宮城の経済、ことしは?

新しい年・2023年がスタートしました。
そこで気になるのがことしの景気。

物価高、賃上げ、ウィズコロナ…。

県内企業のトップはどうみているのか、直撃しました。

(仙台放送局記者・伊藤奨 藤岡しほり)


3年ぶりの賀詞交換会に1000人超

話を聞いたのは、仙台市の賀詞交換会です。
新型コロナの影響で中止が続いていましたがことし3年ぶりに開催。

感染防止のため、飲食物の提供はありませんでしたが、それでも、およそ1080人が参加。久しぶりに新年らしいにぎやかな雰囲気が感じられました。

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(仙台商工会議所 藤崎三郎助 会頭)
「ウクライナとロシアの戦いをはじめ物価の高騰、エネルギー不足などのさまざまな問題があると思うが、これからの日本の転換点ということを踏まえながら、新しい時代に向けて皆さんとともに歩んでいきたい」

 


宮城の景気、ことしはどうなる?

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新型コロナの影響で伸び悩みが続く日本経済。
ことしはインバウンド関連の需要の回復が期待される一方、物価高や海外経済の減速の影響が懸念されています。

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ことしの宮城経済は良くなるか、悪くなるか、経営者のみなさんに5段階で評価してもらいました。

「3.7」と評価したのは、七十七銀行の小林英文頭取です。

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(七十七銀行 小林英文 頭取)
新年の人出も好調で、新型コロナの行動制限の緩和もあって個人消費にはプラスになっている。一方、原材料価格の値上がりを製品価格に転嫁できていない企業もあるので、年の前半は景気が下がるとみている。ただ、年の後半には物価上昇や為替も落ち着き、企業の設備投資も上向きになっていけばいいと期待している」

一方、生活用品メーカー「アイリスオーヤマ」の大山健太郎会長は「4」としました。

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(アイリスオーヤマ 大山健太郎 会長)
「去年はウクライナの戦争があって想定外なことが起こりすぎた。急激な円安で物価が上がり、賃金が上がらないため、消費が停滞した。そういう点ではことしはそれぞれの企業も賃上げに積極的で、消費は間違いなく上向くと考えている。円安が進んだため、ことしは国内回帰を進めたい。積極的に国内に投資し、しっかりとお客さんの期待に応えていきたい」

 今回、話を聞いた6人の経営者の平均は3.58
下は3から上は4.3で、去年より景気は上向くとみている経営者が多くなりました。

            

業界で分かれる見方

一方、業界ごとに見ると状況が異なります。
エネルギー価格の上昇の影響を受けた、電力業界。東北電力の樋口康二郎社長は厳しい見方を示しました。

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(東北電力 樋口康二郎 社長)
「(宮城経済全体では3だが、エネルギー業界は)まだ2。ことしは4ぐらいに持っていきたい。そのために電気料金の値上げを去年、国に申請した。利用者には大変負担をかけるが財務基盤をしっかりし、電力を安定的に供給するため必要だと考えている。来年2月に予定している女川原発2号機の再稼働に向けて、ことし11月までに安全対策工事を完了させるなど盤石な状態にしていきたい」

 資材価格の高騰が直撃した建設業界。
仙台市に本社がある建設会社「深松組」の深松努社長も先行きに慎重な見方です。

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(深松組 深松努 社長)
「東日本大震災の復興需要が一巡して、土木の公共事業の予算が減っている。建築資材の価格高騰は収まってきたが、コストを転嫁するには時間がかかる見通しだ。職人も目に見えて減っていて、賃金も高くなっていて、会社として利益は出にくい状況だ

 一方、観光業界からはウィズコロナによる経済正常化を期待する声もありました。

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(ホテル佐勘 佐藤勘三郎社長)
「この年末年始はかなり多くの人に利用してもらった。宮城県内の観光施設は大いににぎわったと考えている。そういった意味では人々の考え方とか生活様式がコロナ禍から徐々に変化し、これから先は観光に向けた歩みが確かなものになっていくのではないか

 


飛躍のキーワードは

ことしは、うさぎ年。
飛躍に向けたキーワードを書いてもらいました。

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(ホテル佐勘 佐藤勘三郎社長)
「『学ぶ』です。ことしは5月にG7関係閣僚会議として、仙台でも科学技術相会合が開かれる。その目玉は東北大学の放射光施設といってもいい。そして、ちまたではDXの実装が盛んに求められている。そういった意味ではこれから企業人としても社会人としても人生100年時代を見据えて学びをより深めていき、なおかつ広がりを持って進めていきたい

 「心の価値」と書く「心価」(しんか)という造語を挙げた人もいました。

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(仙台三越 小宮仁奈子 社長)
消費に値する商品やサービスなのか、本当の意味での価格が問われる時だと思っている。もう一方で、心に響く、誰かに伝えたいと思う気持ちが沸き起こってくるような消費を促せるように追求したい。新型コロナの感染拡大によって、リアルのお店に来る人、来ない人と二極化した。感染状況はまだまだ落ち着かないので、われわれの商売は、かがんだり、伸びたりになると思うが、状況にあわせてやっていくことがとても大切だ」

 

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「参加者の多さに驚いた。ことしの東北経済の盛り上がりに期待したい」
賀詞交換会に参加した1人はこう話していました。

ウクライナ情勢や新型コロナなど先行きを見通すのが難しい状況の中、2023年の宮城経済はどうなっていくのか。

私たちはことしも、さまざまな現場に足を運び、たくさんの人の話に耳を傾けながら、宮城のいまを見つめ、一歩先行く役立つ情報をしっかりと伝えていきます。


 

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伊藤奨
2016年入局
仙台市出身
くらし・経済取材担当

 

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藤岡しほり
2022年入局
白石市出身
くらし・経済取材担当

 


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