沖縄 山口 広島にまん延防止
決定へ 岸田内閣で初適用

新型コロナウイルスの感染が急拡大している沖縄、山口、広島の3県に対し、政府は9日から今月末まで、まん延防止等重点措置を適用する方針です。7日、専門家に諮った上で正式に決定することにしていて、去年9月に解除されて以来、岸田内閣では初めての適用となります。

新型コロナの新たな感染者は6日、沖縄で981人、山口で181人といずれも過去最多となり、広島で273人と急激に拡大するなど、去年9月18日以来、全国で4000人を超えました。

沖縄、山口、広島の3県がまん延防止等重点措置の適用を要請したのを受け、岸田総理大臣は6日夜、関係閣僚と協議しました。

そして記者団に対し「早期対応を図る観点から、重点措置を適用するとの諮問を行うべきだという結論に至った」と述べ、9日から今月末まで3県に重点措置を適用する方針を示しました。

また、オミクロン株の感染力を考慮して、地域の認証店での酒類の提供を知事の判断で停止できるようにするなど重点措置の内容も強化したい考えです。

こうした方針について政府は7日、専門家でつくる「基本的対処方針分科会」に諮り、了承が得られれば国会への事前の報告と質疑を経て対策本部で正式に決定することにしています。

重点措置の適用は去年9月に解除されて以来、岸田内閣では初めてとなります。

政府は感染者が急増している東京など首都圏をはじめ全国の感染状況を注視していて、医療提供体制のひっ迫を招かないよう自治体と連携しながら機動的に対応していく方針です。

岸田首相「重点措置を2つの点で強化」

岸田総理大臣は6日、記者団に対し「オミクロン株の感染拡大の速さにかんがみ、重点措置を2つの点で強化する。第一に、知事の判断で酒類の提供を停止することなどさらなる措置を可能とする。第二に、3県が策定した計画に沿って、医療体制の準備状況に関する自己点検を公表し、医療提供体制の確保に万全を期してもらう」と述べました。

また、去年11月に緊急事態宣言の発出などを判断する際の参考とするために導入した5段階のレベルの指標について「従来のレベルの考え方を全く変えるつもりはない」と述べました。

そのうえで、今回、3県に重点措置を適用する方針について「今後、重症者などの絶対数が増加し、近い将来、医療提供体制に大きな負荷がかかりかねないことも見据えて、早急に感染拡大を防止する措置を講ずる必要があると判断した」と述べました。

在日米軍「厳格な措置 さらに強く求めることを指示」

また、各地の在日アメリカ軍基地関係者の感染が相次いでいることに関連し「これまでアメリカ側に対しては外出制限の導入を含め、感染防止拡大のための措置を徹底するよう求めてきたが、外務大臣に対し外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」の機会もとらえて、厳格な措置を早急に講ずるようさらに強く求めることを指示した」と述べました。

記者団から沖縄県への緊急事態宣言の適用を今後検討するか問われ「緊張感を持って推移を見守り、考えていくべきで、今から先のことを何か申し上げることは控える」と述べました。

また、在日アメリカ軍基地の関係者の感染が今回の感染拡大の原因ではないかとの指摘については「現時点で断定することは難しい」と述べました。

一方、岸田総理大臣は、アメリカ軍関係者を日本側の検疫の対象とするよう日米地位協定を見直す必要性を問われ「考えていない」と述べ、否定的な見解を示しました。

医師会長「全国的に第6波に突入 “まん延防止措置” 早めに」

新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることを受けて、日本医師会の中川会長は記者会見で「全国的に第6波に突入したと考えている。特に今回は、新規感染者の増加スピードが極めて速く、想定を超える爆発的な感染拡大が起きれば、必然的に重症者が増加し、医療機関は対応しきれなくなるおそれがある」と述べ、強い危機感を示しました。

そのうえで「これまでも『まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の発令は早めに』と言ってきた。各都道府県は、あすの感染者数はどうだとか常に予想しながら、重点措置の申請を準備するという心構えでいるべきだ」と述べ、先々を見据えて重点措置の適用を早めに要請すべきだという認識を示しました。

また、中川会長は岸田総理大臣が水際対策の骨格を維持しつつ、予防、検査、早期治療などの国内対策に重点を移す準備を始める考えを示したことについて「政府の方針に危機感を持って全面的に協力する。自宅療養は大変重要になると考えており、都道府県医師会と連携し、地域の取り組みを最大限支援していく」と述べました。

沖縄県 県内全域での「まん延防止等重点措置」要請決定

新型コロナウイルスの感染が急拡大していることを受けて、沖縄県は6日午前に対策本部会議を開き、政府に対して「まん延防止等重点措置」の適用を要請することを決定しました。
沖縄県の玉城知事は、感染拡大を抑える観点から全県的に対応する必要があるとして重点措置の対象をすべての自治体にする方針を明らかにしました。

沖縄県は6日午前、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、1月に入り新規感染者の数が急激に増えていることから、政府に対してまん延防止等重点措置の適用を要請することを正式に決定しました。

