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コロナ後遺症 患者や医師が語る 続く症状 5類移行後も必要な支援は

  • 2023年5月12日

新型コロナウイルスをめぐっては感染症法上の位置づけが「5類」に移行され、国の感染対策は大幅に緩和されました。ただ、今後も対応が必要な課題の一つが原因や治療法などわかっていないことが多い後遺症に苦しむ患者への医療や支援です。後遺症に苦しむ人たちが取り残されないために何が重要になるのか。聖マリアンナ医科大学病院で治療の現場を取材しました。

新型コロナに感染 発熱がおさまっても

神奈川県に住む20代の女性は、2022年8月に新型コロナウイルスに感染しました。発熱がおさまったあと、体がだるくなり、頭がボーッとする症状が続きました。シナリオライターとして働いていましたが集中できず、文章を書くのが難しくなりました。寝込むことが増え、孤独感が強まったといいます。

女性
「ボーッとしてきたりとか頭が痛くなってきちゃって。創作とか執筆とかできなくなってしまいましたし、元どおりになるのだろうかってすごく不安で」

専門外来を受診 脳の血流が

症状が改善せず、女性は後遺症の専門外来を受診しました。集中力や思考力が低下する症状になっている可能性があると診断され、治療を受けることになりました。

※色がついた部分・同年代の平均より血流が低下した部分

女性の脳の血流を調べたところ、後ろ側の血流が低下していて、視覚に関係する部分で血流が滞っていたということです。

聖マリアンナ医科大学 佐々木信幸教授(この病院で診療)
「今のところわかっていることとして脳の血流の低下が部分的に起こっている。実際に認知機能も低下している。ただ、例えばどのくらいの強度でどのくらいの量を賦活すればいいかはわかっていないです」

支えとなったのは周囲の理解

女性は、この病院で試みられている磁気をあてて脳を刺激する治療法を半年ほど前から受けています。女性の場合、症状は徐々に改善し、仕事に復帰しました。
不安を抱えながら治療を受けるなか、女性の支えになったのは周囲の理解だったといいます。

「私のことを待ってくれる人はいるのだろうかと本当に不安で。私は『復帰をお待ちしています』っていう声がたくさんあったので、離れていてもみんなが待っていてくれるのだなっていうのを支えに治療を頑張れましたが」

“社会全体で患者への理解とサポートを”

この病院で診療にあたっている佐々木信幸教授は、新型コロナが5類に移行しても後遺症はなくなるわけではなく、今後も社会全体で、患者への理解とサポートを続けることが必要だと訴えます。

佐々木信幸教授
「後遺症はあくまで後遺症が残った状態ですので、その状態に対する治療は今後も続けないといけない。こういう病気がある、治療しなきゃいけない、その体制を理解して頂いて働き方も調整して頂ければと思います」

新型コロナの後遺症とは

厚生労働省がまとめた医療機関向けの診療の手引きで示されている新型コロナの後遺症の代表的な症状は次の通りです。

ただ、後遺症については原因などわかっていないことが多く、国内外で調査や研究が続けられています。

後遺症への対応強化 医療機関リスト公表も

新型コロナの後遺症について、厚生労働省は後遺症への対応を強化する方針です。具体的には、全国各地で後遺症の診療にあたる医療機関のリストをとりまとめて厚生労働省のホームページなどで見ることができるようにするほか、後遺症の患者を診療した医療機関に支払われる診療報酬を加算することにしています。

また、後遺症については原因や治療法などわかっていないことも多いため、国内外の最新の研究成果が診療に反映されるよう、医療機関向けに随時、情報を提供していく方針です。

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