確実な対応を」飯塚繁雄さん
拉致被害者の家族が会見

北朝鮮による拉致被害者の家族は、14日米朝首脳会談の内容について安倍総理大臣から説明を受けたあと記者会見し、政府に対し、不十分な形で問題が幕引きされないよう、被害者の帰国に向けた確実な対応を求めました。

拉致被害者の家族は14日午後、総理大臣官邸で安倍総理大臣と面会し、米朝首脳会談の内容について説明を受けました。

このあと記者会見し、家族会代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さん(80)は「今まで北朝鮮にだまされてきた経過があり、今回はそのようなことが絶対にないようにしてもらいたい。焦って前のてつを踏むことはもう許せません。確実な考えの基に確実な対応をお願いしたい」と述べ、政府に対し、不十分な形で問題が幕引きされないよう、被害者の帰国に向けた確実な対応を求めました。

また、横田めぐみさんの母親の早紀江さん(82)は「力を合わせてようやくここまで来ました。北朝鮮のトップに、はっきりと拉致という問題がもう一度届いたことは非常に大きな事だと思います。みんな年も取りましたし体力的にも弱っているので、できだけ早く家族と会えることを待ち望んでいるとお願いしました」と話しました。

さらに増元るみ子さんの弟の照明さん(62)は、去年12月に母親の信子さんが90歳で亡くなったことに触れ、「米朝首脳会談の開催が決まったとき、母があと1年、2年と生きていたら、姉が帰ってきて会えたのではないかという思いでした。亡くなった両親の墓前で、必ず助け出すということと、ことし中に解決できる可能性あるのではないかということを報告したい」と話しました。

そして、横田めぐみさんの弟の拓也さん(49)は、「拉致問題を解決すれば、北朝鮮の国民も幸せにできる。それがリーダーだということにキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が早く気づいて明るい未来を描く選択をしてほしい」と述べました。

斉藤文代さん「静かに見守りたい」
拉致被害者の松木薫さんの姉の斉藤文代さんは記者会見で「私たちの家族の一日もはやい帰国に向けてしっかりとやってくださると確信しましたので静かに見守っていきたい」と話しました。
安否説明に矛盾や不自然な点
政府が認定している拉致被害者のうち、安否がわからない12人に関するこれまでの北朝鮮の説明には矛盾や不自然な点がありました。

北朝鮮は平成14年の日朝首脳会談で拉致を認めて以降、8人の被害者について「死亡した」とする説明を繰り返してきました。

しかし、死亡を証明する書類が存在しなかったほか、「横田めぐみさんや松木薫さんのものだ」として出してきた遺骨から、別人のDNAが検出されるなど、説明を裏付ける証拠は示されていません。

また、「ガス中毒」や「心臓まひ」など、8人が死亡に至った状況に関する説明にも不自然であいまいな点がありました。

このほか、北朝鮮が入国そのものを否定したり未確認だとしている4人のケースについても、警察の捜査で拉致への北朝鮮の関与が明らかになっていて、政府は「北朝鮮の説明は信ぴょう性が疑わしい」と判断しています。

今後の日朝間の駆け引きの中では、北朝鮮が被害者の安否に関するこれまでの姿勢を変えるのかどうかが大きな焦点となります。