岸田首相 閉会中審査に出席へ 「国葬」の意義など説明の意向

来月開かれる安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、岸田総理大臣は、総理大臣官邸で記者団の取材に応じ国会の閉会中審査にみずからが出席し、実施の意義などを説明する意向を明らかにしました。

新型コロナの療養期間を終えた岸田総理大臣は、31日から対面での公務に復帰し、自民党の役員会などに出席したあと、総理大臣官邸に入る際に記者団の取材に応じました。

この中で、岸田総理大臣は旧統一教会と自民党の関係について「さきほどの自民党役員会では、まず当該団体との関係を断つことを党の基本方針とし、所属国会議員に徹底することなど、先週来、茂木幹事長に行ってきた指示内容の確認をした」と述べました。

また、安倍元総理大臣の「国葬」をめぐって、世論がわかれていることを踏まえ「さまざまな意見や批判を真摯(しんし)に受け止め、政権の初心に返り、丁寧な説明を尽くしたい」と述べました。

そのうえで「早急に国会の場で私自身が出席し、国民に見える形で『国葬儀』に関する質疑に答える場を設けるよう、幹事長以下に指示した。野党にも協力いただきたい」と述べ、国会の閉会中審査にみずからが出席し、実施の意義などを説明する意向を明らかにしました。

「国葬」に関する国会の閉会中審査をめぐっては、野党側が政府のこれまでの説明は不十分だなどとして、岸田総理大臣の出席を与党側に求めています。

「国葬」 参列者は最大6000人程度 会場外に献花台

安倍元総理大臣の「国葬」について、政府は、参列者を三権の長や国会議員、海外の要人、それに地方自治体の代表など、最大6000人程度とし、当日は午前10時から午後4時まで会場の外に一般の献花台を設けることなどを決めました。

9月27日に東京の日本武道館で行う安倍元総理大臣の「国葬」について、政府は31日に総理大臣官邸で、関係府省庁の幹部による「葬儀実行幹事会」を開き実施概要を決定しました。

それによりますと、「国葬」は午後2時に開式し、参列者は衆参両院の議長ら三権の長や国会議員のほか、海外の要人や、地方自治体や各界の代表など、最大で6000人程度としていて、9月はじめから案内状を順次、発送するとしています。

また、「国葬」当日は、午前10時から午後4時までの間、会場の日本武道館の外に一般の献花台を設け、献花用の花は各自で持参してもらうとしています。

一方、幹事会では、葬儀委員長を務める岸田総理大臣の決定に基づき、「国葬」当日、各府省で弔旗の掲揚や、黙とうによる弔意の表明を行うことを確認しました。

幹事会のトップを務める森昌文総理大臣補佐官は「厳粛かつ心のこもった『国葬儀』となるよう、一丸となって鋭意、準備を進めてもらいたい」と求めました。

岸田首相 「国葬」葬儀委員長の自らの決定で 各府省が弔旗掲揚

安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、岸田総理大臣は葬儀委員長を務めるみずからの決定に基づいて、各府省で弔旗の掲揚や黙とうによる弔意の表明を行うことを明らかにしました。

来月27日に行われる安倍元総理大臣の「国葬」で、政府は過去に国が関わった総理大臣経験者らの葬儀の大半で行ってきた、弔旗の掲揚や黙とうによる弔意の表明を各府省に求める閣議了解を見送りました。

これについて岸田総理大臣は記者会見で「今回は国民一人ひとりに弔意の表明を強制するとの誤解を招くことがないよう、閣議了解は行わず、地方公共団体や教育委員会などの関係機関に対する要望も行う予定はない」と説明しました。

一方で今回の「国葬」当日は、葬儀委員長を務めるみずからの決定に基づいて、各府省で弔旗の掲揚や黙とうによる弔意の表明を行うことを明らかにしました。

野党 「国葬」費用の全体像など 政府側に説明求める方針で一致

安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、立憲民主党など野党の国会対策委員長らが会談し、岸田総理大臣が出席する国会の閉会中審査に向け、「国葬」の実施にかかる費用の全体像などについて、政府側に説明を求めていく方針で一致しました。

