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高校生の就活開始 進む「デジタル化」

  • 2023年7月4日

来春卒業する高校3年生を対象にした企業の求人が7月1日から公開され、就職活動が事実上、スタートしました。

高校生の「就活」といえば、学校に届く大量の紙の求人票をめくるイメージもありますが、埼玉県の高校では、求人をデジタル化することで、生徒が納得できる就職活動を進めようという動きが始まっています。

「デジタル化」で生徒も先生もウィンウィン

先生

全員で就活戦線を乗り切って進路を勝ち取りましょう!

埼玉県松伏町にある県立松伏高校です。3年生の3割近くが就職を希望しています。例年だと生徒が見ていたのは紙の求人票でしたが、今では「スマホ」。この高校では去年からネット上で学校に届く求人票を見ることができるシステムを導入。

生徒たちは自分のスマホで専用サイトにアクセスして求人票を確認できます。事業内容、企業名や職種を絞るといろいろ出てきます。

生徒

紙の時は絞れないので、すごく見やすくなった。

生徒

紙だと、学校に来ないと見られない。スマホだと家でも見られるので親と一緒に見て『こういうところがあるよ』とか。あとは給料とか確認できたり、休みを確認できたりできるのでスマホで見れるのはとてもいい。

求人票のデジタル化を行うのは教員です。負担感を聞くと…。

先生

紙の時代を10とすると5~6ぐらいまで減ったかなと。

これまでは、膨大な量の求人票に対応するため10人以上の教員が1万枚ほどコピーをとって、閲覧用の紙のファイルを作成する作業に追われていたといいます。システムの導入でこうした作業が軽減され、生徒との面談などに時間をかけやすくなったということです。

埼玉県立松伏高校 橋本一 教諭
デジタル化で担任の先生も時間に余裕ができた。生徒面談であるとか、いろいろな相談にのっていきたい」

ことしの就活戦線は?企業側の動きは?

では、ことしの傾向はどうなのでしょうか。全国の高卒者の求人倍率はことし3月末時点で3.49倍と過去最高を記録。経済活動の活発化や進学率の高まりで就職を希望する生徒が減少していることなどから、高水準の求人が見込まれています。

企業側も高校生に「選ばれる」ための動きを強めています。
積水ハウスグループは、住宅の建設を担う「技能工」の社員で、高卒と専門学校卒の採用を2024年度は今年度よりも2倍以上拡大し、95人とする計画です。また、高卒の社員の初任給を2年連続で引き上げて、来年度からは19万5000円とし、待遇の改善も進めています。

背景には、時間外労働の規制が強化されるのに伴い人手不足が懸念される、いわゆる「2024年問題」への対応が、建設業界でも求められていることがあるといいます。

積水ハウス建設事業本部 人事責任者 岸本久樹さん
「2024年4月から、時間外労働の上限規制が加わってくるので、労働者一人ひとりの可能な働く時間は短くせざるを得ない。人数を増強していかないといけない。あらゆる手段を講じて、人材確保を業界各社がやっていかないといけないと思う」

このほか、「キリンビバレッジ」は、従来の大卒などの採用で計画どおりの人数確保が難しいとして、高卒人材の採用を、来年春から新たに始めることにしています。
「アイリスオーヤマ」は、入社前にビジネスマナーの研修を行って、社会人になる際の不安を解消する取り組みをするなど、高卒人材の確保に向けた動きが出ています。

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