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静岡 トラックから鉄道、船へ 物流の“2024年問題”とは?

  • 2023年04月10日

物流大手・鈴与が海上輸送に力を入れ、自動車メーカーのスズキも鉄道輸送を強化。いま、静岡県内の物流の現場でトラック輸送を減らす動きが進んでいます。その背景には、“2024年問題”と呼ばれる物流業界の働き方改革がありました。

静岡 トラックから鉄道、船へ 物流の“2024年問題”とは?

物流の2024問題、その背景には物流業界の働き方改革があります。国は、物流業界の労働環境の改善につなげようと、来年度の2024年からトラックドライバーの労働時間の規制を強化することにしています。具体的には、年間の拘束時間は、3516時間から3300時間に短縮されます。慢性的な担い手不足が続くトラックドライバーを増やすためには、労働環境・労働条件の改善は欠かせません。一方で、残業代が減ることで短期的には離職を選ぶドライバーも増えるのではないかという懸念もあります。ある民間のシンクタンクは、7年後の2030年には「(現在流通している)35%の荷物が運べなくなる可能性がある」という予測を公表しています。こうした人手不足の深刻化やそれに伴う輸送量の減少が物流の「2024年問題」と言われる課題です。

対応進める物流大手・鈴与

静岡県内では、2024年問題を見据えた動きが広がっています。静岡市に本社がある物流大手の鈴与では、これまでも取り組んできた陸上輸送と海上輸送を組み合わせたフェリー輸送をさらに増やそうとしています。大型のトレーラーが直接乗り入れて荷物の積み降ろしができる貨物船を活用、この貨物船に搭載可能なコンテナを今後3年間で新たに300台ほど導入することにしています。

自動車メーカーも鉄道輸送に転換

対応に迫られるのは物流業界だけではありません。材料や製品の輸送にトラックを使っているメーカー側も、値上げが予想される輸送費をどう賄うのか、あるいは代替手段を用いるのか、検討が始まっています。

スズキの31フィートコンテナ(両隣は従来の12フィートコンテナ)

そんななか、自動車メーカーのスズキでは、トラック輸送から鉄道輸送への切り替えを図っていこうとしています。そのために新たに導入するのが、長さ31フィート、およそ9.2メートルのコンテナです。これまで使っていた12フィートのコンテナに比べて2.5倍ほど長いサイズとなります。

これまでスズキでは、静岡県内の工場で製造した部品を九州の生産拠点である福岡県に運ぶ際に主に11トントラックを使っていました。新たに導入するコンテナは、1台で11トントラック1台分にあたる荷物が運べるということです。このコンテナ4台を順次導入し、トラック輸送から鉄道輸送への切り替えを図っていくことにしています。

スズキ 部品工場 大平健工場長
2024年問題は、大きな経営課題となっています。鉄道輸送によってモノが運べなくなることを回避できることに加え、二酸化炭素の排出量の削減にもつなげられるので今後も拡大を図っていきたいです。

スズキでは、今後はさらにこのサイズのコンテナを増やし、長距離となる仙台向けなどへの輸送でも活用していきたいとしています。

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