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いつまで暑い日続くの? ことしの夏の平均気温 125年間で最高に

  • 2023年9月5日

ことしの暑さは「災害級」と表現されるように警戒が必要な日が多くなったように感じます。

「異常気象」と指摘されることしの夏。
6月から8月の平均気温が、この125年間で最も高くなりました。

この暑さは、陸にとどまらず海域にも影響しました。
日本近海の平均海面水温は平年より1度高く、統計を取り始めた1982年以降、去年の0.8度を上回り、過去最も高くなりました。

地上も海も、最も暑い夏だったことがデータから裏付けられました。

この夏の平均気温 ~125年間で最高に~

気象庁は9月1日、ことし6月から8月のこの夏の天候のまとめを発表しました。
それによりますと、ことしの夏の平均気温は平年と比べ1.76度高くなりました。

夏の平均気温としては1898年の統計開始以降、これまで最も高かった2010年の1.08度を大きく上回り、この125年間で最高となりました。

特に北日本では高温の傾向が顕著で、平年を3度上回りました。

各地で相次いだ猛暑は夜間にも影響し、8月10日には新潟県の糸魚川市で最低気温が31.4度と歴代の全国1位を更新するなど、全国248地点で最低気温が最も高くなりました。

この記録的な暑さについて気象庁の専門家による検討会は先月28日、日本付近は高気圧に覆われやすく、暖かく湿った空気が流れ込み続けたためだとして、「異常気象だと言える」と指摘しています。

○東京都心の猛暑日 過去最多に・・・

この夏の天候を月ごとに見ていきます。

6月は、高気圧に覆われやすく、北日本と東日本を中心に気温が上がりました。
7月は、東北地方から九州地方が梅雨明けした下旬以降、全国的に晴れる日が多く、猛暑日が相次ぎました。
8月に入ると気温はさらに上がり、5日に福島県伊達市で、10日には石川県小松市で、いずれも40度ちょうどに達するなど記録的な暑さとなりました。

東京の都心でもことしの猛暑日は31日までに22日観測され、1875年に統計を取り始めてから過去最多となったほか、最高気温が30度以上の日が31日までの57日間にわたり続きました。

記録的な少雨 ~農作物に影響も~

一方、夏の期間を通した降水量は北日本の太平洋側では少なくなりました。

8月は北日本や東日本の日本海側では高気圧に覆われてまとまった雨が降らず、記録的な少雨となりました。

1か月の雨量が新潟市ではわずか2ミリ、北海道南部の江差町では11.5ミリ、山形県酒田市では13ミリと、8月として過去最も少なくなりました。

新潟県内では一部のダムで貯水率が0%になったほか、稲が枯れるといった農作物への影響も出ました。

いつまで暑い日続く?

気象庁によりますと、日本付近は9月いっぱいは暖かい空気に覆われると予想され、東日本から西日本では猛暑日となる日も多いと見込まれています。

気象庁は、特に北日本と東日本では今後1週間程度は雨が少なく、2週間程度は気温が高い状態が続くとして、「少雨と長期間の高温に関する気象情報」を発表し、引き続き、熱中症に警戒するとともに、農作物や水の管理にも十分注意するよう呼びかけています。

この暑さ ~海域にも影響~

この暑さは陸にとどまらず海域にも影響し、日本近海の平均海面水温は平年より1度高く、統計を取り始めた1982年以降、去年の0.8度を上回り、過去最も高くなりました。

特に北海道の日本海沿岸や北海道から青森県にかけての太平洋の海域「北海道南東方」で3.1度、北海道と青森県の西方の海域「日本海北部」で2.56度、東北から山陰にかけての「日本海南部」で2.1度、東北から関東にかけての海域「本州東方」で1.73度高くなり、いずれも夏の平均海面水温として観測史上最も高くなりました。

気象庁によりますと、日本の南岸に沿って流れる黒潮は房総半島沖まで達したあと、例年は「続流」として本州から離れるように東向きに流れます。

しかし、ことしの春以降、黒潮の続流が三陸沖まで北上したことで、北日本近海の海水が温められたとみられるということです。

また、東北から北陸にかけての日本海沿岸では先月の平均海面水温が30度を超え、この夏の沖縄周辺の平均海面水温を上回りました。

この海域で平均海面水温が30度を超えるのは統計を取り始めた1982年以降で初めてです。

要因について気象庁は、北日本では先月、高気圧に覆われて気温が高く、晴れた日も多かったことで、日ざしや暖かい空気により海面水温が高くなったと説明しています。

専門家 “記録的な暑さがまたやってくるかも”

この夏の気温は地上の暖かい空気と日本近海の海面水温が密接に関わり、互いに温度を高めていったことが記録的な猛暑につながったと気候変動に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの中村尚教授は指摘します。

○記録的な猛暑について
特徴的だったのは北日本の太平洋側の海域で、例年は南からの暖かい空気は海で冷やされるが、ことしは海が暖かいため冷却効果が効かず、気温の上昇につながった。

この海域では夏でも比較的水温が低く、空気が冷やされて雲が発生しやすいが、ことしは雲が非常にできにくく、日ざしが直接、海面に届いて、さらに海面水温を上昇させた。気温と水温が互いを強め合うような関係がことしは特に北日本周辺で顕著に起きて、歴代1位の高温となった。

エルニーニョ現象の影響で熱帯が暖まって大気の流れも変わったことや、海面水温の上昇といった複数の自然変動に加えて、地球温暖化の影響が重なったことで記録的な高温となった。この先、温暖化が続いたときに、ことしのような大気の流れになったら、記録的な暑さがまたやってくるかもしれないという“危惧を抱かせるような夏”だった。

○今後の見通しについて
残暑がしばらく続く可能性は高く、海面水温も高いままだと台風が北上した際に勢力が衰えにくくなるおそれはある。特に三陸沖は黒潮の流れによって水温が高い状態が維持されやすい。また、日本海では海面水温が平年より高い状態で推移する可能性が高く、水蒸気が雪雲の発達を促し、この冬、雪の量が増える可能性もある。

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