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いつもピカピカに!静岡 ラジオ放送設備の清掃お見せします!

技術のお仕事シリーズ
  • 2024年04月12日

 

「放送設備の保守・点検のため、放送を休止します」という言葉を聞いたことはありますか?深夜に放送を止める前に流れる一文です。放送を継続するために設備を定期的に保守・点検していますが、どうしても放送を止めないとできない作業があります。そういった作業は多くの方が眠っている深夜に放送を休止して行っています。今回は以前、鉄塔の記事でも紹介した「宮竹ラジオ放送所」で深夜に行った清掃作業について紹介します!

「保守」?「点検」?それぞれの言葉の違いについては以下のように使い分けています
「保守」・・・設備を正常な状態に保ち、長く使用できるようにしたり、故障の原因となる箇所をあらかじめ修理します
「点検」・・・設備に異音や異臭、変形・変色がないか、また正常な動作をするかを確認します

保守や点検と聞くと少し難しいと感じるかもしれませんが、皆さんも夏や冬が近づくとエアコンを綺麗に掃除したり、きちんと動くか確認していませんか?これに似た作業を放送設備でも実施していると思ってください。

宮竹ラジオ放送所

ラジオ放送所の代表的な設備は「ラジオ放送機」「アンテナ」「電源設備」で構成されています。

 

宮竹ラジオ放送所
ラジオ放送機(送信する電波を作り出す機械)
電源設備

2023年度に実施した宮竹ラジオ放送所の保守・点検項目は約20種類あり、このうち夜間に実施した作業は8種類ありました。例えば、放送機の切替試験や電波の測定、停電させて行う電源設備や発電機の点検などです。これらの作業は専門業者と実施することもあればNHK職員が実施することもあります。

ラジオ放送設備「二重給電盤」

さて、実際の作業はというと、ラジオ放送機の一部である「二重給電盤」の清掃です!
「二重給電盤」?とまた難しい言葉が出てきましたね。
どういった設備かというと、ラジオ第一放送とラジオ第二放送を一つのアンテナで放送するために電波を合成する役割を担っています。

 

二重給電盤

起動中は開閉禁止。電源を切ったら前面のパネルを外して、中を覗いて見ましょう。

二重給電盤の一部

さらに近づいて見ると、コイルやコンデンサなどが並んでいて銅板で繋がってます。ほこりがたまりそうな作り。

熱がこもらないよう、前面のパネルも隙間が空いているので、どうしてもほこりが進入します。

清掃作業

お待たせしました! いざ清掃作業に入っていきます。

すべてのパネルをあけて清掃開始

作業はNHK職員3名で行いました。ちなみに直前まで電気が流れていたため、触ると少し暖かくドキドキします。

60個ぐらいある銅板やコイル、コンデンサなどを濡らした布できれいに拭き取っていきます。清掃に使用する布も毛先のない専用のものを使っています。清掃後に糸くずが残った状態で放送機を起動すると、放電してしまう危険があります。そのため糸くずが発生しにくい布を使用し、清掃中にも糸くずが残っていないかを確認します。

清掃で使う布

手前の方は、拭き取りやすく、いい感じ。

一番低いところは、姿勢が辛い!また見えずらいので、壊さないよう慎重に。

奥のほうは、手が入っていかない!

清掃時の注意点として、銅板に力が加わって変形しないようにすることです。見慣れないとびっくりしますが、下の写真の形で適切に調整されています。銅板の形が変わると電波に影響してしまうんです。

薄く、特殊な形状をした銅板

清掃作業を怠ると”ほこり”が溜まっていきます。この”ほこり”によってショートしてしまいコイルやコンデンサが壊れたり劣化する原因になり、放送サービスの低下に繋がってしまいます。清掃はとても重要な作業で、1年に1回は行います。

手先に注意しながら進め、作業時間は1時間30分ほど。清掃後の布は、こんなにも汚れていました。

今回の作業で放送設備がピカピカになりました。また1年頑張ってもらいます!
じんわりと汗をかきながら、私自身の心もきれいになった気がします。これからも有事の際にも放送が継続できるように保守・点検を行っていきます!

 

  • 尾関 俊紀

    静岡・技術

    尾関 俊紀

    2011年入局
    電波を守る仕事を担当しています

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