佐賀 唐津 七山 廃棄花びらで創作 地域つなぐ花びらアート
- 2024年05月15日
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唐津市七山に移住したアーティスト、松尾栄太郎さん(まつお・えいたろう)さん。
地域との交流を大切に制作活動に励む中、地元の花農家から相談されたのは、“捨てられる花びら” の活用方法でした。
「地域の魅力発信につながれば」ー。 新たな挑戦を始めた松尾さんを取材しました。
捨てる花から鑑賞する花へ「ペタル・シリーズ」
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唐津市七山で開かれた「ペタル・シリーズ展」。
“ペタル”は、英語で“花びら”。
生産過程で廃棄されるビオラの花びらを使った作品が並びます。
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紙に色や模様が鮮やかに写し出されていて、花一つ一つの美しさが伝わる作品です。
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作者は、アーティスト、松尾栄太郎(まつお・えいたろう)さん。
学生時代の友人との縁や地域の魅力にひかれ、去年、唐津市七山に移住しました。
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長崎で生まれ育ち、京都の芸術大学に進学。
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京都を拠点に、身の回りにある素材を使ってたくさんの作品を作ってきました。
“ アート ” でつむぐ 地域との絆
七山に移住してきた当初は、冷ややかな視線が注がれることもあったと言います。
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松尾さん「アートって言うだけで、日本は特にとっつきにくい感じがするじゃないですか、そういうイメージを持っている人が多い。興味はあってもどう見ていいか分からないとか。」
そこで、松尾さんが何より大切にしたのが “ 地域との関わり ”。
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地域で使われなくなったヘルメット400個を使って、子どもたちと一緒に龍に見立てた作品を制作。七山伝統の滝登りに参加するなど、積極的に地元の人と交流してきました。
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今では、気にかけてくれる人が増えました。この日、松尾さんのもとを訪ねたのは、近所に住む男性。
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まさのぶさん
みかん食べる?
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いつもすんません、ありがとうございます!
こちらは、地域の親分、まさのぶさんです。
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まさのぶさん
親分じゃなかよ(笑)
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まさのぶさん「(空き家が)廃虚になってしまいよるけん、農家も減って。そこにこういう人が来たっていうのは珍しかねーと思って、応援せにゃいかんかなーて」。
地域との繋がりが生んだ“ 花びらアート ”
今回のビオラを使った作品も、地元の人とのつながりから生まれました。
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唐津市七山の園芸農家、岡本綾平(おかもと・りょうへい)さんです。
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生産しているビオラ(※取材時は、すでに最盛期は終了)は、苗で出荷する際、株を分割させる必要があるため、咲いている花を摘んで捨てると言います。
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園芸農家・岡本さん「廃棄する花は、何万本 何十万本も出ます。(廃棄するのは)ものすごく苦しい。一生懸命頑張って大きくなろうとしている過程で咲くんですよね、それを捨てるっていうのは、光が当たらない。生産者として心苦しいけど、将来的にたくさんの花を咲かせるためには、摘まないといけない、葛藤している。」
「廃棄している花を何かに使えないか」ー。
模索しているときに、地域の人から、アーティスト・松尾さんの存在を聞きました。
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松尾さん「(岡本さんから)突然相談されて。突然だったから何もわからんかったけど、今までも廃棄されるものを作品にしてきたっていう経緯があったからね、挑戦してみようかなぁと。」
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どうすれば花の良さを活かせるか。
試行錯誤の末、花を紙の上に並べ・・・。
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もともと持っていた版画の機会を使って花を紙に押し付けてみたところ ー。
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花の筋まできれいに色が付くことがわかりました。
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松尾さん「僕もこんなに(色が)出てくると思っていなくて、最初びっくりでした」。
初めて使った素材でしたが、表情を変える花に可能性を感じたといいます。
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松尾さん「いろいろ考えてしまうと、イメージをコントロールしたくなるじゃないですか、だから極力、(制作中は)何も考えないようにしている。僕の作品って答えがないので。見る人が考える、見る人が答えを探す」。
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この日、仕事の合間に立ち寄った園芸農家の岡本さん。
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園芸農家・岡本さん「感謝でしかないです。普段見ている花の姿と、形(作品)になったときの花の姿ってやっぱり違う。人目に映ることがない花が人目に映れるように、栄太郎さんがしてくれた。栄太郎さんが七山にいなかったら出来ていないと思います」。
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アートを使って地域の魅力発信へ ー。
アーティスト・松尾さんの創作活動は続きます。
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松尾さん「まだこれからっていう感じ。今、徐々にちょっとずつ地方にアートが取り込まれてきている状況なので、それが地域の個性づくりの一環になればいいかなぁと思っています」。
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★取材後記★
「僕は捨てられるものが好き。人間の知恵次第で、どんなものでも生まれ変わらせることが出来る」と話す、松尾さん。枠にとらわれない松尾さんだからこそ、今回の「ペタル・シリーズ」を生み出せたのだと思いました。本来、捨てられる花たちですが、作品を眺めていると、まるで「私を見て」というかのように、一つ一つの花の個性が輝いて見えました。松尾さんの手からまた新たな作品が生まれるのをこれからも楽しみにしています。(小野 錦)
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