急事態宣言が必要な
状態ではない」経済再生相

新型コロナウイルス対策に関する特別措置法を担当する西村経済再生担当大臣は、現時点では「緊急事態宣言」が必要な状態ではないという認識を重ねて示しました。一方、ロックダウン=都市の封鎖について、法律上、外出自粛の要請などはできるものの強制力を持った対応はできないと強調しました。

西村経済再生担当大臣は記者会見で国内の感染状況に関連して「ぎりぎり持ちこたえている状況で少しでも気を緩めれば急拡大してもおかしくない、まさに瀬戸際の状況が続いている」と述べました。

そのうえで法律に基づく「緊急事態宣言」を行うかどうかについて「昨夜も専門家と共有したが、現時点ではまだ宣言が必要な状態ではないという認識だ」と述べました。

そして「先週の『諮問委員会』でも多くの委員から強い懸念が示され、出席者全員が強い危機意識を共有した。引き続き国内の感染状況を緊張感を持って見ながら、専門家の意見をしっかり聞き、判断したい」と述べました。

一方、ロックダウン=都市封鎖が行われるという情報がインターネット上で拡散していることについて「安倍総理大臣や菅官房長官が30日明確に否定したとおりだ。私が親しい記者に宣言を行うことを漏らしたという記述もあるが、一切そうした発言はしておらず極めて遺憾で、今後も続くようなら対応を考えたい」と述べました。

そのうえで「特別措置法では宣言を行ったあとに外出自粛の要請のほか、施設などの利用制限を要請・指示、そして公表することができる。かなり強い措置だが、強制力を持つものではない」と述べました。

そして「感染症法上可能なのは消毒しなければならない建物への立ち入り制限や、そこにつながる交通の遮断などであり、地域全体を封鎖するようなことは想定されていない」と述べました。

西村官房副長官「専門的な知見に基づき慎重に判断」

西村官房副長官は閣議のあとの記者会見で、新型コロナウイルスの感染が東京都で拡大していることについて、「引き続き予断を許さない状況だ。現状でぎりぎり持ちこたえているという認識に変わりはない。自治体ともこれまで以上に緊密な連携をとり、感染拡大の防止に全力を尽くしたい」と述べました。

また、法律に基づく「緊急事態宣言」をめぐり、政府の「諮問委員会」の委員の1人が委員の中では、宣言を出した方がよいという意見が多数を占めていると明らかにしたことについて「『緊急事態宣言』は、国民生活に重大な影響を与えることに鑑みて、各方面からの専門的な知見に基づいて、慎重に判断することが必要だ」と述べました。

そして、東京都が30日夜、感染拡大を防ぐため接待を伴う飲食店などに行くことは当面、自粛するよう呼びかけたことについて「東京都において感染拡大の防止に向けて判断されたものと承知している。あらゆる業界が深刻な影響を受けており、事業を継続することができるようさらなる措置を講ずるべく、現在必要な経済対策の検討を進めている」と述べました。

加藤厚労相「積極的にという声と、慎重にという声が」

新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言について、加藤厚生労働大臣は記者団に対し、「積極的に出すべきという声と慎重に対応すべきという声がある。今の感染状況のほか、先行きも見据えながら、専門家の判断を仰ぎ、決めていかなければならない」と述べました。

また、今週中に政府の専門家会議を開いて、最新の感染状況の分析や今後の対策を協議すると説明しました。

一方、政府が1日にも緊急事態宣言を出すという情報がインターネット上で拡散していることについて、加藤大臣は「いろいろなうわさが流れるが、自分や家族への感染などを心配している方がいるので、正確で見通しにつながる情報をしっかり提供し、不安を解消していきたい」と述べました。

公明 山口氏「分かりやすく発信を」

公明党の山口代表は記者会見で「特別措置法に基づく緊急事態宣言は、強制力を伴う部分もあり、社会的・経済的な影響を考えて国と東京都がよく連携して判断することが基本だ」と述べました。

また、「東京都民への自粛の要請は、特別措置法の枠組みではなく、部分的に先手を打たなければならない現状もある。専門的な裏付けを持って、分かりやすく発信してほしい」と述べました。