プロ1年目での飛躍へ ~B1仙台89ERS・渡部琉選手~

いよいよ10月、日本のプロバスケットリーグの1部=B1が開幕。
昨季、目標のB1残留を果たした仙台89ERSは、B1復帰2季目。
成長を示していきたいシーズンだ。

開幕戦で対戦するのは、アルバルク東京。
伝統があり、さらにチャンピオンも複数経験している強豪チームで、
仙台89ERSのB1での飛躍のための試金石として位置づけられる。

多くの選手が残留した中、開幕戦を特別な思いで迎えるのが、
プロとして初めてのシーズンとなる渡部琉選手(わたなべ りゅう、23歳)だ。
昨季、*特別指定選手として大学在学中からB1でプレーし、若手の有望株として期待を集める。
このオフシーズン、自身の課題にも取り組み、飛躍を誓う渡部選手にフォーカスする。

*アマチュア所属でもプロの試合に出場できる制度

(アナウンサー・黒住駿)

 

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B1の壁を感じた昨季の戦い
中央大学在学中の昨季途中に仙台89ERSに加わった渡部選手。
1m93cmの身長で、幅広いプレーから得点できるプレーヤーとしてアマチュアで力を発揮してきた。
特に大きな武器は左利きから放たれる3ポイントシュート。
屈指の名門リーグである関東大学リーグで得点王にも輝いた。

昨季途中に加入した仙台でも12月に初出場を果たし、早くから藤田弘輝ヘッドコーチの期待を背負ってコートに立った。

しかし、2月以降はプレータイムが少なくなっていった。自慢のオフェンス面で、B1の大きな壁が立ちはだかった。
渡部琉選手は、

「B1の選手のディフェンスは、フィジカル面でのコンタクトへの強さがあって、
ディフェンスでの読みの早さ(=動き出しの早さ)もアマチュアとは全く違った」

と振り返る。

自らのスキルをレベルアップさせないと、B1の舞台では武器の得点力を発揮できないと自覚させられたシーズンとなった。

目標は常に先へ。「幅広いプレー」が出来るプレーヤーに
仙台での2季目となる渡部琉選手。
プロとして初めての開幕を前に目標を伺うと、

「自分のオフェンス良さを出すために、まずリングの方向にプレーをする。ひるんでしまったり逃げたりせずに、どんどんドリブルで仕掛けていく。そして空いていたらシュートを打つ。コーチ陣にもそれは言って頂いているので、迷わずにアグレッシブな意識を持ち続けてプレーしたい」

と語ってくれた。

実際、このオフシーズンの間に、自身のオフェンス面でどう成長していくかの考えも整理できたようだ。

「得意の3ポイントシュートも大事だけれども、今後を考えた時にプレーの幅を広げたい。
どんどんゴール付近に進入して、チームのオフェンスの流れを作ることにも取り組んでいく。
今後そういった役割は求められてくると思うので、プロ1年目だからとかは考えずにいきたい」

と強い決意も口にした。

開幕前に行われた東北のチーム同士で戦うカップ戦でも、言葉通りの積極性が見えた。
3ポイントシュートだけでなく、外国籍選手を前にしても果敢にリング下でゴールを狙う渡部選手の姿があった。

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変わらない指揮官からの期待
開幕前の取材で藤田ヘッドコーチは、キーマンの1人に渡部琉選手を挙げた。

「チームの強みであるディフェンスは全員が徹底して意識することを継続したい。
 オフェンスの面では、若い選手である渡部琉、岡田のステップアップが大事」

と捉えている。

昨季、平均得点が24チーム中で最少となった中、渡部選手への期待は高まる。

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10/4(水)の全体練習後には、藤田ヘッドコーチ自らボールを出し、渡部琉選手のシュート練習に付き添っていた。

ホーム開幕戦の相手はアルバルク東京。
渡部琉選手は昨季のアルバルク東京戦で12得点した試合があり、
それが自身初の2桁得点となるなど好相性を誇る。

開幕戦に向け、

「今季は自身の役割をしっかりとやり切れるように。
 飛躍のシーズンにしていくために良いスタートを切りたい」

と、渡部選手。

仙台89ERSの得点力向上に貢献できるか。
渡部琉選手の今シーズンの大きな成長に注目しましょう!

(仙台局アナウンサー・黒住駿)

 ※NHKでは89ERSの開幕戦を生中継!※

NHK総合「Bリーグ2023-2024 開幕戦 仙台89ERS vs. アルバルク東京」
10月7日(土)後4:25~(宮城県域)