日本郵便とヤマト運輸は、メール便と薄型の荷物の分野で協業すると発表しました。メール便をめぐっては、佐川急便もすでに配達業務を日本郵便に委託していて、日本郵便がほぼ一手に配達を担うことになります。配達の委託はいつからなのか、荷物の預かりはどうなるのかなどについてまとめました。
発表によりますと、日本郵便とヤマト運輸の両社は、ヤマト運輸が手がけるメール便の「クロネコDM便」と、薄型の荷物を届ける「ネコポス」の事業について、配達業務を日本郵便に委託する形で協業することで基本合意したということです。
両社は、今回の協業について、物流業界で人手不足が深刻化するいわゆる「2024年問題」に対応するためだとしています。
日本郵政 増田寛也社長
「物流事業者を取り巻く環境が厳しさを増し、安定した物流サービスの提供が課題となるなか、両社の協業は、この課題の解決に資する取り組みだ。委託料はこれから協議するが、経営にも大きなプラスになる」
ヤマト運輸は、1997年にメール便のサービスを開始し、一時は取扱量が年間で20億冊を超えました。しかし、請求書などの「信書」は、法律で郵便以外では認められない中、一部で抵触する事例もあり、2015年以降は内容物をカタログなどに限定していました。
ヤマト運輸の2022年度の取扱量は、メール便が8億冊、薄型の荷物が4億1000万個となっています。
ヤマト運輸は荷物の預かり業務は引き続き行うとしていて、薄型の荷物はことし10月から順次、メール便は2024年2月に、それぞれ配達業務を委託する計画です。
ヤマトホールディングス 長尾裕社長
「メール便などのサービスを提供するために、それなりの経営資源を使っていたことは否定できない。今回のパートナーシップで商品の品揃えは維持しながら、さらにいいサービスを構築できると思う」
深刻な人手不足を背景に物流業界の間で値上げによって人材の確保や待遇改善につなげようという動きが広がっていて、宅配大手ではことし4月に、佐川急便が平均で8%、ヤマト運輸も平均でおよそ10%それぞれ宅配便の料金を値上げしました。
また、日本郵便も燃料価格の高騰や人件費の上昇などを受け、ことし10月から平均でおよそ10%値上げすると発表しました。