会議のあと玉城知事は記者会見で「それぞれの事業者がまん延防止措置に積極的に取り組んでいただきたい。それによって数値が改善できることを我々も期待していきたい」と述べました。

そのうえで玉城知事は、重点措置を適用する区域については、感染拡大を抑える観点から、全県的に対応する必要があるとして、すべての自治体にする方針を明らかにしました。

沖縄県 新型コロナ 過去最多981人感染確認 在日米軍でも162人

沖縄県は6日、新たに981人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。これまでで最も多かった去年8月25日の809人を上回り過去最多を更新しました。

県内で確認された感染者は合わせて5万2724人になりました。またアメリカ軍から沖縄県に対し、新たに162人の感染が確認されたと連絡がありました。

山口県 岩国市と和木町に「まん延防止等重点措置」 政府に要請

山口県東部の岩国市を中心に新型コロナウイルスの感染が急激に拡大しているのを受けて、山口県は政府に対してまん延防止等重点措置の適用を要請しました。

山口県では、アメリカ軍岩国基地の関係者の感染が相次いで発表されている岩国市を中心に新型コロナウイルスの感染が急激に拡大していて、6日発表された感染者数はこれまでで最も多い181人となりました。

山口県は、感染拡大を抑え込む必要があるとして、6日新型コロナウイルス対策本部会議を開いて、政府に対してまん延防止等重点措置を要請することを決め、直ちに要請したということです。

県は、岩国市と、隣接する和木町を対象に重点措置を適用する方針で、期間は今月9日から31日までを求めることにしています。

要請が受け入れられれば、山口県でまん延防止等重点措置が適用されるのは初めてとなります。

県は岩国市と和木町内の飲食店に対して、営業時間を午後8時までに短縮し、酒類の提供を自粛するよう要請する方針で、要請に協力した店舗には協力金を支給するとしています。

また、県は、国の分科会が示した5段階のレベルの指標について、医療提供体制に負荷がかかりはじめているとして、警戒レベルを「1」から「2」に引き上げました。

岩国駅前では感染の急拡大に不安の声

山口県が、政府に岩国市と和木町を対象にまん延防止等重点措置の適用を要請する方針を固めたことについて、岩国駅前で受け止めを聞きました。

岩国市の70代の女性は「要請については、感染が広がっているのでしかたがないと思う。4、5日前にラーメンを食べに行こうと思ったが、店内が混雑していて、マスクをつけていない外国人が多かったので利用を控えた」と話していました。

東京から帰省中の10代の男子大学生は「オミクロン株が地方にこんなに早くやってくるとは思わなかった。自分が感染したり感染を広げたりしないよう、岩国では友達とは直接会わずにオンラインで会話をした」と話していました。

和木町から来た20代の女子大学生は「コンビニでアルバイトをしているが、訪れる人の中にはマスクを着けていない人もいて、感染しないかが心配です。マスクを着けたり消毒をしたりといった基本的な感染対策が改めて必要だと思う」と話していました。

山口県 新型コロナ 新たに181人感染確認 過去最多

山口県は6日、新たに181人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。

山口県内での一日の感染者数としては、これまでで最も多く、山口県内での感染確認は、延べ6305人となりました。

広島県「まん延防止等重点措置」適用を政府に要請

新型コロナウイルスの感染の急拡大を受けて、広島県は政府に対し「まん延防止等重点措置」を適用するよう要請しました。

適用された場合県は対象区域として広島市、廿日市市、大竹市、府中町、海田町を指定することにしています。

広島県内での新型コロナウイルスの感染確認は、5日まで2日連続で100人を超え、6日も広島市だけで151人が感染していることが確認されたと発表されるなど、感染が急拡大しています。

こうした状況を受けて、県は正午ごろから湯崎知事をはじめ幹部が出席して、新型コロナウイルスの対策本部の会議を開きました。

この中では、県内の感染状況について安定して医療に対応できる現在の「レベル1」から、警戒レベルが1段高い「レベル2」に引き上げることを決めました。

そのうえで医療提供体制の負荷を回避するには早期の対策が求められるとして、政府に「まん延防止等重点措置」を適用するよう要請することを決めました。

このあと湯崎知事は記者会見し、重点措置の適用について決定後、すぐに政府に要請したことを明らかにしました。

感染状況について湯崎知事は「12月末以降、過去に経験したことがない状況だ。このペースで感染拡大が続くとあっという間に過去最大になる。きょうから行動変容しても、このままのペースが続くと1日の新規報告者が8000人に達する。ペースが緩やかになっても一日2000人と推計している。これはオミクロン株の影響だ」と指摘しました。

そのうえで「想像を絶するペースで過去最大になるのは間違いない。医療がひっ迫しているわけではないが、オミクロン株は注視する必要がある」と述べ、警戒を呼びかけました。

県は重点措置に適用された場合の対象区域として、広島市、廿日市市、大竹市、府中町、海田町を指定することにしています。

広島県 新型コロナ 273人感染確認 250人超は去年9月1日以来

広島県では6日、新たに273人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表されました。一日の発表が250人を超えるのは去年9月1日以来です。これで広島県内での感染確認は、延べ2万2859人となりました。