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オミクロン株「BA.5」系統の増殖は? “高熱ではしにくい” 東大など

  • 2023年5月10日

新型コロナウイルスは感染が始まって以来、変異を繰り返していますが、第8波などで主流だったオミクロン株の「BA.5」系統について東京大学などのグループは、高熱の状態では増殖しにくいとする実験の結果を発表しました。オミクロン株で重症化する人の割合が低かった理由の解明につながる可能性があるとしています。実験結果の内容や変異ウイルスの状況についてまとめました。

オミクロン株 “若い人は重症化の割合低い”

新型コロナウイルスで2022年の初めから国内でも主流となったオミクロン株は、それまでの変異ウイルスと比べて特に若い世代では重症化する割合は低いものの、感染が広がるスピードは格段に早く、より多くの人が感染するようになっていることから、亡くなる人も多くなりました。

“BA.5 高熱では増殖しにくい”

オミクロン株のうち感染拡大の第8波などで主流だった「BA.5」系統は、高熱の状態では増殖しにくいとする実験の結果を東京大学などのグループが発表しました。
この研究は東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授や京都大学の野田岳志教授らのグループが国際的な科学雑誌「ランセット・マイクローブ」で発表しました。

ウイルスの増え方 37度と40度では

グループは、ヒトのiPS細胞から肺の細胞を作って、デルタ株や、オミクロン株の「BA.5」と「BQ.1.1」を感染させ、ウイルスの増え方を比べました。
その結果、平熱に近い37度ではどの変異ウイルスも2日後には10万から100万倍に増えました。
一方で、40度では、デルタ株は37度のときと同様に増えましたが、「BA.5」の増加は1000倍にとどまり、「BQ.1.1」は増えませんでした。

“重症化する人の割合が低いことに関係か”

グループは、オミクロン株は高熱で増殖しにくく、デルタ株などに感染した場合に比べて重症化する人の割合が少ないことに関わっている可能性があるとしています。

東京大学医科学研究所 河岡義裕特任教授
「40度の環境で増えないのは季節性インフルエンザに似ている。新型コロナも3年かけて性質が変わってきたのではないか」

“免疫を逃れやすい性質”「XBB」系統が主流に

変異ウイルスは、「BA.5」に変わって、現在は複数のオミクロン株が組み合わさり、免疫を逃れやすい性質が指摘されている「XBB」系統が主流になってきています。

東京都では4月20日時点で「XBB」系統の変異ウイルスがおよそ7割を占めていて、このうちアメリカでも多く検出されている「XBB.1.5」が全体の4割程度と最も多く、次いでヨーロッパで多く検出されている「XBB.1.9.1」が2割程度となっています。

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