めず、「取引条件は変更しない」と伝えました。

取引先の負担を考え、対応を決めたということですが、会社が国に納める消費税の額は、経過措置が実施されることを考慮して最初の3年間で年に400万円ほど、最終的には年に2000万円ほど今までより増える試算です。

童心社 後藤修平社長
「広く知られている先生でも収入面は厳しく、今より負担が増えれば生活できなくなる可能性もあります。先生ごとに特色があって、ほかに変えればよいというわけにはいきませんし、会社が負担を受け入れる以外に選択肢はありません。劇的な策は無いですが、負担に耐えられる経営体質に変えていきたい」

国税庁の元職員で税制度や税務行政に詳しい専門家は

中央大学法科大学院 酒井克彦教授
「インボイス制度が物価にもたらす影響もあると思われる。制度に登録するかしないか、それにともなってどれだけ消費税分を上乗せするかしないかなどを、すべての事業者が悩んで検討した結果が今後の価格などに反映される。こうした事情を理解した上で、多くの国民が共有すべき新しい社会変革だと認識する必要がある。現場では多くの課題が出てくると思われるが、それらを一つずつ解決しながら前に進むことが求められ、国は今後、より柔軟な行政や税の執行のあり方を考えていくことが必要だ」

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