B1生き残りに不可欠な成長株 ~B1仙台89ERS・岡田泰希選手~

今年、6季ぶりにB1(プロバスケット1部)に返り咲いた仙台89ERS。
現在8勝21敗(1月12日現在)で、60試合を戦うシーズンの約半分を消化しました。
今季は、勝率が低い2チームがB2降格という過酷な争い。
後半戦は、B1生き残りをかけた試合が続きます。

しかし、仙台89ERSはケガで欠場する選手が続出。
ゲームメイクを司るポイントガード渡辺翔太選手や、
得点の中心だった外国籍のラショーン・トーマス選手が、いずれも骨折。
長期離脱を余儀なくされています。

その中で、鍵を握るのが“若手の成長”。
今回は、23歳のプロ1年目・岡田泰希選手に注目します。

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<手前>岡田泰希選手

 

昨季はB1昇格のキーマンに

昨季途中、大学在学中に89ERSの一員に加わった岡田選手。
特別指定選手*とは思えない活躍ぶりを見せました。
(*アマチュア所属でもプロの試合に出場できる制度)
1m76cmとバスケットの世界では小柄ながら、シュート力とテクニックを武器に、チームでは日本人トップの平均得点7.8。
自身の力を存分にプロの世界で発揮したことで、岡田選手は大学卒業してまもない今季からB1の舞台でプレーする機会を得ました。

 

浮き沈みの多かったB1の前半戦の戦い

迎えた今季のB1開幕戦。
京都を相手に、岡田選手はベンチスタートながら試合全体で15得点。
B1の舞台でも、申し分ない活躍を見せました。

しかし、やはり厳しいB1の世界。
相手に徐々に研究され始め得点のペースが大きく落ち(1/12現在で平均4.8点)、パスのミスやボールを失うシーンも増えていきました。
そして、B1ではB2に比べてサイズ(身長や体格の大きさ)のある相手が多く、ディフェンス面で岡田選手の身長の不利を頻繁に突かれることも。

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自身より身長の高い相手を守る岡田選手

岡田選手自身も、
「開幕当初は良い感じで進んでいたが、B1の壁を感じてきた。
 相手の研究の精度が高い上に、身長が10cm以上高い選手に対する上では“フィジカル面の大きな差”を感じた」と口にします。

 

強豪・広島戦で得た手応え

苦しい時期が続く中、渡辺翔太選手の負傷もあり、岡田選手の出場時間が長くなってきました。
願うようなプロセスではないものの、そのチャンスを逃さないのもプロの世界では大事な要素です。

年明けの広島戦、岡田選手らしい攻撃的なプレーが戻ってきました。
広島は今季の優勝候補にも挙げられる強敵。
しかし岡田選手は、第2戦で3ポイントシュートを6本決める大車輪の活躍を見せました。
「アグレッシブに攻めて、迷いなくシュートを打つ。
 積極性を大事にして、良い数字を残せた。次につなげたい」と、岡田選手は手応えを口にしました。

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会見で記者の質問に答える岡田選手

実はこの試合の前、チームの指揮官・藤田ヘッドコーチから、
「逃げずに強気に判断したプレーで起こるミスは仕方ない。
 果敢にチャレンジしていこう」と声を掛けられたと言います。
岡田選手の強気な姿勢が良い判断を生み、ボールを失うターンオーバーも個人でゼロ。
ミスも防ぐことにもつながりました。

今週末にはBリーグオールスターゲームが控えます。
岡田選手は、オールスターの前日に行われる特別試合に出場予定。
若手が編成されるチームに選出され、アジア枠の選手たちの選抜チームと対戦します。
89ERSからは唯一の参戦です。

その後は、下位チームとの直接対決も待つシーズン後半戦へ。
大事なゲームが怒涛のごとく続きます。

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<背番号6>試合中の岡田選手

「岡田選手の成長が、仙台89ERSの未来を変える」
個人的な願いを秘め、
今後の活躍に期待したいと思います。

(仙台局アナウンサー・黒住駿)

NHK BS1「Bリーグ2022-23 オールスターゲーム2023」1月14日(土)後7:00~
※岡田選手が出場予定の特別試合は、NHKの放送はありません※