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静岡に新たな観光名物を 家康が好んだ“天ぷら”で料理コンテスト

  • 2023年12月18日

これが天ぷら!?ご覧いただいているのは静岡県が主催した「家康のてんぷらコンテスト」で見事グランプリを勝ち取った一皿「家康のみらい」です。作ったのはフランス料理のシェフ。“驚きのある料理を作りたい”という69歳のシェフを取材しました。

家康が愛した天ぷらで新名物を

大河ドラマ「どうする家康」が放送された2023年、徳川家康ゆかりの地である静岡県への注目が集まる中で新設されたこの料理コンテスト。家康が好んで食べていたと言われている「天ぷら」で新たな食の名物を作り、観光客をさらに呼び込もうと、県と観光協会が開催しました。2つの募集テーマに対して38品が出品されました。このうち、静岡産のタイを使った天ぷら部門でグランプリに輝いたのが「家康のみらい」です。

フレンチシェフ 人生をかけた一品

茂泉三男さん

今回、グランプリを受賞した茂泉三男(もいずみ みつお)さん(69)です。葵区で40年、フランス料理店を営んできました。素材を生かした調理にこだわってきたという茂泉さんは、今回新しい料理でコンテストに応募。70歳を前にこれまでの料理人人生をつぎ込んだものにしたいと考えました。

その料理が「家康のみらい」と名付けられた一品です。小麦粉などを細い麺のようにしたヨーロッパの食材「カダイフ」で静岡県産のマダイを包み、油で揚げました。天つゆではなく、タイのだしと浜名湖の青のりで作ったクリームソースが添えられています。「もし家康がヨーロッパを旅したら、こんな料理に出合ったのではないか」ということを妄想しながら作ったんだそうです。

茂泉さん

クリームは家康が生きていた時代にはなかったでしょうから、きっとこのクリームソースにびっくりするんじゃないでしょうか。

マダイを包む“天使の髪” 

この料理を作るうえで茂泉さんがこだわったのは、普段から大切にしている「その店でしか体験できない驚き」や「わくわく感」です。

マダイの間には梅干しとレンコンが挟まれていて、味や食感の違いを生み出します。こうした食材を忍ばせる手法は、茂泉さんが長年の経験で培った工夫のひとつです。

茂泉さん

さかんに皆さん“映え”“映え”って言っていますけど、要は『驚き』なんですよね。料理も“あっ”と思うような料理でないと皆さん食べてくれないし触ってくれない、来てくれない。

今回の料理で茂泉さんが提供する最大の「驚き」が、マダイを包んでいる「カダイフ」という食材です。ヨーロッパなどで「天使の髪」とも言われているこのカダイフは、料理やデザートに使われています。20代の茂泉さんがフランスやスイスで厳しい修行生活を送る中で出会い、記憶に残った食材でした。

カダイフでマダイを包み込み油に落とすと、数秒で油の中に広がり、パリパリと香ばしい食感を生み出します。

茂泉さん

これ(カダイフ)はずっと何かほかに使えるんだろうなと、ずっと頭の中に残っていました。今回の天ぷらと組み合わせてみたら、みなさん絶対驚きがあるんじゃないかと。それでカダイフを使ってみることにしました。

これからも新しい料理を作りたい

料理を審査したのは、旅行会社やメディアの関係者たちです。東西の食材を融合させた茂泉さん渾身の一品が運ばれてくると、審査員たちからは思わず歓声があがりました。

審査員

運ばれてきたときに、みんなで「わーっ」と。見た目の第一印象がすごくおいしそうで。

審査員

中身が一瞬わからないものをわくわくしながらナイフを入れるのはとてもおもしろい仕掛けだなと。

試食から一か月後。茂泉さんの料理は、その独創性とおいしさが高く評価され、見事グランプリを獲得しました。茂泉さんはこれからも、新しい料理で食の魅力を広げたいといいます。

茂泉三男さん

茂泉三男さん
とてもうれしく思っています。静岡にも新しい料理があるよと。これからもコックを続けられるのであれば地元のものを使って、新しいものをつくっていきたい。

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