海町長 原発関連会社
から約100万円受け取る

九州電力・玄海原子力発電所がある佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長が、福井県で原発関連の工事を請け負ってきた建設会社から現金およそ100万円を受け取っていたことが分かりました。町長は会見を開き、「多大なご迷惑をおかけし、おわび申し上げます」と謝罪したうえで現金は返却し、便宜は図っていないと説明しました。

玄海町の脇山町長によりますと、おととし7月の町長選挙で初当選した数日後、福井県で原発関連の工事を請け負ってきた敦賀市の建設会社の関係者が自宅を訪ねてきて、現金が入ったのし袋を受け取ったということです。

脇山町長は、23日午後、玄海町役場で記者会見し、「町民や県民、全国の原子力発電所の立地市町村の関係者に大変多大なご迷惑をおかけし、深く反省しおわび申し上げます」と謝罪しました。

町長の説明によりますと、「いらない」と断ったものの、玄関に現金を置かれていったということで、のし袋には「当選祝い」と書かれ、社長の名刺も添えられていました。

金額については、「中身は確認していないが、1センチくらいの厚さがあったので、100万円くらいあったと思う」と説明しました。

その後は、自宅の金庫で保管していましたが、先月中旬に知人を介して、のし袋に入った状態のまま返却したということです。

これは関西電力の経営幹部らによる金品受領問題が報道された後でしたが、町長は、「前から返したかったが、タイミング的にそうなってしまった。本当はそんな報道がある前に返すべきだった」と述べました。

政治資金規正法では、企業や団体から献金を受けられるのは政党や政治資金団体に限られているうえ、個人献金だったとしても脇山町長はみずからの政治団体の収支報告書には記載していませんでした。

脇山町長は「会社のことは詳しくは知らない。返そうとずっと思っていたので収支報告書には記載しなかった。私の脇が甘かった」と話しました。

一方で、この会社が選挙を手伝っていたという報道や、会社への便宜については否定しました。

今後の進退については、後援会と相談して決めたいとし具体的には述べませんでした。

町長「返金は知人に依頼 知人はその後死亡」

玄海町の脇山町長は23日の記者会見で、福井県の会社から受け取ったおよそ100万円について、「知人に依頼して東京で返還した」などと説明しました。

脇山町長によりますとこの人物とは町長就任後に知り合い、その後、自身がさまざまなアドバイスを受ける関係だったとしています。

この人物は現金を渡してきた会社とつながりがあったということですが、町長はプライバシーを理由に具体的なプロフィールは明らかにしませんでした。

町長によりますと関西電力の金品授受問題が発覚したあと、先月中旬になってこの人物に接触して100万円の返却を依頼したところ、「自分が持って行きます」と引き受けたということです。

しばらくして、「会社の東京支社で返金した」と電話で連絡があったことから、町長は実際に返却したとしています。

一方、町長によりますとこの人物は、先月下旬に死亡したということです。

脇山町長は「福井県まで現金を返しに行く時間がなく、誰かに託すしかないことに早く気付けばよかった」などと釈明し、会見では終始、現金に手をつけていないことを強調しました。

福井県の建設会社とは

この建設会社は福井県敦賀市に本社があり、昭和30年の設立以来、原子力発電所の関連工事を多く請け負ってきました。

民間の信用調査会社などによりますと、この会社は建物の耐震や免震などの技術に強みがあるということで、東京電力福島第一原発の事故のあと、福井県内の原発が再稼働を目指して実施した安全対策工事や原子力災害に備えて福井県が発注した「避難道路」の整備事業などで受注の実績があります。

また、平成31年3月期の総売上高は357億3440万円余りとなっています。

NHKの取材に対して、この建設会社は「現在、担当者が不在のためお答えできません」と話しています。

玄海町や佐賀県「発注実績はなし」

玄海町まちづくり課によりますと、現金を渡していたとされる福井県敦賀市の会社は町が公共事業を発注するリストへの届け出はなく、確認できる平成27年度以降で町からの直接の発注はしていないということです。

また、佐賀県県土整備部の入札・検査センターによりますと、佐賀県警や教育委員会など一部、センターを通さずに入札が行われる場合もありますが、センターが管轄する事業については、平成25年度以降、県から工事を発注した実績はないということです。