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培養肉とは? フォアグラをアヒル細胞から 目指すは100g 300円

  • 2023年2月22日

アヒルの細胞から作り出した「培養フォアグラ」の開発を進める会社が、味などを確かめる試食の様子を公開しました。どんな味だったのでしょうか。
将来の食料不足への懸念などを背景に各国で研究が進められている培養肉やゲノム編集食品などの動き、そしてルールの整備や安全の確保など課題についてまとめました。

培養肉 ゲノム編集食品 食の分野の新技術

食の分野では家畜の細胞を培養して新たな肉を生み出す、いわゆる「培養肉」やゲノム編集の技術で改良したゲノム編集食品など、新しい技術が次々と登場し、将来の食料不足などの解決につながると期待されています。

培養フォアグラ試食 味やコストは

こうした中、「培養フォアグラ」の試食の様子が2月21日公開されました。
開発に加わっている関係者は、培養フォアグラを入れた料理と入れなかった場合の味や風味の違いを調べました。「培養フォアグラ」は東京のベンチャー企業がアヒルの肝臓の細胞を独自の技術で培養し、ペースト状にしているということです。

脂肪分がない ざらっとする感じがある。

実験室でできているということで抵抗があったが、フォアグラのような肉の味というのは確実に感じられた。

会社によりますと「培養フォアグラ」は、培養の過程を通じてすべて安全性が確保された素材で作られているということです。
現在は100グラム3万円ほどのコストがかかっているということですが、およそ3年後に300円程度までに抑えることを目指すということです。

開発を進める「インテグリカルチャー」 羽生雄毅社長
「フォアグラの風味と舌触りが合わさり、一口食べたときに『いける』と思いました。販売などのルールが整備されたときに、安心なものを安価に届けられるよう技術を磨いていきたい」

培養肉とは 食肉不足や環境問題の解決に期待

「培養肉」は、牛などの動物や魚からとった筋肉の細胞を栄養成分が入った液を使って培養して作られる肉です。
日本では去年、東京大学と食品メーカーが食用に対応した培養液を開発するなどして、国内で初めてとなる「食べられる培養肉」を作りました。

また、アメリカではスタートアップ企業が「培養サーモン」を開発したほか、イギリスでは10年前、世界で初めて、培養肉を使ったハンバーガーの試食会が行われ、1個あたり3000万円以上というコストが話題となりました。

実現すれば、人口増加に伴う食肉不足や畜産が環境に与える負荷などの解決につながると期待され、世界中で研究が進められています。

培養肉の研究が進む一方、製造・販売に対応した安全管理のルールはまだ十分整備されておらず、基準づくりが重要になっています。

市場に出す際のルール整備や安全性確保など課題

こうした中、農林水産省や企業などで作る協議会は2月21日、培養肉など最先端の食品技術の将来的に目指す姿などをまとめた推進ビジョンを策定しました。

〇現状の課題
市場に出す際のルール整備
安全性の確保や情報公開
スタートアップ企業への支援体制

この中では、現状の課題として、新しい食品を市場に出す際のルールの整備や消費者が安心して受け入れることができるよう安全性の確保や情報公開の取り組み、それにスタートアップ企業を支援する体制作りなどの環境整備を早急に進める必要があるとしています。

協議会は、今後、このビジョンを国の政策策定や規格作りなどに活用していくということです。

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