棚橋泰文元科学技術相を起用
国家公安委員長に 菅首相

菅総理大臣は、小此木国家公安委員長が、8月に行われる横浜市長選挙に立候補するため、閣僚の辞表を提出したことを受けて、その後任に自民党の棚橋泰文 元科学技術担当大臣を起用することを明らかにしました。

小此木国家公安委員長は、8月22日に投票が行われる横浜市長選挙に立候補するため25日、菅総理大臣に対し、閣僚の辞表を提出しました。

これを受けて菅総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し、小此木氏の後任に、自民党の棚橋泰文 元科学技術担当大臣を起用することを明らかにしました。

起用の理由について、菅総理大臣は「科学技術や食品安全の担当大臣として尽力され、現在、自民党で行政改革推進本部長として、デジタル化や規制改革にしっかりと取り組んでいる経験を重要視した」と述べました。

また「閣僚の交代も支障をきたさないように、きょう中に後任の大臣をしっかり決定し切れ目なく対応する」と述べました。

さらに東京オリンピック・パラリンピックについて「これまで関係機関が連携して、準備をしているので、そこは万全の体制で乗り越えることができると判断している」と述べました。

そして政府は、25日午後、小此木氏の辞任を認め、後任に棚橋氏を任命することを、持ち回りの閣議で決定しました。

棚橋氏「安全・安心な大会実現に向けた対策に万全」

棚橋国家公安委員長は25日夜、警察庁で記者会見し「刑法犯の認知件数は減少傾向にあるものの、サイバー攻撃は国内外で相次いでいて極めて深刻な状況だ。日本を世界一安全な国にするため、治安上の諸課題への対処に全力を尽くしていきたい」と抱負を述べました。

また、東京オリンピック・パラリンピックについて「大会は目前に迫っていて警備や交通の対策も詰めの段階にある。引き続き関係機関などと緊密に連携しつつ、開催国としての治安責任を全うし、安全・安心な大会の実現に向けた対策に万全を期したい」と述べました。

棚橋国家公安委員長は防災担当大臣も兼務し、災害対策について「台風シーズンを迎える中、新型コロナウイルスの感染対策を徹底しながら、自然災害への対応を適切に実施できるよう、政府一体となって全力を尽くしていきたい」と述べました。

加藤官房長官「五輪・パラの警備に万全期す」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「棚橋氏は、内閣府特命担当大臣として、科学技術政策や食品安全などを担当したほか、衆議院予算委員長を務めるなど、幅広い経験を有しており、そうしたことを踏まえ、後任として菅総理大臣が判断した」と述べました。

また、東京オリンピック・パラリンピックについて「すでに小此木氏のもと、大会の安全かつ円滑な開催の確保のため、警備、交通等の諸対策を警察で推進しており、大会に向けた準備は着実に行われている。今後は棚橋氏のもと、全国の警察が一丸となり、引き続き、関係機関などと緊密に連携し、大会期間中の警備に万全を期していく」と述べました。

また、記者団から、棚橋氏が、小此木氏の担当をすべて引き継ぐのか質問されたのに対し、加藤官房長官は「そのとおりだ」と述べました。

河野規制改革相「閣僚や与党で菅首相を支えていく」

河野規制改革担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「小此木氏は、菅総理大臣の精神的な支柱でもあったと思うので、閣僚や与党でスクラムを組んで菅総理大臣をしっかり支えていかなければならない」と述べました。

また、後任の自民党の棚橋 元科学技術担当大臣については「自民党の行政改革推進本部長として緊密に連携してきた。東京オリンピックの警備があり台風も近づく中で大変だと思うが、しっかり一緒にやっていきたい」と述べました。

公明 山口代表「閣僚経験者 起用は適正」

公明党の山口代表は、東京都内で記者団に対し「閣僚が責任を持つべき仕事に隙間を作ってはならないということが基本だ。後任を素早く決め、閣僚経験を持った見識ある方を起用したと思うので、新たな体制を整えてしっかり臨んでもらいたい。特にこの季節は、防災やオリンピックの開催に伴う警備など極めて重要な場面だ。閣僚経験者を起用したことは適正だった」と述べました。

立民 枝野代表「理解しがたい」

立憲民主党の枝野代表は東京都内で記者団に対し「政治家の出処進退だから、あまり申し上げたくないが、政府がこの期に及んでもオリンピックを強行しようとしている中で『警備』は大変重要な意味を持っている。その責任者の国家公安委員長が、大会直前に自分の都合で職を辞すのは、なかなか理解しがたい」と述べました。

小此木国家公安委員長 閣僚の辞表提出
横浜市長選立候補の意向

小此木国家公安委員長は、総理大臣官邸で記者団に対し、8月に行われる横浜市長選挙に立候補するため、菅総理大臣に閣僚の辞表を提出したことを明らかにしました。

小此木国家公安委員長は、総理大臣官邸で閣議に続いて菅総理大臣と面会したあと、記者団に対し「辞表を提出し、受け取っていただいた」と述べ、菅総理大臣に閣僚の辞表を提出したことを明らかにしました。

小此木氏は、今月22日の記者会見で8月22日に投票が行われる横浜市長選挙に立候補する意向を表明していました。

政府は、小此木氏の後任の人選を急ぐことにしています。

横浜市長選挙には、これまでに、横浜市議会議員の太田正孝氏(75)動物愛護団体代表理事の藤村晃子氏(48)元衆議院議員の福田峰之氏(57)が無所属での立候補を表明しています。

現職の林市長は、態度を明らかにしていません。

平沢復興相「『別の道を歩む決意をした』とあいさつあった」

平沢復興大臣は、閣議のあとの記者会見で、閣議と閣僚懇談会のあと、小此木氏が「今回、別の道を歩む決意をした。いろいろとお世話になった」とあいさつしたのを受け、菅総理大臣が「短い期間だが、大変に頑張ってくれてありがとう」とねぎらったことを明らかにしました。