森会長 辞意固める
市民の受け止めは

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長が辞任する意向を固め、関係者に伝えたことについて、東京 渋谷で聞きました。

東京 杉並区の会社員の29歳の女性は「辞任は当然の流れだと思います。『話が長い』とかは女性とか男性とか関係のない話で、影響力のある人なので立場をわきまえた発言をしてほしかったです」と話していました。

また、この女性の友人の29歳の男性は「結果的に辞めるという決断は適切だと思います」と話していました。

神奈川県鎌倉市の67歳の自営業の男性は「国際的な問題にもなっていて、辞任は、日本のためにも、関係者、ボランティアなど多くの方々にとってもよかったと思います」と話していました。

また31歳の東京 文京区の会社員の女性は「新しい方は、時代に合った考えをする人だといいなと思います」と話していました。

署名呼びかけた女性「性差別発言への見解示し再発防止を」

今回の発言を受け、森会長の処遇の検討や再発防止などを求める署名は、11日午後3時までに14万6000人を超える広がりをみせています。

インターネット上で署名活動を呼びかけた1人の能條桃子さんは、森会長が辞任する意向を固め、関係者に伝えたことを受け「森会長自身が辞任することも重要ですが、私たちが求めているのは組織委員会などの組織がこのような性差別発言に対する見解を示し、再発防止にむけた対応を取ることです。これからどのような対応をとっていくのか、しっかり注視していきたい」と話していました。

聖火ランナー辞退申し入れた男性「国際社会が認める大会に」

坪倉新治さん(57)は来月25日に福島県をスタートする聖火リレーで、原発事故のために一時、避難指示が出された田村市の都路地区を走る予定でした。

しかし、森会長が先週「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言し、その後撤回、謝罪した問題で、組織委員会や国などが森会長を擁護しているのは納得がいかないとして、9日、辞退を申し入れていました。

坪倉さんは、NHKの取材に対し「森会長の辞意は評価しますが組織委員会としてしっかり謝罪をして、国際社会に納得してもらうのが大事ではないでしょうか」と話しました。そのうえで「国民みんなが今回のオリンピックに対して心配していると思います。今回のことを戒めにして国際社会が認めるような大会になってほしいです」と大会の成功を望んでいました。

一方、坪倉さんのもとには聖火ランナーの辞退が報じられたあと、まったく知らない人から電話がかかってきて「走ることが悪いことなのか。ほかのランナーの気持ちを考えないのか」などといった批判を受けたということで、坪倉さんは「声を上げずに静観しているのが悪なのかと捉える人がいるとすれば決してそうではないと理解してほしい」と述べました。

そのうえで、聖火リレーには今も参加したい意向を持っているということで「声を上げたことに対する批判もあり、走りにくいところもありますが、組織委員会の判断を待ちたいです」と複雑な思いを口にしました。

聖火ランナーSNSサイト管理人「リセットし開催に前向きに」

石川県で和菓子店を経営する聖火ランナーの那谷忠之さん(47)は200人を超える全国の聖火ランナーが登録するSNSのサイトの管理人で、大会への機運を高めようとランナー仲間に呼びかけてPR動画を作成する活動を行っていました。

森会長の発言についてサイト内では聖火ランナーの男女を問わず「オリンピックにマイナスのイメージがついてしまった」などと憤りの声があがっていたということです。

森会長の辞意について那谷さんは「辞任するということは発言の責任をとることだと思う」としたうえで「発言によってオリンピックの開催に後ろ向きな空気が流れていたが、もう一度リセットされ開催に前向きに進んでほしい。新型コロナウイルスの影響で難しいことはたくさんあるが、世界中のアスリートが競技できることを最優先にしてほしい」と話していました。

国立競技場の前では抗議活動も

東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式などが行われる予定の国立競技場の前では、午後2時ごろにはおよそ10人が森会長の辞任を求めるプラカードなどをもって抗議活動を行っていました。

神奈川県から来たという54歳の会社員の男性は「周りが騒ぎ出して世界的な問題になり、やっとやめたかという感じで辞任は遅すぎる。後任の人には職責を果たしてほしい」と話していました。

東京 大田区から来た59歳の女性は「森会長の発言は世界中に広まってしまい、これをどうやって取り返していくのか。差別的な考えのない人に後任になってもらいたい」と話していました。