男殺害で実刑判決の
元農水次官 ”異例”の保釈

長男を殺害した罪で懲役6年の判決を言い渡された農林水産省の元事務次官、熊澤英昭被告(76)について、東京高等裁判所が20日、保釈を認める決定をし、被告は保釈金500万円を納めて保釈されました。殺人罪で実刑判決を受けた被告の保釈が認められるのは異例です。

農林水産省の元事務次官、熊澤英昭被告(76)はことし6月、東京・練馬区の自宅で44歳の長男を包丁で刺して殺害した罪に問われました。

被告は起訴された内容を認め、今月16日、東京地方裁判所で懲役6年の実刑判決を言い渡されました。

判決のあと被告の弁護士は保釈を請求しましたが東京地裁に却下され、弁護士が東京高等裁判所に抗告していました。

これについて東京高裁の青柳勤裁判長は20日、東京地裁の決定を取り消して保釈を認める決定を出しました。

被告は保釈金500万円を納め、20日の午後7時前、東京拘置所から保釈されました。

殺人罪で実刑判決を受けた被告の保釈が認められるのは異例です。

今後、実刑判決が確定した場合は収容されることになります。

異例の保釈 なぜ?

裁判所は、1審の判決が言い渡され証拠隠滅のおそれが低くなったことや、被告が高齢であることから健康状態を考慮して判断したとみられます。

裁判所によりますと、控訴する期限は来月6日で、これまでのところ弁護側と検察とも控訴していないということです。