三兄弟の絆を支えに 佐賀から世界を目指す柔道界の『龍馬』
- 2024年02月05日
佐賀出身の柔道家、筑波大学4年の田中龍馬(たなか・りょうま)選手。2023年9月、中国・杭州で開かれたアジア大会では、男子66キロ級で金メダルを獲得。この階級では、日本勢として25年ぶりの快挙でした。
龍馬選手は、三兄弟で柔道に励んでいます。毎年、年末年始に佐賀に帰省する際には、それぞれの年代で活躍している弟たちとともに初稽古に臨みます。
将来のオリンピック優勝を見据えている龍馬選手。その強い思いは、兄弟の『絆』が支えています。
【地元・佐賀で新年のスタートを切った三兄弟】
2024年1月2日、佐賀市内の柔道場で新しい年のスタートを切った、田中三兄弟。
長男の龍馬(りょうま)選手は、2023年のアジア大会で金メダルを獲得しました。
次男の龍雅(りゅうが)選手は、2022年の世界ジュニアで優勝。
三男の龍希(りゅうき)選手は、2023年のインターハイで、1年生ながら準優勝しました。
(三男・龍希選手)「兄弟三人で一緒に会える時間が少ないので、こういう一日一分一秒を大事にしていきたいです。」
(長男・龍馬選手)「帰ってくる場所があることは、自分のなかでも大きいことだと思っています。毎年、1年のスタートを佐賀で過ごしているので、思い入れがありますね。」
取材では、アジア大会で獲得した金メダルも見せてくれました。
(長男・龍馬選手)「応援してくださった人たちから優勝おめでとうとか、『金メダルは重いね』と言われることで、本当に優勝したんだなと少しずつ実感しているところです。」
【兄弟で切磋琢磨~三人の『絆』が成長を後押し】
小学一年生で柔道を始めた龍馬選手。弟たちと切磋琢磨しながら、さまざまな大会で活躍してきました。
田中兄弟の絆を物語るものがあります。佐賀市内の自宅にある、10畳ほどの練習場です。両親が息子たちのためにつくりました。
龍馬選手は、筑波大学進学後、トレーニングに励む弟たちに、毎日のようにビデオ通話でアドバイスをしてきました。
練習によって成長した、次男の龍雅選手は、2023年4月、兄が通う筑波大学に進学。兄とチームメートになりました。
(次男・龍雅選手)「兄は柔道界でも第一線で戦っているんで、兄弟や先輩後輩として近くにいる関係というのは、自分にとってすごく大きい存在だと思っています。」
【学生最後の大会で涙・・・】
兄の龍馬選手にとって、忘れられない試合があります。2023年10月、兄弟で出場した、大学日本一を決める団体戦です。
先ぽうの龍馬選手。直前に弟の龍雅選手から声をかけられ、試合に臨みました。
試合時間が残り1分にさしかかろうとした、その時でした。
足技で相手を崩してから、一瞬のうちに関節を固めて、見事一本勝ち。
この勝利で流れをつかんだ筑波大学は、10年ぶりの優勝を果たしました。
(実況)「田中の目に涙・・・」
兄弟で出場する学生最後の大会での優勝。兄の龍馬選手は、こみ上げる涙を抑えることが出来ませんでした。
(長男・龍馬選手)「弟と出る最後の大会、これまでなかなか団体戦で兄弟で一緒に出ることもなかったので、それを思うと感慨深いものがありました。」
【兄弟で思い描く将来の目標は・・・】
春には大学を卒業し、社会人となる龍馬選手。兄弟の絆を支えに、さらなる成長を誓います。
そして、兄弟で思い描く将来の目標とは・・・。
(長男・龍馬選手)「三人でオリンピックに出場して、金メダルを取るのが史上初になると思うので、金メダルを取るのを目標に頑張っていきたいです。」
最後に、兄から弟たちへ・・・。
(長男・龍馬選手)「これから世界選手権、オリンピックと出られるように、俺が引っ張っていくから!」
(次男・龍雅選手)「兄の偉大な背中を見せてください。これからもよろしくお願いします!」
【取材後記】
2024年の国スポでも、有力選手として期待されている田中三兄弟。実は、タレントのはなわさんのご家族とも深い付き合いなんです。
龍馬選手は、はなわさんの長男・塙元輝(はなわ・げんき)さんと同じ道場で柔道を始め、中学時代までチームメート。はなわさんの家に泊まりに行ったこともあるそうです。当時を振り返って、「元輝さんのような、全国的にも注目される選手と練習できる佐賀の環境が自身の成長にもつながった」と話します。
男子66キロ級では、パリオリンピックに出場する阿部一二三(あべ・ひふみ)選手を脅かす存在としても注目されている龍馬選手、「自分の柔道に自信をつけられるような稽古を十分に積んでいきながら、阿部一二三選手にも挑戦していきたい」と意気込んでいます。
これからも、夢に向かって三兄弟で切磋琢磨し続ける姿を応援していきます!