援職員 コロナ感染
「派遣前の検査 必要に」

熊本県など豪雨災害の被災地には、他県の複数の自治体から支援の職員が派遣されています。この中から新型コロナウイルスの感染者が出たことから、感染症対策の専門家は派遣される前のPCR検査などの必要性を訴えています。

総務省によりますと、自治体からの応援職員は今回の一連の豪雨で被害を受けた熊本県の人吉市や芦北町など8つの市町村に対して派遣されているということです。

13日までに、九州をはじめ中国地方や近畿などの13の県と市から延べ506人が派遣され、被災地で避難所の運営や被害情報の収集などにあたっているということです。

このほかにも、保健師や医師、土木専門の職員を含めるとさらに人数は多くなるということです。

今回、熊本県の避難所に派遣されていた高松市の保健師の感染が確認されたことについて、災害時の感染症対策に詳しい防衛医科大学校・防衛医学研究センターの加來浩器教授は「新型コロナウイルス流行下の中で、いちばん心配していたことが起こってしまった」と話しています。

そのうえで「自覚症状がなくても人にうつしてしまうおそれがあることが、新型コロナウイルスのやっかいなところだ。支援にあたる人は現場に派遣される前にPCR検査や抗原検査を行うことも必要になってくる」と指摘しています。

また、現地で活動する際の注意点として加來教授は「手指の消毒やマスク着用を徹底するほか、場合によってはフェイスシールドを着けることも有効だ。被災地は緊張感があり、興奮したような状態が続いているので、少し体調が悪くても自覚できないケースも多い。セルフチェックだけでなく、派遣されているチーム全体で互いにチェックすることも重要だ」と話していました。

被災地への影響について加來教授は「避難している方々は、自宅が被災したうえに感染症の不安も抱えることになってしまう。感染源を持ち込まないため一層の注意が必要だ」と話していました。