千葉県八千代市の16歳、高校2年生の安楽宙斗選手がスポーツクライミング、ボルダーのワールドカップで初優勝しました。年間総合優勝も果たす快挙をなしとげました。
パリオリンピックまであと1年あまり。オリンピック初出場に向けて弾みをつけました。
そんな安楽選手は、どんな選手なのか、取材しました。
スポーツクライミング、ボルダーのワールドカップは今シーズンの最終戦がオーストリアで行われ、男子は16歳の高校生、安楽宙斗選手が初優勝しました。この結果、安楽選手は今シーズン初めて参戦したワールドカップで、この種目の年間総合優勝を果たし来年のパリオリンピックに向けて弾みをつけました。
スポーツクライミングのボルダーは「課題」と呼ばれるコースを制限時間内に、いくつ登ったかを競う種目で、オーストリアで行われた今シーズンのワールドカップ最終戦は、16日、男子の決勝が行われました。
6人で争われる決勝には、日本の安楽選手と24歳の楢崎明智選手の2人が進出しました。
このうち高校2年生の安楽選手は、最初の課題を、腕のリーチの長さを生かし、1回目のトライで登り切る「一撃」で完登しました。
2つ目の課題では、3回目のトライで6人の中でただ1人、最後まで登り切りました。
3つ目の課題ではコースの途中にある「ゾーン」と呼ばれるポイントに到達できませんでしたが、最後の4つ目の課題では、勢いよく飛び上がって離れたホールドをつかむ「ランジ」という動きを使って、7回目のトライで完登に成功し、ワールドカップ初優勝を果たしました。
ボルダーのワールドカップは今シーズンの全6戦を終え、今シーズンから参戦した安楽選手は、第3戦で2位に入るなど4つの大会で決勝に残る安定感を見せて、ランキングでトップに立ち年間総合優勝を果たしました。
安楽選手はパリオリンピックの代表選考がかかる、ことし8月の世界選手権出場をすでに決めていて、初出場を目指す来年のオリンピックに向けて弾みをつけました。
一方、ボルダーの日本一を決めることしのジャパンカップを制した楢崎選手は、3つの課題で完登に成功し、トライした回数の差で2位となり2017年以来、2回目のワールドカップの表彰台に立ちました。
ボルダーのワールドカップで初優勝を果たした安楽宙斗選手は「ことばが出ないけど、ただうれしい。心がホワホワしている」と喜びを表しました。
ただ1人、完登した2つ目の課題については「競技前の下見の『オブザベーション』ではダイナミックに動く予定だったが、リスクが高いと思って本番は静かな動きでいった。しっかり時間を見ながら落ち着いて完登できた」と振り返りました。
今シーズンから参戦したワールドカップでボルダーの年間総合優勝を決めたことについては「びっくりしているが、年間を通して安定した成績を残せてうれしい。ただこの1年でクライミングをやめるわけではないので、しっかりこの結果を喜びつつ、来年のシーズンにもつなげていきたい」と話していました。
初出場を目指す来年のパリオリンピックに向けて弾みをつけた安楽選手とはどんな選手なのか。
安楽選手が、小学生の頃から、いまも、週に1、2回通うという千葉県八千代市のジムに伺ってきました。
一緒にトレーニングすることもあるというジムの店長・高井裕さんに今回の優勝について聞きました。
高井裕 店長
「まずは、おめでとうと握手をしたい。もともとすごいとは思っていたが優勝はびっくりです」
メキメキと上達した安楽選手の強みの一つは。腕の「リーチ」の長さだといいます。
「彼、リーチがめちゃめちゃ長くて182センチとか3センチとか。めちゃめちゃ長い。基本的には、身長と同じくらいが基本なんですが」
さらに、「軽やかな体の使い方」にも大きな特長があるといいます。
「力みを感じないというか、ふわっと重力をあまり感じないというか、適したところに体を持ってくるのがすごく上手ですごい簡単そうに登る。そういうところが、こういう結果につながったのかなと」
さらに上を目指すためには、指先のパワーをつけることが必要だと安楽選手は話しているということです。高井さんは安楽選手に大きな期待を寄せています。
「ここまで、トレーニングしながら、突き詰めてやっているのは見ていて感じられる。めちゃめちゃ期待している。やってくれると信じてます」
そして、18日は、オーストリアで、一発勝負で壁を登った高さを競う「リード」という種目のワールドカップの開幕戦に安楽選手が出場し、日本勢トップの4位に入りました。
一方、女子では、茨城県つくば市出身で19歳の森秋彩選手が2位に入りました。
来年に迫ったパリオリンピックへの出場に向けて、首都圏勢の活躍から目が離せません。