佐賀 地域から未来の日本代表を 「女子サッカーの町」みやき町
- 2023年12月08日
2024年の国スポ・全障スポに向けて、県内20市町のそれぞれの魅力を伝えるプロジェクト、「さがめぐりまるっと20」。今回は、みやき町の特集です。
みやき町は、スポーツによるまちづくりを進めようと、2020年に「女子サッカーのまち」を宣言。この取り組みによって誕生したのが「みやきなでしこクラブ」です。来年の国スポでも多くの選手の活躍が期待されています。
【目指すは‟地域密着”~みやきなでしこクラブ】
みやきなでしこクラブは、年代別に分かれて活動しています。サッカースクール、小学生や中高生の年代、さらに国内最高峰の「WE(ウィー)リーグ」参入を目指すトップチームがあります。
クラブには約50人が所属し、幼稚園児から社会人までさまざまな年代ごとに活動しています。
【あの‟レジェンド”が町にやってきた!】
みやき町でスポーツ政策のアドバイザーを務める、元日本代表のゴールキーパー、海堀(かいほり)あゆみさんです。
クラブを地域に受け入れてもらおうと、みずから小学校などに出向いて町の人たちと交流してきました。
夢を持つことの大切さを知ってもらうため、ワールドカップやオリンピックで獲得したメダルも披露。
(海堀さん)「佐賀の子たちが夢をかなえる場所をつくることが目的であり使命だと思っています。私自身サッカー選手になる夢を持ったのは、隣町にクラブがあったから。それがあったからこそ夢を思い描けました。それがなかったら日の丸は背負っていないと思います。」
【夢をあきらめない~再び競技を始めた選手たち】
みやきなでしこクラブの存在によって、一度は離れたサッカーを再び始めた選手もいます。
ことしからトップチームでプレーする、龍沙也加(りゅう・さやか)選手です。
福岡県出身の龍選手は、ドリブルが得意なフォワードとして活躍。大学日本代表に選ばれたこともありましたが、大けがに見舞われ、一度は引退を決意。
九州に戻ってきた龍選手に声をかけたのが、みやきなでしこクラブでした。
(龍選手)「一緒にサッカーをやらないかと声をかけていただきました。心のどこかでまたサッカーをしたいと思っていたので、またサッカーができる環境をもらえたことがうれしかったです。」
【選手たちの活躍を町も後押し】
龍選手たちの活躍を町も後押ししています。
みやき町では、ことしから、トップチームの選手ふたりを非常勤の職員として採用。龍選手と、フォワードの本村海里(もとむら・かいり)選手です。朝8時半から夕方5時まで働き、週5回の練習と両立しています。
この日、龍選手たちが訪れたのは、地元の幼稚園。町や警察などが開いた交通安全教室に、みやき町のマスコットキャラクターと参加し、交通ルールを守ることを呼びかけました。
(本村選手)「子どもたちとふれあうことで、元気をもらえるなあと思います。」
(龍選手)「いい経験になるのと、地域に貢献できていると感じています。」
町の人たちとのふれあいが、クラブのPRにもつながっています。
(みやき町女子サッカー推進室 太田悠介さん)「幼稚園の巡回指導などに行って、そこから派生してスクールに加入していただいているなどのいい影響もあります。」
わが町のチームとして活動するみやきなでしこクラブ。地域を巻き込みながら成長を続けていきます。
(龍選手)「みやき町で全員がクラブを知っていただいて応援してくれるチームになって、最終的には佐賀県全体で応援していただけるとうれしいです。」
【来年の国スポに向けて】
クラブでは、元日本代表の澤穂希(さわ・ほまれ)さんなどを招いたトークショーを開いたり、お年寄りを対象にした体操教室を企画したりして、地域との接点をさらに増やそうとしています。
来年の国スポの予定です。女子サッカーは、少年女子と成年女子に分かれ、佐賀市のSAGAサンライズパークなどを会場に開かれます。みやきなでしこクラブからも多くの選手が選ばれ、活躍することが期待されています。
一方、みやき町では、バレーボールの少年男子と、ソフトボールの少年男子が行われる予定です。
【取材後記】
今回、海堀あゆみさんに伺った話のなかに「サッカーはひとりではできない。仲間と一緒に頑張ることや、支えてもらえることを感じられるところが一番の魅力」ということばがありました。
みやき町が地域を巻き込みながら取り組んでいる、女子サッカーを通じたまちづくりは、まさに‟サッカーの持つ力”が必要とされているものだと感じます。地域のなかで活動を続けるみやきなでしこクラブの成長に注目し続けたいと思います。