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マイナカード コンビニの証明書交付 なぜ別人の書類が誤発行?

  • 2023年5月23日

マイナンバーカードをめぐってはコンビニで住民票の写しなどを交付するサービスで別人の証明書が発行される不具合、一体化した健康保険証で本人とは違う保険証の情報が登録されていたケースなどが明らかになりました。またマイナンバーにひも付けて登録する「公金受取口座」について別人のマイナンバーに登録されるトラブルも確認されたということです。わかっていることをまとめました。(5月24日更新)

マイナンバーカードで証明書 不具合相次ぐ

デジタル庁によりますと、コンビニでマイナンバーカードを使って住民票の写しや戸籍証明書などを交付するサービスで、別人の証明書が発行される不具合がことし3月以降、横浜市、川崎市、東京・足立区であわせて13件発生しています。(5月9日時点)

河野デジタル大臣は5月9日の閣議の後の記者会見で、原因はシステムの不具合だとして、原因の調査や再発防止のため運営会社に対し、システムを一時停止するよう要請したことを明らかにしました。

デジタル庁は、システムが停止する時期や期間については、自治体ごとで異なるとしています。その一方で、自治体の窓口で住民票などを交付するシステムに問題はなく、手続きは継続されるということです。

河野デジタル大臣
「個人情報保護に関して、国民の皆様の信頼を傷つける大変重大な事故で、誠に申し訳なく思っている。管理体制についても政府側としてしっかり確認を進めていきたい」

別人の証明書がなぜ 川崎市の事例

なぜ別人の証明書が発行されたのか、川崎市の事例をみてみます。
川崎市によりますと、5月2日、住民がコンビニで、マイナンバーカードを使って戸籍証明書を申請しました。このとき、市内の別のコンビニでもほぼ同じタイミングで別の申請が行われました。

すると、後の人の処理が先の人の処理を上書きしてしまい、先に申請した人にも、後から申請した人の証明書が発行されてしまったということです。

不具合は「証明書発行サーバ」

不具合があったのは、自治体ごとに構築されている「証明書発行サーバ」と呼ばれるシステムで、富士通の子会社「富士通Japan」が運営し、全国およそ200の自治体が使っているということです。

今回の問題を受けて、富士通は最長で6月4日までシステムを停止し、一斉に点検を行うことを発表しました。富士通は、「今回の一斉点検で、多くの皆様にご迷惑とご不便をおかけいたしますことを重ねておわび申し上げます」としています。

誤発行 登録抹消した印鑑証明書でも

総務省は、新たに、すでに登録を抹消した印鑑登録証明書が誤って発行される不具合が、全国であわせて11件確認されたことを、5月16日の衆議院総務委員会で明らかにしました。内訳は、熊本市で5件、新潟市とさいたま市でそれぞれ3件だとしています。

いずれも別人の証明書が発行される不具合が起きたものと同じシステムを使っていたということで、それぞれの自治体は、システムの運営会社と連絡を取って、原因の究明と改修を進めています。

松本総務大臣
「事案が立て続けに発生したことは誠に遺憾だ。総務省としてもシステム運営会社から直接、原因や再発防止を確認し、システムの総点検や改善の検討を進めている」

一体化の健康保険証 別人の情報のひも付けも

一方、マイナンバーカードを使ったコンビニエンスストアでの証明書の交付で不具合が発生する中、加藤厚生労働大臣は5月12日の閣議のあと記者団に対し、マイナンバーカードと一体化した健康保険証を医療機関などで利用した際、本人ではなく、別の人の情報がひも付けされていたケースが確認されたことを明らかにしました。

加藤厚生労働大臣
「入力時にミスがあって別の人の情報がひも付いたケースだと認識している。今後は、そうしたことが起こらないよう入力時に十分配慮することを徹底してもらいたい」

“閲覧されたのは5件” 名前 生年月日 診療情報

厚生労働省によりますと、名前や生年月日に加え、医療費や処方された薬などの診療情報が閲覧されたケースが、これまでに5件、確認され、健康保険を運営する組合などが加入者の健康保険証とマイナンバーカードをひも付ける際に、入力を誤ったことなどが原因とみられるということです。

厚生労働省は、情報が閲覧された5件の詳しい内容を明らかにしていませんが、医療機関を受診した際に、別の人の情報が登録されていることを指摘されたケースや、マイナンバーの専用サイトでみずからの情報を確認しようとした際に、別の人の情報がひも付けられていることに気がついたケースが想定されるとしています。

“閲覧はされず” 別人の情報登録7300件余

一方、これとは別に、2021年10月から2022年11月までのおよそ1年間で、閲覧はされていないものの、入力ミスなどによって、本人とは違う保険証の情報が登録されていたケースは7300件余りあったということです。

これらのケースは、健康保険を運営する組合の自主点検によって確認されたもので、すぐに、閲覧を停止する措置を取ってデータを修正したため、ほかの人が閲覧することはなかったとしています。

厚生労働省では、組合などにチェックする項目を増やすなど、再発防止の徹底を呼びかけています。

「公金受取口座」でもトラブルが

マイナンバーにひも付けて登録する「公金受取口座」について、河野デジタル大臣は5月23日、誤って別の人のマイナンバーに登録されるトラブルが確認されたことを明らかにしました。トラブルは福島市など6つの自治体で11件確認され、いずれも人為的なミスが原因で誤って入金されたケースはないとしています。

各地の自治体の窓口ではマイナンバーカードの取得促進のために行われていた「マイナポイント事業」で、専用サイトを活用した登録を支援しています。
今回確認されたトラブルではこの専用サイトで登録を済ませた後、ログアウトしないまま、手続きを続けたため別の人のマイナンバーに口座が登録されたということです。

これを受けて、デジタル庁は自治体に対してマニュアルを守った手続きの徹底を呼びかけるとともに、ほかにも登録された口座に誤りがないか、総点検を実施することにしています。

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