9月に開かれる安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、岸田総理大臣は、国会の閉会中審査に出席し、実施の意義などを説明する意向を明らかにしました。

こうした中、立憲民主党、日本維新の会、共産党、国民民主党、れいわ新選組の国会対策委員長らは31日午前、国会内で会談し、今後の対応について協議しました。

そして「国葬」をめぐり、政府がおよそ2億5000万円の支出を閣議決定したものの、会場周辺の警備や、全国からの警察官の派遣にかかる費用などが明らかになっていないとして、「国葬」の実施にかかる費用の全体像や、実施を決めた経緯などについて、政府側に説明を求めていく方針で一致しました。

このあと、立憲民主党の安住国会対策委員長は、松野官房長官と電話で会談し、こうした野党側の要求を伝えました。

会談のあと、安住氏は記者団に対し「当初は閉会中審査に松野官房長官が出席する方針だったが、野党がまとまり、強い世論の批判を受けて、岸田総理大臣の出席に方針転換した」と述べました。

そのうえで「『国葬』の決定の経緯や、費用の総額などについて、全省庁から情報を得て、国民が『国葬』の賛否を判断できるぐらいの情報を国会として提供できる機会になれば意義がある」と述べました。

維新 遠藤国対委員長「岸田首相出席は当然」

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、記者団に対し「岸田総理大臣が議院運営委員会に出席することは、安倍元総理大臣のためにも当然のことだ。なぜ、もっと早く、国会の場で説明すると言わなかったのか」と述べました。

共産 穀田国対委員長「国民の意見聞かなければ怒りと疑念」

共産党の穀田国会対策委員長は、記者会見で「国民の意見も聞かずに『国全体として敬意と弔意を表するためにやる』となれば、怒りと疑念がある。『国葬』にかかる費用の総額が明示されていないうえ、内心の自由に踏み込もうとしていることだけは確かで、憲法に抵触するのではないかを最低限詰めなければならない」と述べました。

国民 浅野国対委員長代理「早い段階で総額提示を」

国民民主党の浅野国会対策委員長代理は、記者団に対し「充実した審議を求めることはもちろんだが、『国葬』は2億5000万円では到底おさまらないと言われているので、できるだけ早い段階で総額を提示してもらい、国民が理解を深められるような質疑の準備を進めていきたい」と述べました。

社民 福島党首「臨時国会を開き説明すべき」

社民党の福島党首は、記者会見で「岸田総理大臣が国会で明らかにすると言うのであれば、今すぐ臨時国会を開き、十分に時間をとって説明すべきだ。『国葬』には法的根拠がなく、国民の税金を使ってやるべきではない。世論調査で反対が多いにもかかわらず行われる『国葬』には何の正当性もない」と述べました。

「“国葬”閣議決定撤回を」反対の市民グループ 国会前で集会

9月27日に予定している安倍元総理大臣の国葬について、反対する市民グループが、国会の正門前で集会を開き、「国葬に法的な根拠はない」などと閣議決定の撤回を訴えました。

安倍元総理大臣の国葬について、政府は9月27日に東京の日本武道館で実施することを閣議決定しています。

こうした中、国葬の実施に反対する市民や学者などが国会の正門前で集会を開き、主催者発表でおよそ4000人が集まりました。

主催者の1人、内田雅敏弁護士は「追悼とは遺族や友人などが個人的にやるもので、税金を使うべきではなく、国葬に法的な根拠はない」と述べ、国葬の中止を求めました。

集会の参加者は「国葬反対」などと書かれたプラカードを掲げて、シュプレヒコールをあげていました。

参加者の1人は「国葬を実施するならば、国会で審議したうえで、予算も決めて行うのが本来の筋だが、閣議決定で決めたことは納得できない。政府が弔意の表明を見送っても暗黙の了解で半旗を掲げることもあるので、国葬自体やってはいけない」と話していました。

政府は、国葬の根拠について「内閣府設置法に内閣府の所掌事務として国の儀式の事務に関することが明記され、閣議決定を根拠として行うことができる」としています。

また「国民一人一人に政治的評価や喪に服することを求めるものではない」として、弔旗の掲揚や黙とうなどを求める閣議了解を見送りました。