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サッカー日本代表レジェンド続々!藤枝市サッカーのまち100周年でイベント

  • 2024年03月01日

3大会連続でワールドカップにキャプテンとして出場した長谷部誠選手。日本選手で初めてワールドカップで得点を決めた中山雅史さん。代表の背番号10を背負って戦い続けた名波浩さん。この3人は静岡県藤枝市の出身です。藤枝市はこれまで日本代表に多くの選手たちを輩出してきました。
市はことし・2024年を「サッカーのまち100周年」として、サッカーを軸にしたまちづくりを進めています。その取り組みを取材しました。

■サッカーのまちの起源

なぜ藤枝市が「蹴球都市」なのでしょうか。それは、市内にあるサッカーの強豪校・藤枝東高校と関係があります。いまからさかのぼること100年前の1924年に藤枝東高校(当時の志太中学校)は開校しました。このとき、初代校長を務めた錦織兵三郎がサッカーを「校技」と定めました。校技とは学校を挙げてその競技に取り組むというものです。

錦織兵三郎

ほかの競技と比べて運動量が豊富であることや、ボールが1つあれば多くの人が参加できることを理由に挙げたようです。そして、錦織が校技と定めてから、ことしがちょうど100年にあたることから、藤枝市はことしを「サッカーのまち100周年」と定め街のアピールに乗り出しています。

■「藤枝市サッカーのまち推進課」

取り組みの中心になっているのが、その名も「サッカーのまち推進課」です。6年前に作られた部署で専従の職員3人がサッカーを核にしたまちづくりの事業を進めています。

機運を盛り上げようと婚姻届や出生届のような各種の届け出用紙を記念のものにしました。市内各所に記念のモニュメントやのぼり旗も設置しました。

(藤枝市サッカーのまち推進課 増田恭之主幹)「大正13年からの藤枝のサッカーのまちの歩みということですので、この周年事業のなかで全国にアピールできるように進めていきたいと思います」

100周年記念イベントのキックオフとなったのが、1月27日の記念式典です。日本サッカー協会の田嶋幸三会長や、日本女子のワールドカップ初優勝に貢献した澤穂希さんなどが集まって祝福しました。

(日本サッカー協会 田嶋幸三会長)「この国のサッカーの歴史を築いてきたのは静岡であり、この藤枝であると思います。本当におめでとうございます」

市が生んだ3人のレジェンドもそろってメッセージを寄せました。当日は子どもたちも多く集まったことから、次世代へ向けた内容となりました。

(長谷部誠選手)「藤枝市サッカーのまち100周年、誠におめでとうございます。僕の原点はサッカーのまち藤枝で、すばらしい指導者やすばらしい環境の中で育てていただいたことです。いまそれが原点となって世界で戦っています」

(名波浩さん)「サッカーも、もちろんサッカー以外でも、ずっと努力していただきたい。そして、大きな夢を持って頑張ってください」

(中山雅史さん)「これからの100年、それはそこにいる少年少女、君たちが担っているんです。大げさですけれども君たちが未来の藤枝をつくるんです。よろしくお願いします」

市町村の式典で、日本サッカー界を代表するレジェンドたちが何人も出演するのも藤枝市ならではです。

この1年間、市は商店街でのサッカー大会や各世代のサッカー大会、eスポーツの催しの開催、サッカーミュージアムの開設などを予定しています。

■MYFC開幕戦1万人動員に挑む

市内のサッカーの聖地とされている「藤枝総合運動公園サッカー場」は、100周年にあわせるようにして1月にバックスタンドの改修が終わり、座席が新たに設けられました。

このスタジアムは、地元を本拠地とするサッカーJ2の藤枝MYFCがホームグラウンドにしています。MYFCはサッカーどころの藤枝市にJリーグのクラブの誕生を求める声によって、2009年に生まれました。2月24日の開幕戦は改修後のはじめての公式戦ということで、クラブはこの試合でスタジアムを満員にしようと奮闘しました。

まずはアピールに力を入れました。選手も参加して、商店街で買い物客や店主にチラシを配って来場を呼びかけました。2023シーズンのホームの平均来場者数は3145人。開幕戦ではこの3倍以上を集めなければならず、商店街のほかにも企業や団体へ訪問し協力を求めました。

(藤枝MYFC 前田翔茉選手)「みんな応援してくれているなと感じていますし、本当にありがたく思います。開幕戦で1万人を目指していますので、本当にみんなに来てほしいです」

そして、迎えた開幕戦。集まった観客は7243人でした。目標だった観客1万人には達しませんが、これまでクラブの公式戦で最も多かった2023年9月の清水エスパルス戦を上回り、過去最多の観客数となりました。

(サポーター)「席もきれいでワクワクしながら試合が見られるかなと思います。すごくいいスタジアムだなと実感しています」

(藤枝MYFC 杉田真彦選手)「この人数の人たちが入って見てくれる中で、試合ができるのはサッカー選手として幸せです」

MYFCは同じ静岡県内にあるジュビロ磐田や清水エスパルスと比べると歴史の浅いクラブですが、地元で親しまれる存在になってきています。2023シーズンからJ2に昇格したことで、さらに認知されるようになってきているようです。

■サッカーのまちの底力

市内にはMYFCや藤枝東高校だけでなく、1月に女子高校日本一に輝いた藤枝順心高校をはじめ、
さまざまなカテゴリーでレベルの高いチームがあります。

今回の事業を通して、市は次世代への文化の継承も狙いとしてあげています。レベルの高いサッカーが身近にあるまちとして、今後もどのように取り組んでいくのか、引き続き注目していきたいと思いました。

  • 加藤拓巳

    静岡放送局記者

    加藤拓巳

    平成23年入局。去年夏から出身地の静岡局勤務。取材を通して藤枝のサッカーへの力の入れ方に驚き。

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