衛星に!水中も!中継現場の技術 「静岡伊東温泉めちゃくちゃ市」
- 2024年02月15日
漁業が盛んな静岡県伊東市にて年に1度開催される、地元の特産品を並べた「伊東温泉めちゃくちゃ市」。その準備の模様を土曜朝の情報番組「ウィークエンド中部」で生中継しました!(1月27日放送) 今回は中継現場の技術ディレクターを担当した、わたし金崎舜が放送の裏側を技術視点で紹介します!
ウィークエンド中部
「ウィークエンド中部」とは静岡県を始め東海・北陸の7県向けに、毎週土曜日の午前7時30分から総合テレビで放送している朝の情報番組です。静岡にお住まいの皆さんはご存知ではないでしょうか。
さて「伊東温泉めちゃくちゃ市」の現場は開催直前で準備まっさかり。新鮮な魚やひものといった海の幸はもちろん、みかんなどの農産物や、つみれ汁などのあたたかい食べ物まで、めちゃくちゃ安くて、おすすめな物が一同に集結していました!
この「めちゃくちゃ市」の模様を映像・音声でどのようにしてみなさんへお届けするのか!
迫っていきましょう!
中継車
まずは中継を制作する上で欠かせない中継車を見ていきましょう!
街中やイベント会場などで目にすることもあるかと思います。各放送局で大きさやデザインなど
さまざまな中継車があります。大きくて真っ白な車。これがNHK静岡放送局の中継車です!
中継車には番組制作する上で必要な機能が備わっています。特徴的なのは中継車の上に取り付けられている“丸いお椀”。これは電波を送信するアンテナなんです!
アンテナの直径は約1.5mほど。両手をいっぱいに広げたくらい!大きいですよね。走行中、このアンテナは畳まれていて、使用するときにはボタンひとつで立ち上がります!
南方向にある人工衛星の位置情報をたよりに、横方向や縦方向の角度を自動で合わせます。車をどの方向に駐車しても合わせてくれるんです。南方向の空が建物や木などで遮られない限りは、いろいろな場所からの中継を実現できます!
では今回の場合はどのようにして中継現場の映像・音声が放送に出ていたかというと、下の図のように人工衛星を介して、NHK名古屋放送局のパラボラアンテナで電波を受信しました。
受信した映像・音声を名古屋放送局のスタジオにて切り替えを行い放送されました。NHKは全国各局に電波を受信するパラボラアンテナをつけていますので、中継車と放送局でお互いチェンネルを合わせれば、どこでも現場の映像・音声を見ることができます。
映像の組み立て
次は現場の方を見ていきましょう。中継で紹介する一つに「めちゃくちゃ大オークション」というものがありました。これは大・中・小 3種類の網をオークション形式で落札、網のサイズに合わせた設定時間内であればいけす内の魚がすくい放題という企画です。生中継では後藤アナウンサーが挑戦、大物が獲れてめちゃくちゃ盛り上がりました!
この現場で技術ディレクターの私がどうしても見せたいと思ったのはいけすの中。コダイ、ハマチ、イサキ、アジ、サザエ、伊勢海老など地元で水揚げされた新鮮な魚介類がたくさんいます。いけす内の魚の動きや活きの良さを見せることで、地域の豊かさ・魅力を伝える1カットになると思ったからです。通常のカメラに加えて水中用の小型カメラを準備し、現場でセッティングしました。
*通常のカメラは防水機能がなく、水中にそのまま入れることはできません。
防水機能を持ったハウジングと呼ばれる専用カバーに小型のカメラを入れることで、水中に入れることが可能になります。許可を取ったうえで、いけすの中に沈めていきました。中継車で水中映像を確認して角度やサイズを調整して固定します。
いけすの中ではカメラが浮力で動いてしまうため、おもりを重ねて動かないようにしました。
これを使って実際に放送された映像がこちら!
魚に警戒されることもなく、活発に泳ぐ様子や、水底にいるサザエが良く見えて、現場の魅力をしっかり放送で伝えることができたと思います!
水中映像も、ただカメラが撮影したままの映像ではありません。カメラの機種が違うと映像の発色も変わってきます。視聴者のみなさんにとって見やすい映像にするべく、中継車内で色や明るさを細かく調整しています。
上から撮影しているカメラでのいけすの青色と、水中カメラの青色を切り替えたときに違和感が出ないように調整をしました。
あまり見る機会のない中継現場の様子や中継車機能の一部を紹介しましたが、いかがでしたか?
今回、私が担当したように様々な機材や中継車の機能を把握して「映像」や「音」を設計していく、技術ディレクターという仕事もあるんです。番組に関わる皆のアイデアを実現していく楽しさがあります!これからも伝わりやすく見やすい生中継を届けられるよう技術力を磨いていきます!