吉川元農相らの会食に
農水省の複数幹部が参加

吉川元農林水産大臣が大臣在任中に大手鶏卵生産会社の元代表から賄賂を受け取ったとして、収賄の罪で在宅起訴された事件に関連し、野上農林水産大臣は、吉川元大臣と元代表との会食に、農林水産省の複数の幹部職員が参加していたことを明らかにしました。国家公務員倫理法上の問題がなかったか、詳しく調査するとしています。

この事件に関連し、野上農林水産大臣は19日の閣議の後の記者会見で、3年前の10月とおととし9月に行われた吉川元大臣ら政治家と元代表との会食に、農林水産省の複数の幹部職員が参加していたことを明らかにしました。

このうち1回は当時、生産局長だった今の枝元事務次官も参加していたということです。

国家公務員倫理法では、利害関係者からの接待を禁じていますが、参加した幹部職員は、費用は利害関係者に当たらない政治家が負担したと認識していたと話しているということです。

野上大臣は「国家公務員倫理審査会に指導をいただきながら、法律上の観点から調査を行って、その結果を踏まえ、しかるべき対応を取っていく」と述べ、国家公務員倫理法上の問題がなかったか詳しく調査する考えを示しました。

また、野上大臣は、当時の政策がゆがめられていないか問われたのに対し、「当時の政策判断は妥当だったと申し上げてきたが、養鶏・鶏卵行政の公平性については公判への影響を配慮しつつ調査を進める」と述べました。

加藤官房長官「農水省でしかるべき対応を」

加藤官房長官は、午後の記者会見で、吉川元農林水産大臣と大手鶏卵生産会社の元代表の会食に、農林水産省の複数の幹部職員が参加していたことについて「農林水産省で、国家公務員倫理審査会に相談しながら、今後調査のうえ事実関係を明らかにし、しかるべき対応が取られるものと承知している」と述べました。

そのうえで、加藤官房長官は「第三者による検証を含め、しっかりと対応し、国民に対して必要な説明責任を農林水産省が果たしていくことが必要だ。養鶏・鶏卵行政の公正性にかかる部分は、まさに、第三者による検証を開始するということになる」と述べました。

農水次官「元農相が誘い 支払ったと思う」

農林水産省の枝元次官は、生産局長だった3年前の10月、吉川元大臣ら政治家と大手鶏卵生産会社の元代表との会食に、農林水産省の複数の幹部職員とともに参加していたことが明らかになりました。

枝元次官は19日夕方、記者団の取材に対し、「吉川元大臣から誘っていただいたのでご一緒した。元代表がいることは知らなかったと思う。その場で現金のやり取りはなかった。具体的に政策的なことについて言われたということはなかったと思う。あまり覚えていない」と述べました。

そのうえで会食の支払いについて、「吉川元大臣が支払ったと思っていたが、元大臣に確認したわけではない」と述べました。

さらに、手土産を受け取ったのか問われたのに対し、「お菓子か何かをいただいたと思うが、誰からか、その場でどうだったかは覚えていない」と述べました。

この会食については、野上農林水産大臣が国家公務員倫理法上の問題がなかったか詳しく調査する考えを示していて、枝元次官は「調査される側であり、正直に自分の知っていることを説明する。国家公務員倫理審査会の指導のもとで調査し、対応が決まっていくと思う。それにきちっと従う」と述べました。