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生成AI ガイドライン公表 学校でどのように利用?“うまく使う人を育てる”

  • 2023年7月5日

人と会話しているかのように、自然な文章を自動で作ってくれる「生成AI」。
今、急激に普及が進んでいます。

その、生成AIを「教育現場」でどう活用するか、模索がはじまっていますが、4日、文部科学省は初めて生成AIの学校現場での取り扱いについて、暫定的なガイドラインを公表しました。

どんな内容になっているのか、「教育現場」で、どう活用しようとしているのでしょうか。

生成AI 授業に導入した小学校

東京の東京学芸大学附属小金井小学校の鈴木秀樹教諭は、ことし3月から生成AIを授業で取り入れています。この日行われた4年生の国語の授業では、教科書にある説明文を読んで、筆者が伝えたい部分がどこに書かれているのか、話し合いました。

文末にまとめられていたり、題名にヒントがあったりすることを理解したあと、鈴木教諭がAIに聞くと、AIは即座に子どもたちの議論の結果と同じ回答を導きだし、子どもたちからは歓声が上がりました。

鈴木教諭は別の授業でAIが回答を間違えるケースも取り入れていて、こうした体験を通して子どもたちに特性や適切な使い方を理解してほしいと考えています。
 

鈴木教諭
「授業で生成AIを使っていいのか不安もあったが、むしろ実践することが大事だと分かってほっとした。ガイドラインをきっかけに、多くの先生が『ちょっと使ってみるか』と考えるようになることを期待しています」

一方、取り扱い方についてまだ分からない点もあるとしてうまく活用できる流れができることを期待しています。

鈴木教諭
「発達段階に応じて何年生にどのような経験をさせるかなどまだ手探りなので、ガイドラインに書かれていない部分を現場でどうやって埋めていくか、難しいところでもあり、挑戦のしがいがある。多くの学校でうまくいった例や失敗などの情報を出しあって、事例集を作るなど、いい流れができることを期待しています」

ガイドラインの内容は?

今回、公表されたガイドラインで文部科学省はリスクが懸念される一方、使いこなす力を育てていく姿勢も重要だとして、限定的な利用から始めることが適切だとしています。

まず、適切な例をみていきます。
子どもたちがグループで考えをまとめたりアイデアを出したりする途中段階で、足りない視点を見つけ議論を深めるために活用。英会話の相手として、また外国人児童や生徒などの日本語学習での活用。そして、情報モラル教育の一環として教師が生成AIの誤った回答などを教材として使用し、その性質や限界について気づかせることなどを示しています。

一方、不適切な例がこちら。
生成AIのメリットやデメリットなどを学習せずに子どもたちに使わせること。読書感想文などのコンクールやレポートを提出する際、生成AIがつくったものを自分の成果として応募や提出すること。テストなどで子どもたちに使わせることなどを挙げています。

生成AI 学校でのガイドラインできたことについて

生成AIの学校でのガイドラインができたことについて、教育現場のICT活用などに詳しい、東北大学大学院の堀田龍也教授に聞きました。

Q1.ガイドラインができた意義は?

生成AIにさまざまな可能性を感じる人が多い一方、どこまで子どもに使わせていいのかという不安も結構あると思う。今の段階では慎重にスタートし、大切なことを丁寧に教えながら利活用を始めていくことを示したことに意義があると思う。

Q2.活用に不安を感じる教員や保護者は、まず何から始めればいい?

インターネットの検索エンジンが出始めたころも「子どもたちが考えなくなる」という意見があったが、今は重要なスキルになった。生成AIも同じ道をたどるだろう。学校の教員や保護者の方は周りの人たちと一緒にまずは使ってみて、こう使うと便利だとか、こういうふうに間違えるのかなど仕組みを理解することで、不安も減ると思う。子どもたちにも仕組みをしっかり教えることで回答をうのみにしてはいけないことや、個人情報を入れると漏れてしまうリスクがあることなどがわかってくると思う。AIを道具として便利に使っていくという心持ちを育てることにつながる。

Q3.今後、文部科学省に求められることは?

人口減少社会に入る中で、便利なものを活用することは社会の発展のためにも重要で、むしろ上手に使える人をたくさん育てていくことが大事だ。生成AIはどんどん発展するので、文部科学省は現場の好事例を集めたり、ガイドラインを見直したりするなど素早く対応し、学校現場での利用が加速するように施策を進めてほしい。

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