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佐賀 カヌー 神埼から世界へ 愛ある熱血指導 園田里志さん

さがめぐりまるっと20「あなたのまちの応援団」
  • 2023年11月17日
小野錦
キャスター

来年2024年に、これまでの「国体」から名前が変わり「国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会(国スポ・全障スポ)」が佐賀県で開かれます。NHK佐賀放送局では「さがめぐりまるっと20」と題し、残り一年を切った国スポ・全障スポに向け、県内20市町のそれぞれ魅力を伝えるプロジェクトがスタートしました!今回は、わたくし、キャスターの小野錦が神埼高校カヌー部・神埼ジュニアカヌークラブを取材しました。

日本トップレベルのカヌー選手が育つ地 “ 神埼 ”

日の尺池やボートハウスがあることから、カヌーが盛んな神埼市。佐賀県で最初にカヌークラブが設立された地域です。

2023年10月 かごしま国体 (写真提供:園田里志さん)

ことし(2023年)10月の「かごしま国体」には、佐賀県代表として神埼関係の選手7人が出場。タイムを競う「カヌー・スプリント」では、過去最多の8種目で入賞を果たしました。

厳しくもやさしいまなざしを送る園田里志監督

彼らを育てたのは、神埼高校カヌー部・神埼ジュニアカヌークラブ監督園田里志さんです。神埼高校で保健体育の先生をしています。

水上競技は危険と隣り合わせ。練習では大きな声を出し、生徒に厳しく接します。

園田監督

「水の上は自分の力しか頼るとこなかけんおもしろかと。誰も助けてくれん。厳しかばってん自分の力で勝負でくっけんこの競技はおもしろかと。練習を無駄にしないように!」

生徒たちは、園田監督のことをどう思っているのか聞いてみました。

生徒

厳しいです。カヌーに対する気持ちが強い方。

生徒

礼儀とかは特に厳しく言われています。

生徒
 

優しいし、厳しいし、面白い。部活の時とのオンオフが分かりやすいです。

生徒
 

指導が分かりやすい。理解できるまで徹底して教えてくれます。

恩師に導かれて帰郷 佐賀のカヌー界をけん引する指導者に

恩師の言葉で帰郷を決意

神埼市で生まれ育った園田監督。自身も神埼ジュニアカヌークラブに所属し高校生のときに佐賀県代表として初めて国体に出場。その後、選手やコーチとして20回以上国体に出場しました。東京の大学に進み、選手兼コーチを務めていた園田さんが佐賀に戻ってきたのは17年前。恩師から “ 佐賀に戻ってきてくれないか ” と声をかけられたことがきっかけでした。

園田監督

「正直、最初はそこまでやる気があったわけではありませんでした。でも子どものころから育ってきた環境で、生徒を指導していく中で、だんだん本気になっていきましたね」

競技用カヌーとはどんなものなのか、私も体験させてもらいました。

カヌーは初体験!

初めてで2秒乗れたらすごい!と言われ、いくつになっても褒められたい私、2秒くらいなら…と、持ちうるバランス力を全て使って乗りましたが…

あっという間にバランスを崩し…
水面へダイブ!

・・・0.5秒も乗れませんでした…。

競技用のカヌー艇の場合、乗れるようになるまで半年。大会に参加するには、そこからさらに半年以上かかるそうです。とても難易度の高いスポーツですが、園田監督の熱血指導で選手たちはメキメキ力を伸ばしています。

日本代表の佐藤光さんもその一人。

かごしま国体ではカヌー スプリント カナディアンシングル(500m)で3位入賞

佐藤さんがカヌーを始めたのはなんと高校から。園田監督の指導を受け、世界大会に出場するまでに成長しました。

鍛え上げた肉体でパドルをこぐ佐藤さん

園田監督の教える"腕だけでなく全身を使って漕ぐフォーム"で世界に挑みます。

“愛される人間になってほしい” 

大きな声を出しながら練習する生徒

“ 声を出す ” ことも徹底して教えています。園田監督は、練習中に声を出すと気持ちが奮い立ち、より真剣に競技に取り組めると考えています。

取材中にはこんなシーンも。

撮影終了後、取材陣に挨拶をする神埼高校カヌー部の生徒たち

取材した私たちに対しても、大きな声であいさつしてくれました。競技力だけでなく、人としての礼儀作法の指導も行っているのです。

園田監督

「社会人になっても失敗することばかり。それでも一生懸命やって、あいさつと返事をしっかりしていたら、失敗してもいろんな人から助けてもらえるので。愛される人間になってほしいなぁと思います」

国スポから世界へ!

富士しゃくなげ湖水上競技場(佐賀市)

ことし5月には、国スポの会場となる「富士しゃくなげ湖水上競技場」が完成。直線2000メートル、カヌーとボート両方に対応できる日本トップレベルの競技場です。

富士しゃくなげ湖水上競技場で練習する神埼高校カヌー部

機運が高まる中、選手たちは、国スポに向けて本番と同じ環境で練習に励んでいます。

園田監督

「来年の国スポで活躍するのはもちろんですけど、この競技を、レガシーを受け継いで、末永く、ここで子供たちが育って、世界に羽ばたいてくれたらなぁと思います」


〈取材後記〉

小野錦
キャスター

「みんながみんな大人になってもカヌーを続けるわけではない。だからこそ、今しかできない経験をたくさんさせてあげたい」。取材現場では、生徒とカヌーを愛する園田監督の熱い思いが伝わってきました。「監督の指導は日本一です」「練習が終わると冗談を言って自分たちを笑わせてくれます」。生徒たちにも監督の思いはしっかりと届いているようでした。こうした信頼関係が出来ているからこそ、ここまで輝かしい結果が出せているのだと思います。来年の国スポでの健闘、期待しています!

2024年に佐賀で開かれる国スポ・全障スポに向けて、県内20市町のそれぞれ魅力を伝えるプロジェクト「さがめぐりまるっと20」園田里志さんのお話は、このプロジェクトの一環で、20市町のスポーツに関する動きをキャスターが出向いて取材するあなたのまちの応援団でお伝えしました。下記リンク先の特設サイトには、園田里志さんの動画も掲載しています。
プロジェクトでは、ほかにも、佐賀県出身のモデル・吉松育美さんが地域の美しいものに出会う旅6分間のショートトリップ、佐賀放送局に眠る膨大な映像から地域の歴史を感じるプレーバック佐賀など、さまざまなコンテンツがあります。ぜひ特設サイトもご覧ください。

https://www.nhk.or.jp/saga/maruttosaga20/

  • 小野 錦

    NHK佐賀佐賀局キャスター

    小野 錦

    佐賀に来て3年目。
    地域の魅力を自分の足で探します!

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